映画を観る前に知っておきたいこと

映画は人生を豊かにするのか?映画がもたらす感性と想像力の話

投稿日:2016年3月18日 更新日:

ニューシネマパラダイス ラストシーン

人生の豊かさとは何だろう。

お金があること、自由な時間があること、気を許せる友達がいること、素敵な恋人がいること、かわいらしい子供がいること……

豊かさは様々な尺度で測られる。「豊かな人生」とは本当に人それぞれで、曖昧な概念である。

さて、今回のテーマは「映画は人生を豊かにするか」だが、映画を見たら貯金残高が増えるわけではないし、空から恋人が降って来るわけでもない。

では、なぜ映画が「豊かな人生」に繋がるのか。それは“僕にとって映画とは何なのか?”という、個人的な映画との付き合い方の話になる。

映画が教えてくれること

どんな映画にもドラマ(物語り)があり、僕たちはそこから様々なことを学ぶことができる。これは単なる知識ではなく経験という意味合いが大きい。映画はドラマ(物語り)を表現するのに他の媒体に比べて圧倒的な情報量がある点で優れている。それだけ感情移入しやすく、登場人物に自分を重ね、体験を追うことで経験値として蓄積することが可能だ。

映画から得た経験は人生の様々な選択を後押ししてくれる。服を選ぶ、音楽を選ぶ、食べ物を選ぶ、言葉を選ぶ、仕事を選ぶ、思想を選ぶ、あらゆる選択を手助けしてくれる。僕たちはいつも何かを選ばなければならない。日常は決断の連続だ。そしてその決断は人生を豊かにもするし、貧しくもしてしまう。

僕は「こんな時、彼ならこうするだろう」と自分の好きな映画の登場人物に重ねて考えることはしょっちゅうある。僕にとって彼らは先生みたいなものだ。

子供が映画のヒーローに憧れていじめられっこを助ける。僕にとっての映画はその延長線上にある。

自分がいつも笑っていられるように、大切な人がいつも笑っていられるように。きつい境遇にあっても、最後には前を向いて生きられるように。僕はそんな選択肢を選び取れる人間になりたい。

素晴らしい映画には、そのためのたくさんの前例が描かれている。

映画のように生きる

映画が人生を豊かにしてくれるとすれば、それは物質的なものよりも、「感性」や「想像力」といった内面の豊かさだろう。これらは人生においてとても重要な意味を持っている。

ただ流されるように生きることは「豊かな人生」とは言えないはずだ。やはり自分を主人公としてドラマチックに人生をエンジョイすることが大切である。

しかし、これは容易なことではない。

大抵の人は現実的な問題に頭を悩まし、それどころではない。お金のこと、恋人の不満、家庭の問題、仕事のいざこざなど、目の前の問題に足を取られた時、僕たちは大事なことを見失っている。

その大事なことこそが「感性」や「想像力」である。これらを駆使すれば、きつい問題に直面しても自分を立て直すことができる。自分を映画の主人公のように仕立てることで、ポジティブな感情が生まれるのだ。

「感性」や「想像力」を働かせて自分に酔ってしまうことができれば、きっと人生は豊かになる。時には悲劇のヒロインでもいい。絶望的な状況に立たされても、ただ悲観するよりはドラマチックに捉えることで、そこに自分のサクセスストーリーが出来上がる。

これは人生を戦う活力となってくれるはずだ。

そして、この「感性」や「想像力」は何も、きつい時にだけ役立つわけではない。仮に物質的な豊かさを手にしたとしても、その素晴らしさを感じることができなければ「豊かな人生」とは言えない。

お金があっても、恋人がいても、「感性」や「想像力」を駆使してドラマ化してしまわないことには人生は彩られない。むなしいものである。物質的な豊かさがあっても幸せそうに見えない人は、この「感性」や「想像力」が欠如してしまっているのだと思う。

大人になるにつれて新鮮さがなくなり、僕たちは物事を達観するつまらない人間になりがちだ。映画はそれに対抗する「感性」や「想像力」をもたらしてくれる。

「人生はなんて素晴らしいんだ。」

僕はこのセリフを人生で一度でいいから言ってみたい。素晴らしい映画の中には、このセリフに繋がる人生のヒントがある。

-コラム

執筆者:


  1. 日下部 聰子 より:

    おっしゃる通り‼️だと思います。
    映画が私の教科書だといつも思っている私ですが、
    こんなにも理路整然と、映画が教え与えてくれることを明解に言葉にして書いてくださり、頭がスッキリしました。
    本当に脱帽です。
    ブラボー‼️

  2. 今川 幸緒 より:

    日下部さん

    僕からすれば、初めてのコメントをくれたあなたの方がブラボー‼️です。

    共感してくれる人と出会えたことで、僕の人生は映画によってまた少しだけ豊かになった気がします。

  3. みなみ より:

    いい話です。
    映画を観るのが好きで、映画を観ることで、色んな考え方ができたり、そういった人生を自分が送れている気持ちになります。自分の人生は1回しかないけど、たった2時間くらいの映画を何本も観ることで、色んなパターンの人生が経験出来た気がします。
    もっとばーっと考えてることいっぱいあるんですけど、言葉に出来なくて、「映画を観る 経験値」で検索したらここを発見しました。私が考えてる事を言葉にしたらまさにここに書いてあるような感じで、とてもスッキリしました。このページお気に入りにしたので、たまに読もうと思います。

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