父を失った8歳の少女が、あの世へ手紙を届けることができるというおばあさんに癒されていく姿を描いたヒューマンドラマ。「夏の庭 The Friends」の湯本香樹実による同名小説を映画化。
ドラマ「家政婦のミタ」で注目を集めた本田望結と、全国のお茶の間のお婆ちゃん中村玉緒のダブル主演。監督の大森研一はこれが4作目の映画。原作に惚れ込み、いつか映画化したいと常々考えていたという。
Contents
- 1 予告
- 2 あらすじ
- 3 映画を見る前に知っておきたいこと
予告
あらすじ
大好きだった父を突然亡くした8歳の千秋は、母のつかさ。千秋の夏休みを利用して、二人で必要最低限のモノだけを持って、2階建ての古いアパート・ポプラ荘に引っ越してきた。
父を失い、千秋の心は不安でいっぱいだった。突然いなくいなってしまった父親。この世は突然人が消えてしまう穴だらけなんじゃないか。母もいつか突然いなくなってしまうんじゃないか。
そんな千秋がアパートの大家さんである不思議なおばあさんに出会う。不安に揺れる千秋を思い、自分はあの世へ手紙を届けることができると話す。千秋はその言葉を信じて、父への手紙をおばあさんに託すようになる。毎日学校が終わったて帰ってきたら、前の晩に書いた父への手紙を持っておばあさんを尋ねるようになっていた。そんな千秋に、母は一度だけ「星野俊三様 つかさより」と書かれた手紙をおばあさんのところへ持っていくように頼んだ。
千秋や母が、たくさんの人がおばあさんに託した思いは、誰にどんなふうに届くのだろうか。
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映画を見る前に知っておきたいこと
原作のあらすじ
ちょうど原作を読んだことがあるので、少し原作の感想をあらすじを交えて語ろうかと思う。
感想/幸せの答え
幼い千秋は、父の死から自分が生み出した想像によって心を不安に支配されていく。そうして外の世界を恐ろしいものとして拒絶していく。
心によって内側に押し込まれていく千秋は、父親への手紙、つまり自分の心によって救われていく。それでもやっぱり何かに不安になって心が膨張を始めれば、死のうとまで思ってしまう。
現在進行形で、今まさに優しさに包まれているはずなのに。
「一体自分は、自分に何をしてしまったのだろうか。」千秋のこの言葉は、他人事ではない。生きていれば心の膨張は避けられない。人は生きている限り、あらゆることに出会うし、立ち向かわなければならない。
「一番の敵は自分」とはよく言ったもので、心が膨張していくままに任せていれば、「一体自分は、自分に何をしてしまったのだろうか。」ということになってしまう。
感動して涙するのも良いだろう。しかし、今しがた立ち止まって考えてみてもらいたい。「自分は今、自分に何をしてあげればよいのか?」。その答えはお婆さんと千秋のゆったりと、生き生きとした時間に隠されている。
読むたびに笑えるし泣けるし、新鮮な発見がある。何度でも読もうと思える作品だった。