映画を観る前に知っておきたいこと

【残穢(ざんえ)−住んではいけない部屋−】ホラー小説のようなホラー映画

投稿日:2015年12月13日 更新日:

残穢(ざんえ)−住んではいけない部屋−

日本のベストセラー作家・小野不由美によるホラー小説「残穢」を、『­予告犯』『白ゆき姫殺人事件』の中村義洋監督が映画化。原作は、秀逸な物語の小説に送られる文学賞である山本周五郎賞を受賞し、選考会で「これまでにない恐ろしいホラー」と評された。

ミステリー小説家が読者の久保という女性から一通の手紙を受け取ったことから物語は始まる。その手紙には「誰もいない部屋で、奇妙­な音がする」と書かれていた。二人が曰く付きの部屋を調査すると恐ろしい事実が浮かび上がってくる。その部屋の過去には一体何があったのか!?その先に衝撃の結末が待っている……

主演は中村義洋監督と本作で5度目のタッグとなる竹内結子。久保さん役には、竹内結子と初共演となる橋本愛。脇を固めるのは佐々木蔵之介、坂口健太郎、滝藤賢一ら個性派俳優。

第28回東京国際映画祭のコンペティション部門正式出品作品。


  • 製作:2016年,日本
  • 日本公開:2016年1月30日
  • 上映時間:107分
  • 原作:小説「残穢」小野不由美

予告

あらすじ

読者の投稿をもとに怪談を執筆する小説家・私(竹内結子)に、読者の久保という女子大生(橋本愛)から一通の手紙が届いた。その手紙にはこう書かれていた。

「住んでいる部屋で奇妙な音がする」

残穢(ざんえ)−住んではいけない部屋−好奇心を抑えきれず久保さんと二人でその部屋を調査することに。そして、その部屋が曰く付きであることがわかってくる。かつて住んでいた人たちがこの部屋から引っ越していった後、自殺、無理心中、殺人といった事件を引き起こしていた。なぜかつての住民はこの部屋でなく別の場所で事件を起こしたのか?残穢(ざんえ)−住んではいけない部屋−やがて二人は数十年の時を経た旋律の真相にたどり着いてしまう。そして二人はさらなる事件へと巻き込まれていくことに……


映画を見る前に知っておきたいこと

瞬間的な恐怖ではなく、観客の中にくすぶり続ける恐怖

本作はいわゆるホラー映画とは少し違っている。観客はあるシーンに絶叫するというよりは、恐ろしい真相が次々と明らかになっていくことで恐怖を増幅させていくことになる。ホラー映画ではあるが、ミステリー要素が強い作品となっている。

また、本作の原作小説「残穢」は作者の小野不由美による実体験とフィクションが混在しており、小説家が読者からの投稿をもとに怪談を執筆しているという設定は小野不由美本人と同じであることから、小説が一つの怪談話のようになっている。映画自体も主人公・私と久保さんのナレーションでストーリーが進んでいく手法がとられており、観客に語りかける怪談話のような感覚を受ける。

ミステリー要素が強いことと、ドキュメンタリーに近い世界観で、通常のホラー映画とは一線を画す作品となっているが、これによって瞬間的な恐怖ではなく、観客の中にくすぶり続ける恐怖を与えてくれるのだ。見終わった後にも恐怖が残るなかなか迷惑な作品だ。

ホラー映画は好きだが、似たような作品が多い中恐怖に慣れてしまったという人には劇場まで足を運ぶ価値があるかもしれない。これまでと違う恐怖がそこにあるのは間違いない!

原作に忠実な仕上がりが、本作をさらに異質なホラー映画にしている

ここでホラー小説のおもしろさを書くのも変な話だが、本作を捉えるうえでこういう視点もあるのかという程度に読んでほしい。

ホラー小説はホラー映画に比べると瞬発力には欠けると思う。それは、読み手のスピードで物語が進んでいくことと、やはり映像や音響による効果がないからだ。しかし、この欠点は読み手の想像力で大きなメリットにもなり得る。小説全般に言えることだが、本を読むのが苦手な人というのはこの想像する作業が苦手であったり面倒に感じる人とも言える。逆に想像力豊かな人にとっては、その人自身が小説のおもしろさを決定する議席を一つ持っている。ホラー小説で言えば怖さは読み手の想像力に影響される。

ホラー映画で原作がヒット小説というものも多いが、映画は監督なり制作者側が想像したものを提供してくれるので、時には全然怖くないと感じることもある。これがもし、映画監督以上の想像力を有した人なら小説で読んだ方が断然怖いはずだ。

さて、そこで本作はいわゆるホラー映画とは違うという話をしたが、それは映像や音響による効果で観客を恐怖させるタイプのホラー映画ではないということだ。どちらかというと物語の展開が恐怖を生んでいくので、それは原作通りである。フィクションと実体験が混ざり合うドキュメント・ホラーというのもしっかり考えた構成がなされている。原作に忠実とも言えるこの映画化は、秀逸な物語の小説に送られる文学賞である山本周五郎賞を受賞した原作の持ち味を最大限に発揮している。

逆に捉えれば、本作はホラー小説を読むのに近い感覚で鑑賞できるということだ。といっても一般的なホラー小説とは異なっているので、こういうホラーもあるという前提は持っておいてほしいが。本を読むのが苦手な人でも小説と同レベルの恐怖を体感できるはずだ。

-ホラー, 邦画
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