連続少女惨殺事件。
町を飲み込む巨大な悪意。
事件を追う二人の刑事。
1980年、スペインの田舎町で起こった連続少女惨殺事件。暗闇で嘲笑う姿なき殺人者を追う二人の刑事が辿り着いた先。そこは、罪と悪意に覆われた美しきマーシュランド(湿地帯)だった。
スペイン・アカデミー賞(ゴヤ賞)で17部門にノミネートされ、圧倒的評価で10部門(作品賞/監督賞/オリジナル脚本賞/主演男優賞/新人女優賞/オリジナル作曲賞/撮影賞/編集賞/美術賞/衣装デザイン賞)を獲得してみせたスパニッシュ・ミステリーの最高傑作。
監督、脚本を務めたのはゴヤ賞の常連、アルベルト・ロドリゲス。フランシスコ・フランコによる独裁政治の爪痕が残るスペインを舞台に、時代背景を巧みに絡ませたストーリーテリングで観る者を圧巻のラストへと誘う。
スペインの名匠ペドロ・アルモドバルの『アイム・ソー・エキサイテッド!』(13)に出演していたラウール・アレバロとアントニオ・デ・ラ・トーレが再び共演する。
Contents
- 1 予告
- 2 あらすじ
- 3 映画を見る前に知っておきたいこと
予告
あらすじ
まだ独裁政治の爪痕が残る1980年のスペイン。アンダルシア地方にある小さな町で二人の少女の行方がわからなくなった。やがて強姦と凄惨な拷問の末に殺された遺体が見つかる。

© ATIPICA FILMS
事件を担当したベテラン刑事のフアン(ハビエル・グティエレス)とマドリードから左遷されてきた若いペドロ(ラウール・アレバロ)は、過去にも同様の事件が起こっていることを知る。そして捜査を進めていくうちに彼らは、町と住人が抱える闇を目の当たりにする。貧困、差別、汚職、小児性愛、麻薬密売、様々な悪意が湿地帯にある小さな町を飲み込んでいた。

© ATIPICA FILMS
そして、二人を嘲笑うかのように新たな少女失踪事件が起こる……
Sponsored Link映画を見る前に知っておきたいこと
映画好きの間でもちょっとした話題を呼んだ本作、決してゴヤ賞10冠は伊達ではない。ミステリーとしての脚本もサスペンスとしての映像も秀逸な上、誰かと映画談義をしたくなるような作品だ。
スペイン映画だからと避けるにはあまりに勿体無い。
スパニッシュ・ミステリーの最高傑作
第二次世界大戦以前のスペインでドイツとイタリアのファシズム政権と同盟関係を結び、国内にファシズム体制を築き上げた独裁者フランシスコ・フランコ。彼はドイツとイタリアのファシズムが崩壊した後も、実に30年の長きに渡ってその独裁体制を維持し続けた。そのためスペインが民主化へと舵を切ったのは1975年と、そんなに古い話ではない。
映画の舞台となった1980年は、まさに暗黒時代を抜けたばかりのスペイン。監督アルベルト・ロドリゲスの脚本は、物語の重要なプロットにまで重苦しい時代の空気感を絡めることで、一切の無駄なく重厚さを手に入れている。湿地帯というロケーションと伏線に次ぐ伏線は、視覚と思考の双方から折り重なるように観る者の不安を煽っていく。そして映画がラストシーンを迎えた時、浮かび上がった疑問はそのまま余韻へと姿を変えるのだ。
スパニッシュ・ミステリーの最高傑作というのも素直に頷けるほど、緻密に計算された構成がそこにある。
作品データ
原題 | 『La isla minima』 |
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製作国 | スペイン |
製作年 | 2014年 |
公開日 | 2015年10月17日 |
上映時間 | 105分 |
キャスト
キャスト | ラウール・アレバロ |
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ハビエル・グティエレス | |
アントニオ・デ・ラ・トーレ | |
メルセデス・レオン |
監督・スタッフ
監督 | アルベルト・ロドリゲス |
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脚本 | ラファエル・コボス |
アルベルト・ロドリゲス |