それは、いちど聴いたらクセになる“しあわせ”
1944年10月25日、世界的音楽の殿堂ニューヨークのカーネギーホールで今もアーカイブの一番人気となっている公演が開催された。出演者はフローレンス・フォスター・ジェンキンス。彼女は類稀な音痴だったにも関わらずチケットは即完売、ホールの外には入りきれない群衆たちが押し寄せたという。
なぜか心を打たれるフローレンスの不思議な歌声を再現してみせたのは、アカデミー賞19度ノミネート、3度受賞のメリル・ストリープ。そして夫シンクレアにはイギリス、ロマンチック・コメディの帝王ヒュー・グラント。二人の歴史的共演で描く、愛のある笑いと勇気がもたらす感動の実話!
Contents
- 1 予告
- 2 あらすじ
- 3
映画を観る前に知っておきたいこと
- 3.1 実話に忠実な仕上がり
- 4 あとがき
予告
あらすじ
ニューヨークの社交界のトップ、マダム・フローレンスの尽きない愛と財産は、夫シンクレアと音楽に捧げられていた。

© 2016 Pathe Productions Limited.
ソプラノ歌手になる夢を追い続けるフローレンスには本人だけが知らない致命的な欠陥があった。それは、彼女が絶世の音痴だということ。愛する妻に夢を見続けさせるため奔走するシンクレアは、お人好しなピアニストのコズメを伴奏者に、マスコミを買収し、信奉者だけを集めた小さなリサイタルを開催する。

© 2016 Pathe Productions Limited.
しかしそんなシンクレアの苦労をよそに、フローレンスは世界的権威あるカーネギーホールで歌うと言い出すのだった。
持病を抱えながらも音楽に生きる彼女の命がけの挑戦に、シンクレアも一緒に夢をみることを決める。さあ、笑いと涙で包まれた奇跡の公演の幕が上がる!
Sponsored Link映画を観る前に知っておきたいこと
実在した音痴な歌姫フローレンス・フォスター・ジェンキンスを題材にした映画は、フランスでも撮られている。今年の初めに日本でも公開された『偉大なるマルグリット』は、本国フランスで驚異的なヒットとなった。
しかし、マダム・フローレンスを描いた映画がことごとく好評なことには驚かされる。それだけ、彼女の音楽を愛する姿勢に多くの人が魅了され、それは今でも変わらないということなのだろう。
実話に忠実な仕上がり
これがヒュー・グラントの存在感か!?
フランスの『偉大なるマルグリット』より、笑いも感動もひと回りスケールアップしている印象を受ける上に、徹底したアプローチによって実話に忠実な仕上がりを見せている。
脚本家ニコラス・マーティンは、マダム・フローレンスと夫シンクレアとの関係まで掘り下げた脚本を用意し、衣装デザイナーのコンソラータ・ボイルはマダム・フローレンスのもうひとつの魅力である華やかなステージ衣装を再現した。
そして、本来歌にも定評があるオスカー女優メリル・ストリープが、マダム・フローレンスのように音程やリズムをハズす“音痴になるためのトレーニング”を行った上で、音楽に対する強い想いと愛情を歌に乗せている。
夫シンクレアはヒュー・グラントが最も得意とする、人を感動させると同時に、おもしろさも兼ね備えている男だ。
笑いと感動の先にある品格が、より多くの人に親しみやすくなったフローレンス・フォスター・ジェンキンスの物語を生み出している。これはヒュー・グラント初のオスカーが狙えそうな出来栄えだ。
あとがき
おそらく、多くの人が想像するマダム・フローレンスの物語は本作を指すのではないかと想像するが、フランスの『偉大なるマルグリット』の方が僕好みの作品だった。
コメディとしての要素は薄く、マダム・フローレンスの純粋さの中にある悲哀を感じさせるフランス映画らしいトーンを持っている。また、マダム・フローレンスを別の人物として描いている点で脚色が強いのもこちらの作品だと言える。
どちらも実話ベースなので、ネタバレはあまり気にせず両方鑑賞してみるとその解釈の違いまで楽しむことができる。
作品データ
原題 | 『Florence Foster Jenkins』 |
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製作国 | イギリス |
製作年 | 2016年 |
公開日 | 2016年12月1日 |
上映時間 | 111分 |
キャスト
キャスト | メリル・ストリープ |
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ヒュー・グラント | |
サイモン・ヘルバーク | |
レベッカ・ファーガソン | |
ニナ・アリアンダetc. |
監督・スタッフ
監督 | スティーブン・フリアーズ |
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脚本 | ニコラス・マーティン |
製作 | マイケル・カーン |
トレイシー・シーウォード | |
製作総指揮 | キャメロン・マクラッケン |
クリスティーン・ランガン | |
マルコム・リッチー |