映画を観る前に知っておきたいこと

【ヘイル、シーザー!】映画界の至宝コーエン兄弟最新作!

投稿日:2016年3月28日 更新日:

もはやハリウッド屈指のフィルムメーカーとなったコーエン兄弟。作品が公開される度、世界の映画賞を取りまくる。カルト的人気と興行的成功が同居する映画ファンが無視できない存在だ。そんなコーエン兄弟の3年ぶりとなる最新作は、10年以上温めたテーマをもとに描かれるお得意のサスペンス・コメディだ。

ジョシュ・ブローリン、ジョージ・クルーニー、スカーレット・ヨハンソン、フランシス・マクドーマンド、ティルダ・スウィントンといったコーエン兄弟作品の常連組に、チャニング・テイタム、レイフ・ファインズ、ジョナ・ヒルら主演級が加わり、いつも以上の豪華なキャスティングが実現している。

第66回ベルリン国際映画祭オープニング作品として早くも注目を集め、アカデミー賞の受賞は終わったばかりだが、来年のアカデミー賞大本命であることは間違いない!

  • 製作:2016年,アメリカ
  • 日本公開:2016年5月13日
  • 上映時間:106分
  • 原題:『Hail, Caesar!』

予告

あらすじ

ハリウッド黄金期の1950年代。

ヘイル、シーザー!

スタジオの命運をかけた超大作「ヘイル、シーザー!」の撮影中に、主演を務める大スター、ウィットロックの誘拐事件が発生する。

ヘイル、シーザー!

事件解決のために白羽の矢を立てられたのは貧乏くじばかり引かされる“スタジオの何でも屋”。

ヘイル、シーザー!

お色気たっぷりの若手女優やみんなの憧れのミュージカルスター、演技のド下手なアクション俳優らを巻き込んで難事件解決に挑む!

映画を見る前に知っておきたいこと

映画界の至宝コーエン兄弟

ヘイル、シーザー!

あまりこうした映画の勧め方は好きではないが、「あのコーエン兄弟の最新作なので見る価値がある」とあえて言わせてほしい。コーエン兄弟の作品が絶対おもしろいと言い切るつもりはないが、今現在世界で最重要の監督であることは間違いない。

『バートン・フィンク』(1991)はカンヌ国際映画祭において同映画祭初の主要3部門(パルム・ドール、監督賞、男優賞)を制覇し、『ファーゴ』(1996)『バーバー』(2001)でも監督賞を受賞している。カンヌで3度の監督賞を受賞したのもコーエン兄弟が初である。また『ノーカントリー』(2007)ではアカデミー賞4部門(作品賞、監督賞、助演男優賞、脚色賞)を制覇し、過去に4度のアカデミー賞を受賞した経験を持つ。

最新作の度に世界の映画賞を賑わしているコーエン兄弟の受賞歴を挙げればきりがないが、この監督の本当に凄いと思わせるところはカルト的人気と興行的成功が同居していることだ。普通、この2つは相容れないものだが、なぜかコーエン兄弟の作品においては例外となっている。

難解であるにもかかわらず、誰が見てもおもしろい。そんな映画が撮れる監督は他にいない。『ノーカントリー』はコーエン兄弟の作品の中で最もそれを体現した映画である。全世界で1億6000万ドルを上回る興行収入を記録しているが、多くの映画ファンがその解釈を巡って議論した。ネット上でもこれほど解説を求められた映画はあまり例を見ないのではないか。

しかし、それだけ理解に苦しみながらおもしろくないという意見がほとんどないのが『ノーカントリー』なのだ。僕も理解に苦しんだ一人だが、20回以上見直してようやく自分が納得できる解釈に辿り着いた。初めて見た瞬間からおもしろいと感じたことで、逆にどうしても理解したいという欲求にかられてしまった。難解な映画に出会った時、意味がわからなければおもしろくないと思うはずがそうならなかったのだ。もちろん理解できればおもしろさはさらに増した。

そしてネット上で様々な解釈を目にするうちに、こんなに多くの映画ファンが一つの映画について議論していることが奇跡だと思うようになった。難解な映画は興行的に振るわないことが多い中、『ノーカントリー』のような作品を生み出したコーエン兄弟を心の中で賞賛した。僕たちは結局、映画についてああだこうだと語るのが好きなのだ。それをこんな多くの映画ファンと共有できたのは幸せ以外の何ものでもない。

そんな貴重な体験をさせてもらったことでコーエン兄弟は僕の中で特別な監督となっている。コーエン兄弟は間違いなく今の映画界の至宝である。

-コメディ, 洋画
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