映画を観る前に知っておきたいこと

【クリムゾン・ピーク】ギレルモ・デル・トロ監督によるゴシックホラー

投稿日:2015年12月5日 更新日:

クリムゾン・ピーク

『パンズ・ラビリンス』(2006)でダークファンタジー映画のヒットメーカーとして知られるようになった鬼才ギレルモ・デル・トロ監督の最新作。『アリス・イン・ワンダーランド』のミア・ワシコウスカ、『アベンジャーズ』のトム・ヒドルストン、『ゼロ・ダーク・サーティ』のジェシカ・チャスティンなど豪華キャストで送るギレルモ・デル・トロ監督史上最も美しいダークファンタジー。

死んだはずの人が見えるイーディス。父親の謎の死をきっかけに恋人トーマスと結婚することになった彼女は、トーマスや彼の姉ルシールと一緒に暮らし始める。その屋敷は、冬になると地表の赤粘土が雪を赤く染めることから「クリムゾン・ピーク」と呼ばれる山頂にあった。そこには恐ろしくも美しい秘密が……

  • 製作:2015年,アメリカ
  • 日本公開:2016年1月8日
  • 上映時間:119分
  • 原題:『Crimson Peak』
  • 映倫区分:R15+

予告

あらすじ

10歳の時、死んだはずの母親の霊を見たことによりイーディス(ミア・ワシコウスカ)は、それ以来幽霊が見えるようになった。イーディスの父は一代で会社を立ち上げた実業家であった。そして父の会社との交渉のためイギリスからやって来たトーマス(トム・ヒドルストン)とイーディスは恋に落ちる。しかし、父はトーマスがイギリスへ帰るように仕向けるのだった。すると翌日、父の死体が発見される。トーマスとイーディスはその不可解な死をきっかけに結婚することになる。二人は、トーマスの姉ルシール(ジェシカ・チャステイン)と一緒にある屋敷で暮らし始める。クリムゾン・ピークそこは冬になると地表に露出した赤粘土が雪を赤く染めることから、「クリムゾン・ピーク」と名付けられた山頂にある大きな屋敷だった。イーディスがそこでの暮らしに慣れてきた頃、深紅の亡霊たちが現れ、「クリムゾン・ピークに気をつけろ」と警告されるのだった。亡霊たちの言葉の意味とは一体何なのか?そして亡霊たちに導かれるようにイーディスは、この屋敷の恐ろしくも美しい秘密に迫っていく……

映画を見る前に知っておきたいこと

鬼才ギレルモ・デル・トロ監督

ギレルモ・デル・トロ監督と言えば、本作と同じダークファンタジーの『パンズ・ラビリンス』(2006)が代表作であり興行的にもヒットしている。この作品以降はファンタジー映画の雄として不動の評価を得ている。しかし、ヒットメーカーでありながら同時に鬼才とも言われるのがギレルモ・デル・トロ監督である。

それは、お得意のダークファンタジー以外に『パシフィック・リム』(2013)のようなSF作品も手掛けていることが大きな理由となっている。この作品は、巨大怪獣に立ち向かうロボットを描いたもので、まるで日本の特撮のような映画である。それにも理由があって、ギレルモ・デル・トロ監督はとにかく日本の特撮やアニメを愛して止まない。その姿は親日家というレベルではなく、ただのオタクである。

もともとメキシコ出身のギレルモ・デル・トロ監督は、幼少期にメキシコでも放送されていたウルトラマンにハマったのがきっかけだと言う。来日する度に、玩具やフィギアを山のように買い、今ではそれらを飾るためだけの家が2軒あるのだとか……

そうした日本のオタク文化を愛することが、同じファンタジーでも『パシフィック・リム』のような作品も生み出す要因となっている。外人からすると鬼才に見えてしまうのも仕方のないことかもしれない。逆に僕たち日本人からすれば、とても親しみ易い監督である。そしてギレルモ・デル・トロ監督は宮崎駿を始め、手塚治虫、押井守、高畑勲など挙げればきりがない程多くの日本人クリエーターから影響を受けているので、彼の映画でそれを感じることもできると思う。

ギレルモ・デル・トロ監督が最も影響されたのが宮崎駿

ギレルモ・デル・トロ監督が最も影響を受けているのが宮崎駿でありジブリ作品である。本作『クリムゾン・ピーク』の世界観にも少し通じる気がするのは僕だけだろうか。

ジブリ作品の中にダークファンタジーやホラーがあるわけではないが、例えば代表作である『千と千尋の神隠し』なんかは恐いという感想を抱いた人は多くいる。『となりのトトロ』にも過去の誘拐事件を臭わす裏設定があるとかよく話題になっている。それが本当ならメルヘンとダークファンタジーの中間のような作品かもしれない。裏設定は噂なのでとりあえず置いておくが、ジブリ作品にはどれも深いテーマがあるのは間違いない。

『クリムゾン・ピーク』もダークファンタジーでありホラーであるが、いわゆるホラー映画のようにただ観客が恐怖するような作品ではない。どちらかと言うと、主人公の女性・イーディスの苦悩に焦点が当てられている。幽霊も出てくるわけだが、それはイーディスの苦悩を描くための登場人物のようでもあり、ホラー映画のゾンビのような存在ではない。こうした手法はジブリ作品とも似ている。

ギレルモ・デル・トロ監督によるゴシックホラー

本作の見所の一つが、これまでのギレルモ・デル・トロ監督作品の中でも最も美しさが際立っている点だ。これは『パンズ・ラビリンス』や他の作品でも味わえない新しい魅力だろう。監督自身が世界で最も美しい映画だと語っていた程だ。

そしてその大きな要因が本作がゴシックホラーであるということだ。舞台となる古い屋敷はいかにもゴシック調の豪華な造りで、とにかく映画全体の絵が美しい。鬼才と言われ、変わった映画を撮るギレルモ・デル・トロ監督だが、単純に映像として凄まじいレベルにいる。こんな絵が撮れる監督はそういない。そこに更にミア・ワシコウスカの美貌もその世界観に一役買っている。

ちなみにゴシックホラーとは、中世ヨーロッパのゴシック風の古城や寺院などを舞台にして、超自然的な怪奇を描いたホラー映画だ。ティム・バートンなんかもゴシックホラーの要素を持つ監督である。ギレルモ・デル・トロ監督によるゴシックホラーというのはファンにとっては興味をそそられるのは間違いないだろう。

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