僕はあまりにも
君に無関心だった。
2014年アカデミー賞でマシュー・マコノヒーに主演男優賞をもたらし、作品賞にもノミネートされた『ダラス・バイヤーズクラブ』(13)のジャン=マルク・ヴァレ監督が贈る、喪失と哀しみ、そして再生の物語。
妻の突然の死。置き去りにされた感情。男は何かに抗うように身の回りのあらゆるものを破壊し始める ──
『ナイトクローラー』(14)で見せた狂気じみた演技で多くの映画ファンを魅了したジェイク・ギレンホールが、自分の感情とうまく向き合えないエリート銀行員ディヴィスの感情の動きを繊細に捉え、『追憶の森』(15)のナオミ・ワッツがディヴィスの心を溶かしていくシングルマザーを演じる。
Contents
- 1 予告
- 2 あらすじ
- 3
映画を観る前に知っておきたいこと
- 3.1 ジャン=マルク・ヴァレの集大成
予告
あらすじ
富も地位も手に入れたウォールストリートのエリート銀行員ディヴィス(ジェイク・ギレンホール)は、出世街道を走りながら、高層タワーの上層階で空虚な数字と向き合う味気ない日々を過ごしていた。
© 2015 Twentieth Century Fox Film Corporation, Demolition Movie, LLC and TSG Entertainment Finance LLC.
そんな仕事へ向かういつもの朝。彼は突然の交通事故で美しい妻(ヘザー・リンド)を失った。しかし、一滴の涙さえ流すことができなかったディヴィスは、感情が麻痺している自分に気付く。妻のことを本当に愛していたのだろうか……
© 2015 Twentieth Century Fox Film Corporation, Demolition Movie, LLC and TSG Entertainment Finance LLC.
「心の修理も車の修理の同じことだ。まず隅々まで点検して組み立て直すんだ。」という義父(クリス・クーパー)の言葉が引き金となり、ディヴィスは身の回りのあらゆるものを破壊し始める。
会社のトイレ、パソコン、冷蔵庫、妻のドレッサー、そして自らの結婚生活の象徴である家さえも。そして、見つけた妻が残した幾つかのメモ……
Sponsored Link映画を観る前に知っておきたいこと
ジャン=マルク・ヴァレ監督が『ダラス・バイヤーズクラブ』や『わたしに会うまでの1600キロ』(14)で見つめ続けてきたのは、“幸せを掴もうともがく人”だった。“ジャン=マルク・ヴァレの再生三部作”とでも呼びたくなるほど、本作でも破綻しかけた人生のその先にあるものを描き出す。
ジャン=マルク・ヴァレの集大成
『ダラス・バイヤーズクラブ』や『わたしに会うまでの1600キロ』は、実在の人物と彼らがやってきたことをトレースしたものだった。同じ再生の物語でもフィクションである本作は、ヴァレ監督により自由なプロットを与えている。
そんな中で描き出される主人公ディヴィスは、これまでと違い最も感情移入しやすい人物である。妻を失った経験を持つ人はあまりいないかもしれないが、人が無関心なるには明確な理由を必要としない時もあるのだ。
ディヴィスのように会社の期待通りに仕事をし、周囲の期待通りに結婚し、家族の期待通りに家を建てる。そんなまともな人間こそ、自分でも気付かないうちに壊れかけているものだ。
しかし、現代社会においてこのルーティンから脱線していくことは、まともな人間にとっては、ことさら狂気に映るだろう。だからこそ、ディヴィスは心のタガを外すために思い切った“破壊行動”に走るしかないのだ。
妻との思い出すら破壊して、心を組み立て直そうとするディヴィスの行動は、ヴァレ監督が描いてきた“再生”の中で最も抽象的な表現だが、感情をさらけ出すことによって伝えられるメッセージはこれまでのどの作品よりも力強い。
「この映画は、それまで存在していたものをぶっ壊すんだ。それが幸せな思い出であろうと、苦しい記憶であろうとね。そして“破壊する”とは“変化する”ことの暗喩なんだ。深く悲しむべき状況で自分が変わらなくてはいけないときに、文字通り自宅を破壊し始めるんだよ(笑)! 悲しみから癒されるためにしたことが“破壊行動”というのはユーモアがあるし、それが何よりこの映画の魅力だと思う」
ジェイク・ギレンホール
作品データ
原題 | 『Demolition』 |
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製作国 | アメリカ |
製作年 | 2015年 |
公開日 | 2017年2月18日 |
上映時間 | 101分 |
映倫区分 | PG12 |
キャスト
キャスト | ジェイク・ギレンホール |
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ナオミ・ワッツ | |
クリス・クーパー | |
ジュダ・ルイス | |
ヘザー・リンド |
監督・スタッフ
監督 | ジャン=マルク・ヴァレ |
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脚本 | ブライアン・サイプ |
製作 | リアンヌ・ハルフォン |
ラッセル・スミス | |
モリー・スミス | |
ジャン=マルク・ヴァレ他 | |
製作総指揮 | サッド・ラッキンビル |
エレン・H・シュワルツ | |
カーラ・ハッケン | |
ブルース・トール他 |