映画を観る前に知っておきたいこと

【3泊4日、5時の鐘】湘南・茅ヶ崎館×軽快なテンポで描かれる恋愛青春群像劇

投稿日:2015年8月26日 更新日:

3泊4日、5時の鐘

有名な老舗旅館・茅ヶ崎館を舞台に、正反対の性格を持つふたりの女性を中心とした7人の男女の絡み合う恋愛模様を描いた青春群像劇。

杉野希妃がエグゼクティブプロデューサーを務め、小篠恵奈とともにダブル主演を果たした。監督は本作が初監督作の三澤拓哉。若干27歳という若さながら、各国の国際映画祭で高い評価を受けた。

  • 製作:2014年,日本
  • 日本公開:2015年9月19日
  • 上映時間:89分

予告

あらすじ

舞台は湘南・茅ヶ崎。すっかり夏の空気に覆われたこの街の、海から少し入った場所に佇む老舗旅館・茅ヶ崎館。その旅館の長女である理沙(堀夏子)の結婚パーティーに出席するために、元同僚の花梨(小篠恵奈)と真紀(杉野希妃)二人がやってくる。

自由奔放で周りを気にしない性格の花梨は到着早々、茅ヶ崎館でアルバイトをしている大学生・知春(中崎敏)を捕まえては弄ぶようにちょっかいをかける。生真面目な真紀は、そんな花梨をたしなめては頭を抱えていた。3泊4日、5時の鐘 あらすじ対照的で相容れない二人。翌日、真紀は花梨の無責任な振る舞いに我慢ならず、怒りをぶつけてしまう。3泊4日、5時の鐘 あらすじ
結婚パーティーは険悪なムードになるかと思いきや、たまたま茅ヶ崎館に来ていた大学時代の恩師、近藤(二階堂智)と再会した途端に、それまでの苛立ちは嘘のように消え失せる。
3泊4日、5時の鐘 あらすじ実は真紀は学生時代から想いを寄せていたのだった。

さらに知春を秘かに想う同級生、彩子(福島珠理)や理沙の弟の宏太(栁俊太郎)も加わり、それぞれの感情がゆっくりと複雑に絡まり、もつれていく・・・。

映画を見る前に知っておきたいこと

いるいるこんな奴(笑)の集い

3泊4日の小旅行、一期一会のひと夏、瑞々しさとさわやかさ、恋と友情の青春を謳歌する若者たち。そんな彼らをちょっと斜めから見つめる不思議な映画。日本映画独特の生々しさがないのが逆に特徴的なのかもしれない。

テンポの良さと良い意味での空気の軽さが予告動画からでも伝わってくる。いるいるこんな奴(笑)と思えるキャラクターの内面に、それぞれ感情移入しやすいのもポイント。それはちょうど、それぞれのキャラクターが一人の人間の別々の心理を担当しているかのような。

軽快に、それでいて複雑に、でも分かりやすく絡み合う登場人物たちの感情にどんなカタルシスが待っているのか。

新鋭・三澤拓哉

三澤拓哉
本作が初監督作品ながら、ロッテルダム国際映画祭をはじめ数々の国際映画祭に正式招待され、ギリシャ、シロス国際映画祭で最優秀作品賞を、北京国際映画祭では新人監督によるコンペティション部門で最優秀脚本賞を受賞した。

だがそんなことよりも、その作風がエリック・ロメールやウディ・アレンが引き合いに出されるとなると、ファンとしては気になって仕方がないと思う。エリック・ロメールは男女の恋愛模様を軽快なタッチで描くヌーヴェル・ヴァーグの超重要人物だし、ウディ・アレンはアカデミーに後ろ足で砂をかけるし、多才すぎてフォロワーがいない育たないで有名な監督だ。

“巨匠”の冠をTシャツにプリントして街を歩いても全く恥ずかしくないこの二人と、初監督作品で引き合いに出され、しかも評価されているというのだ。そいつの目が節穴かどうか、映画ファンなら確かめずにはいられないだろう。

-恋愛, 邦画, 青春

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