男たちは“顔”を賭けて闘った!
冷酷無比のテロリスト、トロイによって最愛の息子を殺されたFBI捜査官アーチャー。彼らは、最も憎むべき互いの顔を入れ替え、壮絶な死闘を繰り広げる。
監督は『男たちの挽歌』(86)などで香港ノワールの一時代を築き、ハリウッドへと渡ったジョン・ウー。『レッドクリフ』(08)で知られる彼の出世作にして、90年代を代表するバイオレンス・アクション巨編。FBI捜査官と凶悪犯が互いの顔を入れ替えるというSF的な設定から、自我に揺れる男の葛藤までを描き出す。
FBI捜査官アーチャーをジョン・トラボルタ。彼の息子を殺したテロリスト、トロイにニコラス・ケイジ。大物俳優二人による完璧な入れ替わり劇は、時代を超えて今尚スリリングだ。
Contents
- 1 予告
- 2 あらすじ
- 3
映画を観る前に知っておきたいこと
- 3.1 叙情的アクション
予告
あらすじ
FBI捜査官アーチャー(ジョン・トラヴォルタ)は、凶悪なテロリスト、トロイ(ニコラス・ケイジ)によって幼い息子の命を奪われた。以来6年間、トロイの行方を執念深く追い続けたアーチャーは、ついにトロイが弟ポラックス(アレッサンドロ・ニボーロ)と共に空港から国外逃亡を図るという情報を掴む。壮絶な銃撃戦の末、トロイは昏睡状態に陥ったが、彼はロサンゼルスに時限式の細菌兵器爆弾を仕掛けていた。
逮捕された弟のポラックスから爆弾の在り処を聞き出そうとするも、彼は兄以外の人間を信用していない。そこでアーチャーに極秘指令が下る。トロイの顔を移植することで彼に成りすまし、刑務所内のポラックスに接近せよというのだ。事態がひっ迫する中、アーチャーは家族にも明かすことのできないこの任務を引き受けることを決意。ウォルシュ博士(コーム・フィオレ)による手術を受け、刑務所に送り込まれたアーチャーは、ポラックスから爆弾の在り処を聞き出すことに成功した。
しかしその頃、昏睡状態だったトロイが奇跡的に意識を回復させてしまう。ウォルシュ博士を脅しアーチャーの顔を自分に移植させたトロイは、この秘密を知る者たちを皆殺しにする。その後、彼はFBI捜査官アーチャーとしての地位を利用しポラックスを釈放、自ら爆弾を解除することで一躍ヒーローに。一方、刑務所に取り残されたアーチャーは哀しみと怒りに支配され、誰一人味方がいない絶望的な状況の中で脱獄を試みるが……
Sponsored Link映画を観る前に知っておきたいこと
劇中のトロイの言葉を借りるなら、善と悪の果てしなき闘い、あるいは聖者対罪人か。そんな如何にもハリウッドが好みそうな勧善懲悪の形式を、敢えて逆手に取った善悪の逆転現象。『フェイス/オフ』は、そこから自我に揺れる男の葛藤までを描き出した点であまりに秀逸である。
ジョン・トラボルタがFBI捜査官アーチャーと凶悪犯トロイを演じれば、ニコラス・ケイジもまた凶悪犯トロイとFBI捜査官アーチャーを演じてみせる。強烈な個性を持つ二人が1つのキャラクターを演じる共同作業でこそ、その二面性が浮き彫りとなり、本来の自分を見失っていく複雑な感情が表現される。
そして、“バイオレンスの詩人”という呼び名に違わぬジョン・ウー独自の美しいアクションが、それをより叙情的に見せるのだ。
叙情的アクション
あのクエンティン・タランティーノやマーティン・スコセッシすらも影響されたというジョン・ウー・アクション。その代表的な演出である華麗な二丁拳銃、銃撃戦の最中に舞う白い鳩、立て続けのカット割りからのスローモーションは『フェイス/オフ』でも随所に使われている。
中でも、因縁の二人が対峙する瞬間の鏡越しのメキシカン・スタンドオフ(至近距離から互いに銃を向け合っている状態)は、トラボルタとケイジの演技に呼応するように、緊迫のアクションシーンと同時に二人の感情までを映し出していく。ジョン・ウーの演出が叙情的であるほど、またトラボルタとケイジによる入れ替わり劇もより完璧に、そして観る者をさらに困惑させるのである。
映像技術が日々目覚ましい進化を続ける映画業界において、エンターテーメントの最たるアクションというジャンルは、ひときわ時代の流れが速い。アクションシーンの激しさに依存する作品ほど、時代の波によって急速にその輝きを失ってしまうものだ。しかし、『フェイス/オフ』はその叙情的アクション故、決して時代によって色褪せることはない。
作品データ
原題 | 『Face/Off』 |
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製作国 | アメリカ |
製作年 | 1997年 |
公開日 | 1998年2月28日 |
上映時間 | 138分 |
キャスト
キャスト | ジョン・トラボルタ |
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ニコラス・ケイジ | |
ジョーン・アレン | |
アレッサンドロ・ニヴォラ | |
ジーナ・ガーション | |
ニック・カサベテス | |
ドミニク・スウェイン | |
CCH・パウンダー | |
ロバート・ウィズダム | |
ハーブ・プリズネル |
監督・スタッフ
監督 | ジョン・ウー |
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脚本 | マイク・ワーブ |
マイケル・コリアリー | |
製作 | デビッド・パーマット |
テレンス・チャン | |
クリストファー・ゴドシック | |
バリー・M・オズボーン | |
製作総指揮 | マイケル・ダグラス |
スティーブン・ルーサー | |
ジョナサン・D・クレイン |
この頃のニコラスケイジは
すごく好きでした!
一番はザ・ロックですが。
『ザ・ロック』ということは、谷下さんは僕と同じ世代かもしれないですね。ニコラス・ケイジの狂気がいいです。