映画を観る前に知っておきたいこと

ジムノペディに乱れる
退廃的で官能的、28年ぶりのロマンポルノ

投稿日:2016年11月3日 更新日:

ジムノペディに乱れる

大人になっても、男は愛の未熟者。

日活の成人映画レーベル「ロマンポルノ」の45周年を記念し、日本映画界の第一線で活躍する監督たちが新作ロマンポルノを手掛ける「日活ロマンポルノ・リブート・プロジェクト」第1弾!

『世界の中心で、愛をさけぶ』(04)、『ピンクとグレー』(16)の行定 勲監督による初のロマンポルノ作。

自身も映画監督として活躍する板尾創路が、全てを失い自暴自棄になっている映画監督の男・古谷を演じる。ロマンポルノとして否応にもちゅ木が集まるヒロインには、BOMIの名前でミュージシャンとして活動してきた芦那すみれ。透明感の溢れる美しさで本格的な映画デビューを果たした。そしてもうひとりのヒロインにNHK大河ドラマ「真田丸」で注目される若手女優・岡村いずみ。二人が初めての濡れ場シーンへ挑戦する。

男と女の永遠のテーマをエロティックに描く、漂泊の一週間。それは、美しい音楽にのせ官能的に見せる、切なく不器用な大人のラブストーリー。

予告

あらすじ

1週間。撮れない日々が続く映画監督の古谷(板尾創路)は、鬱屈とした気持ちを抱えながら、肌のぬくもりを求めて女たちの隙間を彷徨っていた。

ジムノペディに乱れる

© 2016 日活

仕事、名声、そして愛……全てを失った男が、辿り着いた先に見つけたものとは……?

映画を観る前に知っておきたいこと

「日活ロマンポルノ・リブート・プロジェクト」によってついに大人たちの映画の時間が幕を開ける。ロマンポルノが一斉を風靡した頃、まだ生まれてもいなかった今の大人たちはこの映画を一体どんな顔で観るのだろう。そして、かつてロマンポルノを愛したファンは何を望むのか?

全5作の完全新作が公開される「日活ロマンポルノ・リブート・プロジェクト」は、それぞれの監督たちの個性が映える実に多様な作品に出会える。このプロジェクトに挑む5人の監督、園 子温・中田秀夫・行定 勲・白石和彌・塩田明彦。そこには、かつてのロマンポルノにオマージュを捧げる者、全く新しい解釈に挑む者。そんな中、記念すべき第1弾に選ばれた本作はどんな映画なのか?

かつてロマンポルノに見た芸術性

「日活ロマンポルノ・リブート・プロジェクト」第1弾にして、最も官能的なこの作品。恋愛映画の名手行定 勲による作品だけあって、エロチシズムを追究しながらも、この映画にある哀愁と名曲「ジムノペディ」の雰囲気がマッチした大人の恋物語となっている。

ロマンポルノが最後に撮られた1988年から実に28年ぶりとなる新作に、どこか退廃的な空気を持ったこの作品が選ばれたことが、かつてロマンポルノにあった芸術性を再確認させる。

ジムノペディとは?

映画のタイトルにもなっているジムノペディとは、フランスの作曲家エリック・サティが1888年に作曲したピアノ独奏曲である。第1番から第3番までの3曲で構成され、中でも第1番がサティの代表的な作品となっている。予告の冒頭に少しだけ流れるのがジムノペディの第1番だ。

3/4拍子のゆったりとしたテンポ、装飾を排した簡素な曲調、独特の愁いを帯びた旋律が映画音楽として、男と女の永遠のテーマを綴るに相応しい。そして、それに乱れると付け加えられたタイトルは、激しさではなく、沈んでいく深さを連想させる。

Erik Satie Gymnopédie No.1

-恋愛, 邦画
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