恋じゃない。けど ──
友達より、トクベツ
ミステリー作家・初野 晴の大ヒット青春推理小説『ハルチカ』を原作に、『箱入り息子の恋』(13)の市井昌秀監督が実写映画化に挑む。
廃部寸前の吹奏楽部を存続させようと奔走する穂村千夏と幼馴染の上条春太。どうにか清水北高吹奏楽部はコンクール出場に向けて走り出すが、そこからハルタの葛藤、チカの挫折、そして相手を受け入れることの難しさを知っていく ──
チカ役に『セーラー服と機関銃–卒業–』(16)スクリーンデビューを飾った橋本環奈、方や本作が映画デビューとなるSexy Zoneの佐藤勝利がハルタ役に。二人をW主演に迎え、原作とは異なる青春ラブストーリーに生まれ変わったもうひとつの『ハルチカ』。
Contents
- 1 予告
- 2 あらすじ
- 3
映画を観る前に知っておきたいこと
- 3.1 原作と映画の違い
予告
あらすじ
頼りないけど優しい美男子のハルタ(佐藤勝利)と、真っ直ぐな性格で負けん気の強いチカ(橋本環奈)。ハルタが引っ越してしまうまで幼馴染として育った二人は、高校入学式の日に運命的な再会を果たす。
憧れていた吹奏楽部に入ろうと心に決めていたチカだったが、清水北高吹奏楽部は廃部寸前だった。諦めきれないチカは、ホルン経験者のハルタを巻き込んで部員集めに奔走する。

© 2017「ハルチカ」製作委員会
音楽一家に育った芦澤(恒松祐里)、部長の片桐(前田航基)とその彼女・わかば(二階堂姫瑠)、野球部で肩を痛めた宮本(平岡拓真)、チューバソロコンサート入賞の実力を持つ妙子(上白石萌歌)、登校拒否中のカイユ(清水尋也)、ワケありの部員たちとコンクール出場という一つの目標に向かって進み出したチカとハルタ。

© 2017「ハルチカ」製作委員会
しかしフルート初心者のチカはなかなか皆に追いつけず、ハルタもまたホルンを続けることに悩んでいた。部員たちの不満が爆発しそうになる中、チカの後ろに隠れがちだったハルタに訪れた変化。それぞれの抱えた想いがすれ違う……
Sponsored Link映画を観る前に知っておきたいこと
初野 晴の代表作である『ハルチカ』シリーズは累計55万部を突破するほどの人気作であり、2016年にはアニメ化までされた。その勢いのまま映画化された本作だが、予告を観た原作やアニメを知るファンは戸惑いを隠せないのではないだろうか?
この映画化は原作の推理要素、ハルタが抱える特殊な感情がそっくり抜け落ちてしまっている。
原作と映画の違い
チカとハルタが校内で起こる様々な日常の謎を解決する推理要素、弱小吹奏楽部がコンクールを目指す青春要素、同じ人を好きになった二人が対立する恋愛要素。
原作ではこの3つの要素が混然一体となって『ハルチカ』ワールドを構築していくわけだが、映画にきちんとした形で残されたのは青春要素だけとなっている。
また、ハルタが吹奏楽部の顧問・草壁信二郎に想いを寄せ、チカの恋のライバルとなるのも原作ならではだ。この設定は原作者である初野 晴がチカとハルタの恋愛の可能性を排除し、恋愛小説の枠を超えた世界観を演出するためにあえて用意したとも言われている。事実、この三角関係はなかなか進展をみせていない。
本作で脚本まで務めた市井昌秀監督が、『ハルチカ』が『ハルチカ』であるために必要な要素を削った真意はどうにも計り兼ねる。
ありきたりのラブストーリーと話題のキャストは興行的な成功を呼び込むかもしれないが、原作のファンを置き去りにすることは間違いないだろう。
原作者と監督のコメントを見る限りでは、お互いの意図を汲んだ映画化とも取れるのだが……
「ハルタとチカと草壁先生が出ていれば何をやってもいいです。その代わり原作者と原作のファンに映画の尺に合った完全新作を見せてください」
原作者・初野 晴
「原作がもつ数ある魅力的な要素から、<心に痛みを持つ人たちがそれぞれの居場所を取り戻す>という要素に焦点を当てることで登場人物を丁寧に描き、吹奏楽のもつ意味を重ねながら、オリジナルストーリーとして生まれ変わらせました。もう一つの「ハルチカ」が一人でも多くの皆様の心に届くことを切に願っております。」
監督・市井昌秀
作品データ
原題 | 『ハルチカ』 |
---|---|
製作国 | 日本 |
製作年 | 2017年 |
公開日 | 2017年3月4日 |
上映時間 | 118分 |
原作 | 小説『ハルチカ』 初野 晴 |
キャスト
キャスト | 佐藤勝利 |
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橋本環奈 | |
恒松祐里 | |
清水尋也 | |
前田航基 | |
平岡拓真 | |
上白石萌歌 | |
二階堂姫瑠 | |
志賀廣太郎 | |
小出恵介 |
監督・スタッフ
監督 | 市井昌秀 |
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脚本 | 市井昌秀 |
山浦雅大 | |
製作 | 堀内大示 |
芦田 健 | |
知久昌樹 | |
製作総指揮 | 井上伸一郎 |