満ち足りた生活、幸せのはずなのに何かが物足りないような・・・。精神科医が現代社会で幸せを求める人々の為に執筆し、世界中で大ベストセラーとなった小説がついに映画化。監督は『Shall we Dance?』や『マイ・フレンド・メモリー』など、暖かいヒューマンドラマを描かせたら天下一品のピーター・チェルソムだ。
精神科医のヘクターを演じるのは、『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』で、その姿を観客の目に焼き付けた個性派俳優サイモン・ペッグ。恋人のクララ役に『ゴーン・ガール』は本年度アカデミー賞助演女優賞にノミネートされ、脚光を浴びたロザムンド・パイクが演じる。名優クリストファー・プラマー、ジャン・レノ、トニ・コレットなど豪華な俳優陣が脇を固める。
- 製作:2014年,イギリス・ドイツ・カナダ・南アフリカ合作
- 日本公開:2015年6月13日
- 上映時間:119分
- 原題:『Hector and the Search for Happiness』
- 原作:小説『幸福はどこにある―精神科医へクトールの旅』フランソワ・ルロール
Contents
- 1 予告
- 2 あらすじ
- 3 映画を見る前に知っておきたいこと
予告
あらすじ
幸せってなんだろう? どこにあるんだろう――?
Google先生に聞いても分からない。
答えをさがして、僕は旅に出た。
精神科医のヘクターは、仕事もプライベートも順風満帆。恋人のクララは美人でしっかり者で、現在ロンドンで同棲中。経済的にも不自由しない。しかし、毎日毎日患者たちの不幸話を聞き続けているうちに、自分の人生もなんだか価値の無いもものように思えてきてしまう。
「幸せってなんだろう?どこにあるんだろう・・・?」
ヘクターは「幸せとは何か?」への答えを探して、世界を旅することを決意した。
まずは中国へ。それからチベット、アフリカ、最後にはアメリカへ。各地で出会った”幸せのヒント”を手帳に書き記しながら、彼は旅をした。行く先々でとんでもないハプニングに見まわれながらも、それも全部”幸せのヒント”。
映画を見る前に知っておきたいこと
幸せってなんだ?google先生に聞いてみた。
「あ~あ、何か良い事ないかな」誰もが一度は口にしたことがあるのではないだろうか?「自分には何も良い事なんて起こりません」「自分はどうしようもなく不幸だ」という言葉の裏返しだ。幸せって、何だ・・・?
実はこの「人の幸せとは何か?」という問題、ハーバード大学で実に75年もの歳月をかけて研究が行われている。投じられた予算は2000万ドル、約20億円以上。人生の満足度の統計、年収や年齢、人間関係やIQなど様々な要素との比較、長い年月をかけてあらゆる方面から幸福を研究した。
そして出た結論は「幸福とは愛です。それ以上の何物でもありません」ということ。
詳しくはこちらを参照
GIGAZINE:人を幸せにするものは何か?ということがハーバード大学の75年間の研究で明らかに
愛ってなんだ・・・?
LOVE!?じゃあ愛って何よ!?
英語で言うLOVE、つまりキリスト教が説く「愛」の概念は、仏教では「慈悲」という言葉の方が近いようだ。仏教では逆に「愛」は異性への「執着心」として忌むべきものなのだとか。
キリスト教が広く布教されているアメリカでの長い年月をかけた研究結果「愛が一番」という言葉は、「慈悲が一番」という意味で解釈したほうが性格だと思われる。愛によって傷付いて、自分を不幸だと思う結果は誰もが目にしたことのある光景ではないだろうか。75年もかけて「愛ゆえに傷付く人」の事を研究していないというものまた考えにくい。
つまり、幸福とは何かという研究では、これまでに哲学者たちが語っていること以上のものは何も出てこなかったということ。
哲学者アリストテレスに聞いてみた。
アリストテレスは著書「ニコマコス論理学」の中で、幸福をこう定義付けている。
「幸福とは徳に即して生じる魂の活動である」
うーん・・・。これだけ聞くと全然何のことか分からない・・・。つまり、こういうことだ。
例えば家を建てる場合は、大工の技術は家を建てるという目的に従属する。そして、家を建てるという目的はまた、雨風を凌ぐという目的に従属する。雨風を凌ぐという目的はまた、より良い生活という目的に従属する。
この様に、人間が行う様々な行為は常に何かしらの目的に従属していて、目的は階層を持っている。その階層の一番てっぺん、最も善い、最も美しい、最も快い目的に向かう行為こそ”幸福”である。という考え方。
ともあれアリストテレスの「ニコマコス論理学」をここで全部解説するのは無理なので、幸福とは何か?という壮大なテーマには、そんな考え方も存在するんだな程度の話として聞いて頂ければ。気になる方はぜひ読んでみて。価値観が変わる。
しあわせはどこにある
と、まぁ幸福については人類史が始まって依頼あれこれと考えられてきたわけだが、未だにコレといった答えは一般的になっていない。なので、「幸福とはこれだ!」という答えを自分の中にしっかりと持っておくことが何より重要なのだと思う。
原作の「幸福はどこにある―精神科医へクトールの旅」は、「異性」「金」「事故」「他人との比較」「幸福度測定」などなど、幸福に関わるあれやこれやを探す旅の疑似体験。普段から忙しく、戦士のように日々を早馬で駆け抜けていく人に一息つくのにおすすめの一冊。
原作に比べると、映画は随分コミカルでエイターテイメントよりに作られているようだが、その方が力を抜いて入り込み易いかも知れない。忙しい人生に一息ついて、ヘクターと一緒に幸せを探す旅に出よう。