あなたは匿名の芸術家バンクシーを知っているか!?と言っても本人を知っている人はもちろんいない。その存在は謎に包まれているからだ。わかっていることはイギリス・ロンドンを中心に活動しているということ。一説によると年齢は28歳、ジーンズにTシャツ姿で、片耳に銀のイヤリングをしているらしい。本名はロバート・バンクス、ロビン・バンクス、ロバート・カニンガムなど様々な説が存在する。そう、彼は現代の情報社会において正体不明の存在なのだ。
彼の芸術は社会風刺的グラフィティアート、ストリートアートを世界各地にゲリラ的に描くという手法である。その誰にも読めない活動から彼は「芸術テロリスト」と呼ばれる。しかし、そのアートは本物と評されている。2007年2月に行われたサザビーズ主催のオークションで彼の作品6点は8500万円以上の値を付けた。
2013年、そんなバンクシーが一ヶ月の間に毎日1点の作品をニューヨークのどこかに展示すると自身のサイトで宣言し、ニューヨークはまるで「宝探し競争」状態に。本作はそんなニューヨークの狂乱の一ヶ月を追ったドキュメンタリーである。
- 製作:2014年,アメリカ
- 日本公開:2016年3月26日
- 上映時間:81分
- 原題:『Banksy Does New York』
Contents
- 1 予告
- 2 あらすじ
- 3
映画を見る前に知っておきたいこと
- 3.1 芸術テロリスト・バンクシー
予告
あらすじ
正体不明のストリートアーティスト、バンクシーは、世界各地でゲリラ的に作品を描くことで知られており、その作品は常に社会風刺的であり、しばしば議論を巻き起こす。過去には世界各国の有名美術館の人気のない部屋に無断で作品を展示し、しばらくの間誰にも気づかれないまま展示され続けたことが話題となったこともある。そんな彼が壁や路上に違法に描いたグラフィティは世界的な注目を浴び、驚くほどの高値が付いた。
2013年10月1日、バンクシーは、告知もなくニューヨークで展示をスタートさせた。一ヶ月の間に毎日1点、ニューヨーク各地の路上に作品を残し、場所を明かさず公式サイトに投稿すると、人々はその作品を求めてニューヨーク中を駆け回った。バンクシーがニューヨークをハックした一ヶ月は、ストリートとインターネット上の両方でまるで「宝探し競争」となった。
10月5日、突如モバイル・ガーデンの出現にニューヨークは大騒ぎに。10月11日、家畜のぬいぐるみが乗ったトラックが街中を走り回る。そのトラックは時折、精肉店で停まる。
10月13日、セントラルパークにて、観光客相手の土産物屋風にバンクシーのオリジナル作品が60ドルで販売されていた。現在、バンクシー作品の評価額は25万ドル。ちなみにこの日の売り上げは420ドルだった。
10月22日、クイーンズに作られた廃材のスフィンクスは、大型商業施設の建設に伴い廃業予定の自動車修理工場の男たちが持ち去り転売した。
中にはYouTubeにアップされた動画作品もあった。
ニューヨーク中で加熱する“バンクシー・ハント”!Twitter、Instagram、Facebook、Vineを駆使してバンクシー作品を探す者。偶然そこに居合わせたラッキーな者。作品を上書きするグラフィティ・ライター。アクリル板で保護するビルオーナー。即作品を売買するギャラリーオーナー。


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映画を見る前に知っておきたいこと
芸術テロリスト・バンクシー
これがまったく新しい芸術の手法なのか!?
バンクシーの作品は基本的にはグラフィティアートだが、家畜のぬいぐるみが乗ったトラックが街中を走り回ったり、街中に突如モバイル・ガーデンを出現させたり、時には動画であったり、その形態は様々である。彼の芸術には社会風刺的な作品が多いが、どれもユーモアや皮肉が優先しているように感じる。これで本当に芸術と言えるのだろうか?
しかし、このドキュメンタリー映画によってその考えは一変された。彼は「都市や屋外や公共の場所こそ、アートが存在するべき場所なんだ。アートは市民とともにあるべきだ」と語っているが、彼の言う芸術にはそこに集まった人々や、生まれた状況まで含まれているのだ。
もはやバンクシーの作品は誰も無視できないほどの価値を持つ。そのことが人間の欲求を助長し、人々を様々な行動へと駆り立てる。どんな名画にだって、人間の内面をこれほど浮き彫りにして表現することはできないだろう。まったく新しい芸術の手法として認めざるを得なくなってしまった。
この映画もドキュメンタリーではあるが、まるで脚本がある映画のようにそれぞれの思惑が交錯している。そう、彼の芸術はカメラに収めるだけで映画にもなってしまうのだ。
2007年2月に行われたサザビーズ主催のオークションで彼の作品6点は8500万円以上の値を付けたことも驚きだが、ブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリーが100万ポンド(1億五千万円)という大金をバンクシーの作品につぎ込んだことが新聞で報じられたこともある。彼はソニー、ナイキ、マイクロソフトといった世界のトップ企業や、デヴィッド・ボウイ、オービタル、マッシヴ・アタックなど大物ミュージシャンからのオファーすらあっさり断ってしまうような男だ。もはや金ではないことは容易に伺えてしまうが、彼の作品の価値は上がり続ける一方で、彼の子供のいたずらのようなやり口は一切変わることはないだろう。
「芸術テロリスト」とはよく言ったものだ。こうした状況は彼の芸術活動が勝手にさらに過激になっていくことを意味している。どこまでバンクシー自身が意図した状況かはわからないが、少し危険な気がする……
芸術でテロを起こす力に驚いた。
バンクシーをもっと知りたい。
それこそバンクシーのやり口です。でも、僕も興味を止められません。