映画を観る前に知っておきたいこと

ブラック・スキャンダル
ジョニー・デップが最高の演技で魅せる実在の犯罪王

投稿日:2015年12月8日 更新日:

ブラック・スキャンダル

暴かれる!FBI史上最も黒い闇。

それは、アメリカ史上最も黒いスキャンダル。ボストンで兄弟同然に育った3人の男たち。ギャングのボス、FBI捜査官、有力政治家­として癒着する3つの絆。権力を掌握した彼らの行動は、やがてアメリカの正義の根幹を­揺るがす大事件へとつながってゆく ──

FBIからウサマ・ビン・ラディンに次ぐ200万ドルという懸賞金を掛けられた実在の犯罪王ジェームズ・“ホワイティ”・バルジャー。彼の半生をジョニー・デップがキャリア最高の演技で魅せる。

『ファーナス/訣別の朝』(13)のスコット・クーパー監督が、ベネディクト・カンバーバッチ、ジョエル・エドガートン、ダコタ・ジョンソン、ケビン・ベーコン、ピーター・サースガードら豪華キャストを迎え、全米を震撼させた“密約”をスリリングに描き出す。

予告

あらすじ

1970年代、アメリカのサウスボストン。兄弟同然に育った3人の男たちは固い友情で結ばれていた。ジェームズ・バルジャー(ジョニー・デップ)とその弟ビリー(ベネディクト・カンバーバッチ)、そして二人の幼馴染ジョン・コノリー(ジョエル・エドガートン)は、ギャング、政治家、FBI捜査官とそれぞれの道に進んでいった。

ブラック・スキャンダル

© 2016 Warner Bros. Japan LLC

マフィア浄化作戦に取り組むFBI捜査官のコノリーは、イタリア系マフィアと抗争をくり広げるギャングのボス、バルジャーに敵の情報を売るよう話を持ちかける。バルジャーはFBIと密約を交わし、敵対する組織を壊滅に追いやった。名声を望む政治家のビリーもまた、彼らと手を組み権力の座を駆け上がっていく。

ブラック・スキャンダル

© 2016 Warner Bros. Japan LLC

利害が一致したことで歯止めが利かなった3人の癒着関係は、やがてアメリカ史上最悪の汚職事件へと発展していく……

映画を見る前に知っておきたいこと

ジョニー・デップ演じるジェームズ・“ホワイティ”・バルジャーは実在したギャングのボスであり、映画で描かれることすべてが実話ベースとなっている。その事実が、物語をよりサスペンスフルに、よりスリリングに変えていく。

ジェームズ・“ホワイティ”・バルジャー

本名、ジェームズ・ジョセフ・バルジャー。彼は1970年代のサウスボストンで、アイルランド系アメリカ人を組織し、殺人、恐喝、麻薬密売、高利貸しなどあらゆる犯罪を仕切っていた。その組織は“ウィンターヒル・ギャング”と呼ばれ、FBIを操ることで彼らの犯罪の多くは黙認されていた。もともと一介のギャングに過ぎなかったバルジャーは、FBIを利用することによって裏世界でのし上がっていったのだ。

彼に掛けられた懸賞金も当初の25万ドルから、最終的には200万ドル(約2億4000万円)まで跳ね上がっていった。史上最も高額な懸賞金はウサマ・ビン・ラディンの2500万ドルだが、これに関しては少し意味合いが違うだろう。

殺人19件などの罪状によるバルジャーの懸賞金には、FBIのメンツが賭けられていた。バルジャーはFBIにとって、彼らがかざす正義を根底から覆してしまうほどの存在だったのだ。

裏社会にとっても史上最も黒いスキャンダル

『ブラック・スキャンダル』はアメリカ史上最も黒いスキャンダルを題材としているわけだが、それは表社会だけが衝撃を受けたものではなかった。

バルジャーが権力を掌握していたアメリカ・ボストンは、犯罪が多い危険な街としても知られている。低所得層が多く住むボストンにはアイルランド系アメリカ人が多く、しばしばこの街を舞台にしたギャング映画が撮られている。クリント・イーストウッド監督の『ミスティック・リバー』(03)やマーティン・スコセッシ監督の『ディパーテッド』(06)がそれである。

この危険な街にあるのは、マフィアやギャングのつながりだけではない。アイルランド系アメリカ人コミュニティの中ににも、強い結束が存在している。警察にタレ込んだ人間は、コミュニティからも裏切り者として制裁を受けるのだ。

犯罪者が集う街ボストンでは、警察と癒着することがタブーとされる暗黙のルールが息づいている。

バルジャーはFBI捜査官コノリーに情報を流すことで、敵対するイタリア系マフィアを排除しようとし、FBIもまたバルジャーを利用して他のマフィアを始末した。バルジャーのこの行為は、マフィアのボスが自ら暗黙のルールを破っていた事実に他ならない。

そのためこのスキャンダルは、アメリカ社会とは別の意味で裏社会にも大きな波紋を呼んだ。まさしくアメリカ史上最も黒いスキャンダルと呼ぶに相応しい事件なのだ。

-ギャング・マフィア, 洋画
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  1. 木下優樹菜 より:

    ボストン自体は低所得者が住む街でも犯罪が多い街でもありませんよ。
    この作品のサウスボストンはそうかもしれませんが。

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