幸せは少しずつ
グルジア(現ジョージア)出身の世界的巨匠にして人生の達人、オタール・イオセリアーニ監督が描く人間賛歌。
アパートの管理人にして武器商人の男。骸骨集めが大好きな人類学者。現代パリに集まる奇妙な面々が織りなす素敵な物語は、人生の本当の豊かさを教えてくれる。
時代は変わっても、決して変わることのない人間の営み。争いや略奪、犯罪、それらと同等の愛や友情、希望、どれも無くなることはない……
Contents
- 1 予告
- 2 あらすじ
- 3
映画を観る前に知っておきたいこと
- 3.1 オタール・イオセリアーニ
- 3.2 原題『CHANTD’HIVER』について
予告
あらすじ
現代のパリ。アパートの管理人にして武器商人の男。骸骨集めが大好きな人類学者。二人は切っても切れない腐れ縁で結ばれた悪友同士。

© Pastorale Productions- Studio 99
そんな彼らを取り巻くちょっとユニークな住人たち。覗きが趣味の警察署長、ローラースケート強盗団、黙々と家を建てる男、没落貴族、気ままに暮らすホームレス、そして、お構いなしに街を闊歩する野良犬たち。

© Pastorale Productions- Studio 99
ある時、警察による大掛かりな取り締まりがはじまる。パリから追いやられるホームレスたち。緊急事態に街の住人たちが立ち上がる!
Sponsored Link映画を観る前に知っておきたいこと
『素敵な歌と舟はゆく』(99)や、ベルリン国際映画祭銀熊賞(監督賞)に輝いた『月曜日に乾杯!』(02)は日本でもヒットし、次第にその名を知られるようになったオタール・イオセリアーニ監督。しかし、すでに御年82歳。寡作である人生の達人に習う機会は、もうあまり多くない……
オタール・イオセリアーニ
世界の映画人も認めるオタール・イオセリアーニ監督。あのソ連(現ロシア)の巨匠アンドレイ・タルコフスキーが、同じソ連出身で最も尊敬する監督としてその名を挙げている。(オタール監督の出身国グルジアは1991年までソ連の構成国であった)
オタール監督作品は、人間の営みの中にあるネガティブな要素に、ユーモアを持って立ち向かっていくという図式で描かれる。
彼はこれまでに、男女のすれ違い、希薄な人間関係、貧富や身分の格差、そして不条理な戦争まで、人間同士を隔てるあらゆるものを取り払おうとしてきた。
その描き方は、まるで酒を嗜むかのように常にゆったりと、映画に十分な余白を持たせる。時に音楽を排し、最小限の台詞のみで構成するゆえ、彼の作品を退屈とする人もいるが、“大人の映画”と表現する人もいる。
長い年月をかけて1本の作品を撮り上げるオタール監督は常に自ら脚本を執筆し、カメラワークから台詞回しに至るまで、すべての演出において無駄な部分をそぎ落としていく。その丁寧な仕事に、退屈という言葉は似つかわしくない。
無類の酒好きとしても知られるオタール監督の映画には、必ずと言っていいほど酒を酌み交わすシーンが存在する。人々にとって非常に重要なテーマを扱いながら、彼のこの余裕ぷりにこそ人生を学びたいものである。
人生の達人オタール・イオセリアーニはもう観客に称賛を求めていない。劇場を後にした時、重要なのは共に抱ける友情だと。
「楽しかったなあ、もうひとりきりじゃない、お祝いに一杯やるとしよう!」
オタール・イオセリアーニ
原題『CHANTD’HIVER』について
グルジアに古くからある冬の歌「CHANTD’HIVER」から映画のタイトルは付けられている。予告編の最後で歌われる「さあ 出かけましょう 心地よい楽しみを味わうために〜」がそうだ。
このタイトルにした理由を尋ねられたオタール監督は、「夏に冬の歌を歌ったっていいんだ。君に歌ってあげようか…。」と答えた。
僕たちが形式の中で縛られていると、彼はそう言いたかったのかもしれない……
作品データ
原題 | 『CHANTD’HIVER』 |
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製作国 | フランス・ジョージア |
製作年 | 2015年 |
公開日 | 2016年12月17日 |
上映時間 | 121分 |
キャスト
キャスト | リュフュ |
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アミラン・アミラナシビリ | |
マチアス・ユング | |
エンリコ・ゲッジ | |
ピエール・エテックス | |
トニー・ガトリフ | |
ミレ・ステビク | |
マチュー・アマルリック | |
オタール・イオセリアーニ |
監督・スタッフ
監督 | オタール・イオセリアーニ |
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脚本 | オタール・イオセリアーニ |
製作 | マルティーヌ・マリニャック |