スコットランドの世界的人気バンド「ベル・アンド・セバスチャン」のフロントマンを務めるスチュアート・マードックが脚本、監督を手がけた青春ミュージカル映画。2009年リリースのソロ・アルバム「ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール」をサントラとしてイメージを膨らませた世界観と、こだわりの16mm撮影で撮られた美しく繊細な映像、そして物語を彩る70年代風のポップなファッションや音楽はヌーベルヴァーグを思わせる。また映画のいたる所にザ・スミスやザ・パステルズなど音楽の小ネタも散りばめられ音楽ファンの心をくすぐる仕上がりになっている。
『エンジェル・ウォーズ』のエミリー・ブラウニングがヒロインをキュートに演じ、『ウィークエンドはパリで』のオリー・アレクサンデル、テレビシリーズ『ゲーム・オブ・スローンズ』のハンナ・マリーが共演する。プロデューサーは『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』『ライフ・アクアティック』を手掛けたバリー・メンデル。監督のスチュアートと共に10年かけてこの作品を完成させた。
イギリスのスコットランド・グラスゴーを舞台に、20代の若者たちの恋と痛みが、軽やかな音楽に載せて描かれる。そして、ひとりぼっちだった少女と少年が出会い、奇跡のような最高の音楽が生まれた。
- 製作:2014年,イギリス
- 日本公開:2015年8月1日
- 上映時間:111分
- 原題:『God Help the Girl』
- 原作:アルバム『God Help the Girl』スチュアート・マードック
Contents
予告
あらすじ
舞台はスコットランドのグラスゴーのとある街。入院中の少女イヴは、一人ピアノに向かい曲を書いていた。ある日、彼女は、病院を抜け出し向かったライブハウスで、アコースティック・ギターを抱えたジェームズに出会い、さらに友人のキャシーを紹介された。そこから2人の少女と1人の少年は一緒に音楽を作り始めることに。うつ病と拒食症を患っているイヴは時折、触れると壊れそうなほどの悲しげな表情を見せる。将来への不安や目標を見つけられないでいたイヴだが、音楽は彼女に生きる目的を与え、目の前に続く道となっていく。
レコードを出すことが夢で、密かにイヴに恋をする理屈屋のジェームズ。
天真爛漫な年下のキャシー。
その夏、3人の友情と恋が、音楽に載って始まった。
映画を見る前に知っておきたいこと
ベル・アンド・セバスチャン(Belle and Sebastian)
『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』を見る人は、ベル・アンド・セバスチャンのファンが多いと思うが、素晴らしいバンドなので知らない人のために少し紹介しておく。
映画同様、1996年にグラスゴーで結成された。インディ・ギター・ポップの流れを汲んだサウンドと珠玉のメロディが生み出すハーモニーが特徴だ。数多くの作品をUKチャートに送り込み、マーキュリー・プライズやブリット・アワードなど数多くの名誉に輝いており、高い評価を得ている。日本でもフジロック・フェスティバルのホワイト・ステージでヘッドライナーを務めるぐらい人気がある。
この「Dirty Dream #2」は、3rdアルバムの曲でわりと初期の作品ではあるが、ファンの間でも人気のある1曲だ。
本作の『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』は監督・脚本のスチュアート・マードックがベル・アンド・セバスチャンとは違う新しいものを作ろうとしたことから生まれているが、やはりベル・アンド・セバスチャンの音楽性とも映画の雰囲気はどことなく通じるものがあると思う。この独特のポップさはスチュアート・マードックの中に常に存在するのだと思う。
『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』爆音上映会
先日、ベル・アンド・セバスチャンのフジロック・フェスティバル来日記念として、渋谷クラブクアトロで『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』の爆音上映会があった。さすがに映画を見るために東京までは行けなかったので、ただ羨ましいイベントでしかなかったが。おそらく映画とライブが同時に楽しめるような演出として企画されたのだと思うが、ぜひ体感してみたかった。普通の映画館ではライブハウスのような音響ではないし、想像を掻き立てられる。
こんなイベントはそうないだろうから、普通の映画館でもいいので爆音上映会をやってみてほしいものである。しかし、実際は田舎では『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』すら上映されないのだが。少しマニアックな映画が好きな僕には悲しい事情だ。レンタルが開始されたら、知り合いのライブもできるバーで上映してもらおうと思っている。