映画を観る前に知っておきたいこと

ショコラ 君がいて、僕がいる
実在したフランス初の黒人芸人の半生

投稿日:2016年12月19日 更新日:

ショコラ 君がいて、僕がいる

俺たちは、ふたりで一つだ。

奴隷の子として生まれながらフランス史上初の黒人芸人となったショコラと、彼を支えた相方の白人芸人フティット。トゥールーズ=ロートレックの絵のモチーフとなり、映画の祖・リュミエール兄弟の映画にも出演した伝説の芸人コンビ“フティット&ショコラ”の半生を描いた愛と感動の実話。

憧れのパリの名門ヌーヴォー・シルクの専属となったショコラとフティットは一世を風靡するが、人種差別の苦しみから逃れるようにショコラはギャンブルに狂っていく……

ショコラを演じるのは、『最強のふたり』(11)でセザール賞主演男優賞に輝いたオマール・シー。彼を支えた相方のフティットを、チャールズ・チャップリンの実孫であるジェームス・ティエレ。

ショコラの苦悩に胸を締め付けられ、二人のコンビ愛に感動する。

予告

あらすじ

19世紀末のフランス北部。落ち目の白人芸人フティット(ジェームズ・ティエレ)は、さびれたサーカス団に仕事を求めてやってきた。そこで人食い族を演じていた黒人団員カナンガ(オマール・シー)に興味を持ったフティットが彼をコンビに誘ったことで、前代未聞の“白人と黒人の芸人コンビ”が誕生した。

ショコラ 君がいて、僕がいる

© 2016 Gaumont / Mandarin Cinema / Korokoro / M6 Films

カナンガは芸名ショコラを名乗り、“フティット&ショコラ”となった二人は、連日サーカスを満員にするほど人気を博していった。やがて“フティット&ショコラ”の活躍はパリにまで響き、二人は憧れの名門ヌーヴォー・シルクの専属となった。

ショコラ 君がいて、僕がいる

© 2016 Gaumont / Mandarin Cinema / Korokoro / M6 Films

そんな中、ショコラは美しい看護師マリー(クロチルド・エム)と出会い、互いに惹かれていく。しかし何もかもうまくいきかけた矢先、ショコラは不法滞在の容疑で連行されてしまう。

凄惨な拷問に耐えたショコラはヌーヴォー・シルクの座長の計らいで釈放されたが、奴隷の子として生まれ差別を受けてきたショコラにとって変えられない現実は深い傷となった。ショコラはそんな心の傷を隠すように酒とアヘンに溺れ、ギャンブルにはまってゆく……

映画を観る前に知っておきたいこと

日本で公開されたフランス語映画の中で歴代1位のヒット作『最強のふたり』(11)で主演を務めたことでオマール・シーは日本でも馴染み深い俳優となった。そして本作は本国フランスで、そんな『最強のふたり』を超えるコンビものの感動作としてこの映画は多くの話題を読んだ。

チャールズ・チャップリンの実孫であるジェームス・ティエレとのコンビは、実在の“フティット&ショコラ”がそこにいるような錯覚を与えてくれる。

実在のショコラ

日本ではあまり知られていないが、フランス初の黒人芸人であるショコラは笑いによって世界を変えることができる可能性を示した人物だった。

彼が活躍した19世紀末から20世紀初頭は、“人間動物園”と称して植民地の有色人種が見世物にされるなど、人種差別が当たり前のようにまかり通っていた時代だ。

そんな時代の下、“フティット&ショコラ”としてエンターテイメント業界に革命を巻き起こす偉業を成し遂げたショコラだが、彼の功績を讃える資料は殆ど残されていない。そのため本作は、ショコラの希少な資料としてジェラール・ノワリエルの著書「ショコラ 歴史から消し去られたある黒人芸人の数奇な生涯」を基に製作されている。

しかし彼の情報がない一方で、19世紀末のフランスを代表する画家トゥールーズ=ロートレックの絵や、トーマス・エジソンと並び称せられるフランスの映画発明者リュミエール兄弟の映画に登場しており、芸術がショコラを現代に伝える役割を担ってくれているのだ。

リュミエール兄弟の映画に出演するショコラ

-ヒューマンドラマ, 伝記
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