映画を観る前に知っておきたいこと

【カルテル・ランド】メキシコ麻薬戦争の最前線!最も危険なドキュメンタリー上陸

投稿日:2016年3月23日 更新日:

カルテル・ランド

メキシコはヤバイ。何がヤバイって、もう麻薬利権でドロドロすぎて真っ当な道徳観念が取り付くシマもない無法地帯である。『カルテル・ランド』は2006年から続くメキシコ麻薬戦争の最前線を追った命がけのドキュメンタリーフィルムだ。

政府はあてにならない。自分たちの身は自分で守るのだ!と立ち上がった一般市民の組織を追っていたはずが、いつしかその組織もズブズブの癒着沼に落ちていく・・・。

監督はマシュー・ハイネマンと人物で、未だ若きこれからの映画界を担う人材である。『ハートブルー』『ハートロッカー』のキャスリン・ビグロー監督が製作総指揮を勤めた。2016年、第88回アカデミー長編ドキュメンタリー賞にノミネート。文字通り命懸けの取材だったろうに、受賞させてあげて欲しかった。

  • 製作:201年,メキシコ・アメリカ合作
  • 日本公開:2016年5月
  • 上映時間:100分
  • 原題:『Cartel Land』

予告

あらすじ

武装した犯罪組織が「他の犯罪組織から守る」という名目で上納金を課すメキシコ、ミチョアカン州の小さな町。断ったものは残虐な方法で殺され、死体は弄ばれて見せしめに放置される。警察も公権力も賄賂と癒着でズブズブであてにならない。

自分たちの身は自分たちで守るしかない。そう言って立ち上がったのは、一人の町医者ミレススだった。彼の決意に後押しされ、町の住民は自警団を組織。麻薬カルテルの構成員たちを容赦なく取り締まっていく。
カルテル・ランド一方、米国・アリゾナ州では、ティムという男がメキシコからの不法入国者による麻薬密輸を阻止する自警団「アリゾナ国境偵察隊」を運営している。彼らは皆、正義感を胸に立ち上がった有志たちだ。
カルテル・ランド着実に結果を積み重ねていく2つの組織は勢力を拡大して力をつけていくが、やがて少しずつメキシコの闇に飲み込まれていく。

映画を見る前に知っておきたいこと

メキシコはヤバイ

カルテル・ランドメキシコがどれぐらいヤバイところかというと、

  • 麻薬組織幹部を捕らえると宣言した警察署長の家族が皆殺しにされる。
  • これらの問題にメスを入れると宣言した女弁護士がダルマ状態の死体で発見される。
  • 就職先に麻薬組織が普通にある。「明るい職場で楽しく働こう!」的なまるで日本の派遣募集みたいな広告が街中にある。
  • 警察や刑務所など、権力のある機関は賄賂とスパイの巣窟。もう誰を信じたらいいのか分からない。

ちょっと掻い摘んだだけでこれぐらいはヤバイ。国家政府など犯罪組織に普通に脅されて何も出来ない。スパイなんか当たり前にいるから、警察が1000人単位で解雇されることも珍しくない。もちろん再就職先は麻薬カルテルである。

これらの犯罪組織はそれはもう凶悪な組織で、麻薬取引で莫大な財力を誇る反面、圧倒的な武力で縄張りの住民を他の犯罪組織から守ると宣言し、きちんと市民側にも飴を撒く辺りがもう手に負えない。

そんな所に突撃してドキュメンタリーを撮ろうなんて命知らずなことを誰が言い出したのか知らないが、監督のマシュー・ハイネマンをはじめとするスタッフ各位は相当ぶっ飛んでいる。

何せ「不穏分子はとりあえず殺しとこう」というのがこの地域の様式美である。正義の味方と信じて追っている組織ですら、いつしか賄賂と癒着の苗床になるのがメキシコ。目の前の友人がいつ敵になるか分からないのだ。

メキシコの麻薬カルテル

犯罪組織と言われると、多くの人はヤクザやマフィアを想像するだろう。間違っていない。全然間違っていないが、メキシコのそれはちょっと戦闘力の桁が違う。

よく漫画や映画で極道が「戦争じゃぁぁあ~~」と声を荒げるシーンがあるが、メキシコの犯罪組織からすると(笑)のレベル。メキシコで一番危険な組織「ロス・セタス」の存在を知ると、ヤクザが可愛く見えてくる。

ロス・セタス

メキシコで一番ヤバイと言われているの「ロス・セタス」という組織だ。この組織はメキシコ最古の犯罪組織「ガルフ・カルテル」の傭兵部隊から発展した組織である。

これまた何がヤバイって、元メキシコ陸軍特殊部隊隊長とその仲間たちから始まった組織であるため、いわゆる“武闘派”を鼻で笑えるぐらいの戦闘力を誇る。警官やら軍人やらを高給優遇で雇い入れて戦力をさらに増強している上に、自分たちで設立した基地で特殊部隊式の訓練を行っている。

銃やボディーアーマーはもちろん、ヘリ、対空ミサイル、自作装甲車、半潜水艇なども所有している上に、専門の情報組織を傘下に配置しているなど、その戦闘力はもはや軍隊。邪魔する奴は指先ひとつでダウンである。

こいつらだけでも十分に恐ろしいが、こんなのと対等にやり合える大小様々な組織がうようよしている、本当に愛で空が落ちてくるあの世界がメキシコという国だ。

そんな所に突撃してドキュメンタリーを撮ろうなんて命知らずなことを誰が言い出したのか知らないが、スタッフ全員生きて戻れているのだろうか・・・。家族は全く生きた心地がしなかったことだろう。

 

-5月公開, ドキュメンタリー, 洋画
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執筆者:


  1. てんほ より:

    見ました!メキシコの情勢が凄く分かりやすく緊張感が半端なったです。日本にいたら現実離れしていてフィクションかと思いながら見てました。北斗のケンかマッドマックスのような世紀末な国が今のメキシコなんだなと知りました。

    主の説明凄く分かりやすかったです!

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