世界で最も読まれている恋愛小説家ニコラス・スパークス原作の映画は『きみに読む物語』(04)を始め、『メッセージ・イン・ア・ボトル』(99)『親愛なるきみへ』(10)など常にヒットを記録している。そんなニコラス・スパークス自身が認める最高傑作を『ロスト・イン・トランスレーション』(03)をプロデュースしたロス・カッツが映画化する。
幸せを切り裂く過酷な運命。愛を貫くための、人生最大の選択とは?人生に悩む人に贈る奇跡のラブストーリー。
Contents
予告
あらすじ
ノースカロライナ州の海沿いにある小さな町。トラヴィスとギャビーの出会いは最悪だけど運命的だった。その後、結婚した二人は二児を授かり幸せな家庭を築いていた。

©2016, Choice Films”
しかし、悲劇は突然やって来る。久しぶりのデートの約束にトラヴィスが遅れた日、ギャビーが交通事故に遭ってしまう。事故に遭う前、彼女は“蘇生処置拒否指示”の書類にサインしていた……自責の念に駆られるトラヴィスは、意識を取り戻さないギャビーを前に「真実の愛のために人はどこまでできるのか」と何度も自問する。
選択肢は白か黒か、二つしかない。トラヴィスは人生で最も重い、究極の選択を迫られる……
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映画を見る前に知っておきたいこと
ニコラス・スパークス原作映画の特徴
好きな人にとっては堪らないというのがニコラス・スパークスの恋愛小説だが……
彼は速筆なことでも知られ、19年間で実に18冊の長編小説を書いている。しかもその内11作が映画化され、2012年からは毎年公開されている。
多くの映画化作品が興行的な成功を収める反面、映画ファンからの評価が低いのもニコラス・スパークス原作映画の特徴でもある。世界最大の映画批評サイトRotten Tomatoesでこれまで批評家支持率60%を超えたことはない。この数字も、最もヒットした『きみに読む物語』が52%の支持率を集めただけで、実際他の作品の支持率は30%前後が殆どだ。
ただ彼がこれまでに手掛けた小説は累計1億部を記録し、本作の原作である「きみがくれた物語」も全米で500万部のベストセラーとなっていることから多くの人を魅了して止まないのは間違いない。
小説も映画もこれだけヒットしているからこそ、酷評が多くなってしまうのもある意味仕方がないことだ。
恐らく、映画を批評するような人にとっては都合の良いストーリーに映ってしまうのだろう。逆に単純に感動を求める人にとっては理にかなった作品というわけだ。
また、ニコラス・スパークス原作映画はすべて監督が違うのも大きな特徴だ。近年、毎年のようにニコラス・スパークスの原作が映画化可能なのは、制作スタッフが異なるからできることだ。
ニコラス・スパークス原作映画はどの作品も原作の世界観が強いので、監督や脚本が違っても好きな人は“ニコラス・スパークス原作”という基準で映画を選んでもハズさないだろう。
ソフィア・コッポラ監督作品のプロデューサー、ロス・カッツが監督
本作で監督を務めるロス・カッツは、ソフィア・コッポラ監督作品のプロデューサーとして知られる。
『ロスト・イン・トランスレーション』は2003年アカデミー賞脚本賞を始め、世界の映画祭で94部門を受賞したソフィア・コッポラの名前を世間に知らしめた映画だった。
受賞歴の中には、ゴールデングローブ賞作品賞やインディペンデント・スピリット賞作品賞があり、これらの賞はプロデューサーの功績を讃える意味も含まれる。
ソフィア・コッポラ監督の次の作品『マリー・アントワネット』(06)でもロス・カッツはプロデューサーを務めている。この映画も前作『ロスト・イン・トランスレーション』と共通のテーマ“誰も知る人のいない異国にわずか14歳で単身やってきた少女の孤独”を描いた、より女性を意識した映画だった。
この2作で脚本を手掛けたのはソフィア・コッポラ自身であり、その物語りはニコラス・スパークスの世界観とは対局に感じる。
そういう意味では、ニコラス・スパークス原作映画をロス・カッツが監督するというのは、これまでの映画化作品とは違う評価になる可能性は十分にあったが……
『きみがくれた物語』はRotten Tomatoesで批評家支持率12%と、相変わらず低い。
ソフィア・コッポラ監督作品のプロデューサーですら、ニコラス・スパークスの持つ世界観には勝てないようだ。