イギリスを代表するロマン主義の画家ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナーの人生を描いたヒューマンドラマ。若くして名声を得て、批判や嘲笑を浴びながら、常に新しい表現を求めた天才と言われている。彼の人生は謎に満ちており、なぜか名前と身分を偽って思いもよらない場所に出没するなどの奇行も見られたという。旅を愛した画家ターナーの素顔と創作の秘密を、吸い込まれそうなほどの美しい光と共に描き、カンヌ国際映画祭芸術貢献賞を受賞した。
構想12年という情熱をかけてターナーの人生をスクリーンに映し出したのは、『秘密と嘘』でカンヌ国際映画祭パルム・ドール、『ヴェラ・ドレイク』でヴェネチア国際映画祭金獅子賞を受賞した巨匠マイク・リー監督。主演は『ハリー・ポッター』シリーズのティモシー・スポールが演じ、カンヌ国際映画祭最優秀男優賞ほか多数の賞を受賞した。
- 製作:2014年,イギリス・フランス・ドイツ合作
- 日本公開:2015年6月20日
- 上映時間:150分
- 原題:『Mr. Turner』
Contents
- 1 予告
- 2 あらすじ
- 3
映画を見る前に知っておきたいこと
- 3.1 ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー
- 3.2 ロイヤル・アカデミー
- 3.3 ギャラリー
予告
あらすじ
18世紀末~19世紀初頭に活躍した画家、ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー(ティモシー・スポール)。若くして高い評価を得て、早くから画家としての成功を収めていた。彼のインスピレーションの源泉は旅。新しい世界の新しい扉を開くため、彼は夏になるといつも旅に出かけていた。
彼を助手として支えていたのは父だった。ある時、父が亡くなった。ショックを隠し切れないターナーは、悲しみから逃れるようにある港町を訪れる。ターナーはそこで生き方を大きく変える”ある再開”を果たすのだった。
やがて、彼の才能は時代の遥か先を行くようになり、その評価は真っ二つに分かれていく・・・。
映画を見る前に知っておきたいこと
ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー
イギリスを代表するロマン主義の画家である。母親は精神疾患を持ち、ターナーの世話を満足にすることが出来なかった。本人も学校には通わず、少年時代は当時としても特異な環境だったようだ。13歳の時に風景画家トーマス・マートンに弟子入り、その後ロイヤル・アカデミー附属美術学校に入学し絵画を学んだ。
インスピレーションを得るために、多くの旅をした画家としても有名だ。彼は夏は各地を旅してまわり、冬はアトリエで製作に没頭するというサイクルで生活していた。300冊を超えるスケッチブックが見つかっており、旅の中で描いたスケッチは、彼の創作にとってデータベースのような役割を果たしていたようだ。
好奇心も旺盛で、当時大きく革新した科学技術にも興味を寄せていた。晩年は写真機の使い方などを熱心に覚えていたという。
ターナーは生涯結婚することはなかった。精神疾患を患っていた母親との関係に、彼が結婚をしなかった理由があると言われている。
ロイヤル・アカデミー
1768年に創設された王立美術院。当時のイギリスは、ヨーロッパ各国、とりわけ隣国のフランスに大きく後れを取っていたため、ロイヤル・アカデミーによるイギリス美術の振興に期待が寄せられていた。
ターナーは14歳でアカデミー付属の美術学校に入学、以来彼にとってロイヤル・アカデミーは芸術活動の拠り所の様な役割を果たしていたようだ。27歳で史上最年少のアカデミー正会員に選ばれて以後、32歳で教授に就任、生涯にわたってアカデミーの運営にも深く関わっている。
毎年夏に開催されるアカデミー展覧会は、芸術家たちにとって自身の作品を披露する場として最も重要な機会だった。多くのアーティスト達はこの場を通じてライバル達と競い、評価を得てパトロンを獲得した。
ギャラリー
ターナーは特に黄色を好んで使用した。逆に緑がとても嫌いで、極力緑を使わないように苦心した。「木を描かずに済めばありがたい」と知人に漏らしたこともある。ヤシの木を黄色く描いたところを指摘された時には、激しく動揺していたという逸話も残っている。
初期のターナーの絵はアカデミー受けが良い写実的な作風だった。生涯において5回~7回の作風の転機があったと言われているが、ターナーにとって特に大きな変化となったのは1819年、ターナーが44歳の時のイタリア旅行だった。イタリアの明るい光に見せられたターナーの以降の作品は、光と大気の効果を描くことに主眼が置かれ、印象派のそれといえる作品も多くある。






