映画を観る前に知っておきたいこと

【エベレスト 3D】エベレスト史上最大の遭難事故を映画化!

投稿日:2015年10月9日 更新日:

エベレスト 3D

1996年に起きたエベレスト史上最大といわれる遭難事故を3Dで映画化した山岳サバイバル。人が生きていられないと言われる「デス・ゾーン」での生き残りを賭けた戦いを描いた。

主演は『ターミネーター:新起動 ジェニシス』のジェイソン・クラークをはじめ、『ナイトクローラー』のジェイク・ギレンホール、『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』のキーラ・ナイトレイ、他、ジョシュ・ブローリン、サム・ワーシントンら豪華キャストが共演。

監督は『2ガンズ』『ハード・ラッシュ』のバルタザール・コルマウクルが務める。

  • 製作:2015年,アメリカ・イギリス合作
  • 日本公開:2015年11月6日
  • 上映時間:121分
  • 原題:『Everest』

予告

あらすじ

ニュージーランドで登山ガイド会社を営むロブ・ホールの率いる登頂ツアーがネパールに到着した。

一行は約1カ月間、エベレストのベースキャンプ(標高5,364メートル)で入念な準備を整え、いよいよ頂上を目指す冒険に出発する。合流した別のツアーと協力体制を組みながら、順調に第4キャンプ(標高7,951メートル)まで登っていく。エベレスト 3Dそして、ついにやって来た頂上アタックの日、固定ロープの不備や参加者の体調不良など、数々のトラブルを乗り越えながらも登頂に成功。しかし、トラブルによってスケジュールが狂い、下山の時間は大幅に遅れてしまっていた。エベレスト 3Dさらに、登山隊の下山を待ち構えていたかのように天候が急激に悪化。体が徐々に死んでいくと言われる標高8000m「デス・ゾーン」でメンバーは散り散りになってしまう。

人間が生きていられない領域でのサバイバル。

果たして全員無事にキャンプへ辿り着くことは出来るのか……

映画を見る前に知っておきたいこと

これまでの山岳サバイバル映画との違い

エベレスト 3D山岳サバイバルの見所はやはり共通して臨場感と映像美に集約されるように思う。

大自然を相手にしたサバイバル映画では、自分では到底行くことが出来ない非日常感と、それを身近に感じることが出来るリアリティのバランスが難しい。なので、こういった映画は実話をもとに作られることが多い。

近年の山岳サバイバルの名作と言われる『運命を分けたザイル』や『アイガー北壁』、昨年公開されたエベレスト人類初登頂のエピソードを描いた『ビヨンド・ザ・エッジ』などなど、すべて実話をもとに描かれている。

そんな中で、『エベレスト 3D』の特異な点は公募で集まった顧客と、それを案内するガイドの隊の登頂だというところだろう。つまりは、素人である。

ジェイソン・クラーク扮する主人公のロブ・ホールは、当時29歳の時に七大陸最高峰登頂最年少記録を樹立した登山家だ。エベレスト登頂経験は、1996年を含めて5回。これは当時のエベレスト登頂最多記録でもある。

そのうち3度目は妻のジャンと一緒に登頂している他、個人で経営したアドベンチャー・コンサルタンツ社として39名の顧客を登頂に成功させた。

この遭難事件は、彼を含む8人のガイドと17人の顧客の商業登山で起きた事件である。その点で、他の山岳サバイバルにはない特殊なコンプレックスを生んでいる。

『エベレスト 3D』がお金を出してエベレストを登る人間たちのコンプレックスドラマをどこまで描くのかという点は、この映画ならではの見所と言えるだろう。

実話を基にした物語

この映画のもとになったのは、1996年に実際に起きたエベレスト史上最大といわれる遭難事故だ。どんな事件だったのかを知る事で、本作で描かれる人間ドラマをよりリアルに感じられる。完全にネタバレになってしまう可能性があるので映画を見た後に是非!

click 1996年「エベレスト大量遭難」
エベレスト登山史上最悪の遭難事件は、8名の登山家が死亡した大惨事となった。

遭難した登山隊は商業登山ツアーの公募で組まれた隊で、エベレストに登りたいという個人が顧客として出資し、ガイドに引率されて登頂を目指す隊だった。探検家ロブ・ホールを筆頭にガイド3名、顧客9名。他に、スコット・フィッシャーが引率した隊の13名も合流した。

一行は午前12時に登頂を開始。ロブ・ホールは、山頂に到達できなくても午後2時になったら下山するよう厳しく指導していたにもかかわらず、山頂に到達したのは午後3時だった。

予定時間を大幅に過ぎて下山するメンバーたち。午後5時を過ぎた辺りから天候が荒れ始める。下山は困難となった隊は遭難、ガイドのロブ・ホール、スコット・フィッシャーを含めた8名の死者を出す史上最悪の遭難事故となった。

日本人女性として2番目のエベレスト登頂を果たした難波康子も参加していたが、彼女もまた帰らぬ人となった。何とかキャンプまで引き返せた者もいたが、凍傷によって指や鼻を失うなどし、無事にとはいかなかったようだ。

以上が、この映画の題材となった1996年「エベレスト大量遭難」の概要である。

さらに詳しい内容を知りたいという人は、日本語のwikiがあるのでそちらを参考にしてほしい。
1996年のエベレスト大量遭難 wikipedia

評価・感想(ネタバレ)

リアリティとドラマ性のバランス

圧倒的な映像体験はエベレスト登頂をよりリアルに伝え、その美しさと過酷さを余す事なく伝えてくれる。撮影がエベレストで行われた事も映画によりリアリティをもたらしている。

ストーリーに関しても実際の遭難事故を忠実に再現しているので、登場人物が多く、観客はその情報を処理するのに時間が掛かってしまうという問題が生まれるが、そこは遭難事故が起こるまでの前半1時間を使ってそれぞれの人間ドラマを丁寧に描く事でカバーしている。

それにより観客は感情移入し易く、後半の圧倒的な映像体験まで辿り着く頃には、映画に入り込めるようになっている。登山家たちが魅了される美しいエベレストと、一瞬の判断ミスで命を奪う非常なエベレストの両方を感情移入なしで感じ取る事はできない。

リアリティとドラマ性のバランスがうまく保たれた映画だ。

世間の酷評

サバイバル映画として見ると、前半1時間を使って人間ドラマを描く事に関しては賛否両論あるようだ。また、それだけの時間を割いたわりに人間ドラマが薄いという酷評も。

こうした意見も分からなくはないが、実際はサバイバル映画というよりは伝記映画に近い。観客にスリリングな展開を見せるより、真実を伝えようとした結果だと思っている。

人間ドラマが薄く感じるのも、大金を払ってエベレスト登頂に参加する人たちに感情移入できないからという理由が多かったが、事実なのでこの設定を変える事もできない。

映画に何を求めるかによって、その評価も変わってくるだろう。

-サバイバル, 伝記, 洋画
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