映画を観る前に知っておきたいこと

【ナイトクローラー】戦慄のハッピーエンド

投稿日:2015年7月22日 更新日:

ナイトクローラー 

報道スクープ専門の映像パパラッチ、通称“ナイトクローラー”。彼らは、死臭を求めるハイエナの如く貪欲に、生々しく刺激的な映像を求めて夜の街を這いまわる。そして、手に入れた映像をテレビ局に売りさばき、カネを得る。視聴率のために倫理をも踏み外した映像を欲しがるテレビ業界の裏側と、それを非難しながらも求める現代社会の闇に迫る。全米公開時には週間興行収入ランキング第1位。『ボーン・レガシー』などの脚本家として知られるダン・ギルロイの長編監督デビュー作。

主人公ルーを演じるのは、『ブロークバック・マウンテン』でアカデミー賞Rにノミネートされたジェイク・ギレンホール。我々の隣にもいるごく普通の男に潜む、底なしの狂気を恐ろしくも見事に演じきっている。

映画至上かつてない“戦慄のハッピーエンド”を体験せよ!

  • 製作:2015年,アメリカ
  • 日本公開:2015年8月22日
  • 上映時間:118分
  • 原題:『Nightcrawler』

予告

あらすじ

夜のロサンゼルスで闇にまぎれて金網を盗み、それを工場に売りつける。そこで「僕は勤勉で志が高い人間だ」と自信満々で自分を売り込み、職を探す。その男はルイス・ブルーム。仕事も友達も家族もなく、軽犯罪で日銭を稼ぎ、ネットとテレビと共に孤独に暮らす。ナイトクローラー 交通事故現場を通りかかったルイスは、事件や事故報道のスクープを専門にしている映像パパラッチ、通称“ナイトクローラー”と遭遇する。そこで悲惨なスクープ映像がテレビ局に売れると聞いたルイスは、盗んだ自転車と交換にビデオカメラと無線傍受器を手に入れる。ルイスは、その夜から警察無線を盗み聞き、車で現場に急行するようになった。

そしてルイスはカージャックの被害者の撮影に成功する。しかもそれは他の“ナイトクローラー”より接近した生々しい映像だった。 あるテレビ局に早速映像を持ち込むと、女性ディレクターのニーナが映像を買い取ってくれた。そこでルイスは「視聴者が求めているのは、刺激的な画。さらに望ましいのは被害者が郊外に住む白人の富裕層で、犯人はマイノリティや貧困層。」ということを教えられるのだった。ナイトクローラー本格的に事業を開始したルイスは、住所不定で何の特技もないリックをアシスタントとして雇う。仕事さえ満足にできないリックを冷酷に叱咤するルイス。ナイトクローラー  ある夜、住宅街の発砲事件に駆けつけるが、負傷者もなくハデな映像は撮れそうになかったルイスは、コッソリ中に忍び込み、冷蔵庫の生々しい銃弾跡の横に家族の写真を置いて撮影する。そしてその映像を持ち込まれたニーナは絶賛し、編集担当の「不法侵入だ」という制止を振り切って放映するのだった。ナイトクローラールイスはそれからもセンセーショナルなスクープ映像を次々にモノにし、“ナイトクローラー”として成功を収める。車はスピードの出る赤い高級車になり、機材も最新型になっていった。壮絶な横転事故の無線を傍受した時も、その車で誰よりも早く現場に駆け付け、絶好のアングルのために、ルイスは血だらけの遺体を車の下から引きずり出すという暴挙に出る。成功だけに邁進するルイスの行動はどんどんエスカレートしていくのだった。

しかし、ルイスに思わぬ落とし穴が待っていた。リックのミスで飛行機墜落事故という最大のスクープを逃してしまったのだ。過激な視聴率争いからニーナにも激しく罵られ、進退窮まったルイスは遂に究極の一線を超えてしまう・・・

映画を見る前に知っておきたいこと

ジェイク・ギレンホールの怪演

『ナイトクローラー』は興行的にも成功した映画だが、それと同時に批評家にも高評価だ。中でもジェイク・ギレンホールの演技を称えるものが多い。

実際、本作で最も重要なのがギレンホール演じるルイスのキャラクターだ。ルイスには、ダン・ギルロイ監督が表現したかった“経済格差がますます拡大した現代に生きる若者たちが抱える問題”というテーマや、監督が実際に取材した“ナイトクローラー”たちの異常性が詰め込まれている。監督は“ナイトクローラー”たちが映像を収める時に、戦場の兵士や救急隊員と同じようなアドレナリンのほとばしりがあり、中毒性を感じたという。普通じゃ他人の破滅の瞬間にカメラを抱えることなんてできない。

それだけに演じるのが難しいキャラクターだったルイスを、ギレンホールがみごとに怪演してみせた。そしてそれは、映画のテーマを表現したキャラクターというだけでなく、映画そのものをよりスリリングなものにしている。米タイム誌が『タクシードライバー』のトラヴィスの再来だと言ったのもうなづける。それぐらい強烈なキャラクターがルイスだ。

映画至上かつてない“戦慄のハッピーエンド”が気になる

公式サイトでは、「映画至上かつてない“戦慄のハッピーエンド”を体験せよ!」とあるが、この映画に一体どんなハッピーエンドがあるというのか。

映画史上でも指折りのイカレたキャラクターである『タクシードライバー』のトラヴィスの再来だと言われた主人公に一体どんなハッピーエンドがあるというのか。

視聴率のために倫理をも踏み外した映像を欲しがるテレビ業界の裏側と、それを非難しながらも求める現代社会の闇に迫った内容に一体どんなハッピーエンドがあるというのか。

劇場で体験するしかない!

-ミステリー・サスペンス, 洋画

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