世界の常識をまったく知らない男、PK
彼の“小さな”疑問は、やがて“大きな”奇跡を生む!
遙か60億キロ先の惑星からやってきた宇宙人PK。その純粋さが地球の文化形態を侵略する。
日本でも大ヒットした『きっと、うまくいく』(09)の監督ラージクマール・ヒラニ×主演アーミル・カーンのコンビが贈る、全世界興収100億円突破のインド映画史上最大のヒット作。コメディ、SF、ラブストーリー、多様なジャンルをミックスさせながら、皮肉たっぷりにあらゆる宗教観をぶった斬る。
アーミル・カーン演じる宇宙人らしからぬ肉体美のPK。アヌシュカ・シャルマ演じるキュートなヒロイン、ジャグー。アンバランスな二人のキャラクターが世界中の笑いと感動を誘った。
Contents
- 1 予告
- 2 あらすじ
- 3
映画を観る前に知っておきたいこと
- 3.1 PKは現代のソクラテス!?
予告
あらすじ
留学先のベルギーで、パキスタン人の青年サルファラーズ(スシャント・シン・ラージプート)と運命的な出会いで結ばれたジャグー(アヌシュカ・シャルマ)。しかし、宗教の違いから家族は二人の関係に猛反対。意を決したジャグーはサルファラーズに強引に結婚を迫るが、式の当日に彼が現れることはなかった。
© RAJKUMAR HIRANI FILMS PRIVATE LIMITED
恋に破れたジャグーは母国インドに戻り、テレビ報道局で働くようになっていた。彼女がくだらないニュースばかりでうんざりしていたある日、黄色いヘルメットを被り、大きなラジカセを持ち、あらゆる宗教の飾りをつけてチラシを配る奇妙な男(アーミル・カーン)を見かける。チラシには“神様行方不明”の文字。PK(ヨッパライ)と呼ばれるその男に俄然興味が湧いてきたジャグーは彼の取材を始めることに。
© RAJKUMAR HIRANI FILMS PRIVATE LIMITED
しかし、世間の常識を全く知らないPKが語る話は、にわかには信じられないものだった。彼は、宇宙船を呼ぶリモコンを盗まれ自分の星に帰れなくなったから神様にお願いしたいというのだ。始めは唯の戯言だと決めつけていたジャグーだったが、他人の心を読むPKの不思議な力を目の当たりしたことから彼を助けることを決心する。なんとかPKが自分の星に帰れるよう、ジャグーはテレビ番組を使った一大作戦を思いつくが……
Sponsored Link映画を観る前に知っておきたいこと
インド映画が始まる前に必ず表示される何かの証明書のような画面。あれは、その作品が検閲済みであることを意味している。インドは年間制作本数も観客動員数も世界一多い映画大国であるにも関わらず、映画に対する検閲が厳しい国としても知られる。暴力描写や性表現はもちろんだが、宗教を題材にする『PK』のような作品は、ことさら神経質にならざるを得ない。ヒンドゥー教、イスラム教、キリスト教、仏教など多様な宗教文化が混在するインドでは、少しでも宗教間の摩擦を生むような作風はすぐに好ましくないと見なされてしまうからだ。
そんなインド映画の中にあって『PK』は、あらゆる宗教観を皮肉って大衆の笑いを誘った勇気ある作品だ。どの宗教の神も、人間が創った神だというPKの指摘は、宗教の迷信に真っ向から疑問を投げかける。特定の宗教を批判しているわけではないが、当然インドでは問題作扱い。信仰心が強いほどブラックユーモアに変換される笑いは、インドの人々にはさぞ痛快に映っただろう。ただ、このインド映画は宗教観の薄い日本人が観ても十分痛快だ。
PKは現代のソクラテス!?
© RAJKUMAR HIRANI FILMS PRIVATE LIMITED
まるで赤ん坊のように素っ裸でこの世界にやってきたPK。何一つ地球のことを知らない彼は、あらゆる常識に対して臆面もなく疑問を投げかける。中でも、彼がどうしても理解できないのが地球の宗教だ。
自分の星に帰れず途方に暮れるPKには、もはや神様にすがる他ない。しかし、自分の宗教も分からなければ、どうすれば願いが届くのかも分からない。いくらお布施をしようと、どんなに拝み倒そうと、神様は一向に答えてくれないのだから。挙げ句の果てには、神の子であるはずの自分たちに神様は苦行ばかりを強いてくる。
迷える子羊となったPKは、やがて一つの答えに行き着く。神の声を聞く導師様が、神様の電話番号を掛け間違えているというのだ。神様じゃない誰かが、いたずらで嘘のお告げを伝えていると信じ込んだPKの爆発力たるや。純粋無垢な彼は、導師様に向かって次々と嘘の神様に対する疑問をぶつけていく。無自覚に発せられるPKのソクラテス式問答法には、さすがの導師様もたじろぐしかない。
己が無知であることを知る哲学者ソクラテスは、質問形式の対話によって相手が無知であることに気づかせたという。しかし、世間知らずな唯の宇宙人がソクラテスの“無知の知”など知るはずもない。PKが無知であることを知るジャグーこそが、彼を導師様にけしかけた張本人だ。
二人のコンビネーションが、古代ギリシアの権力者たちの無知を暴いたソクラテスのように、ヒンドゥー教の生臭導師様の化けの皮を剥いでいく様は誰が見ても痛快だろう。
作品データ
原題 | 『PK』 |
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製作国 | インド |
製作年 | 2014年 |
公開日 | 2016年10月29日 |
上映時間 | 153分 |
キャスト
キャスト | アーミル・カーン |
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アヌシュカ・シャルマ | |
スシャント・シン・ラージプート | |
サンジャイ・ダット | |
ボーマン・イラニ | |
サウラブ・シュクラ | |
パリークシト・サーハニー | |
ランビール・カプール |
監督・スタッフ
監督 | ラージクマール・ヒラーニ |
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脚本 | ラージクマール・ヒラーニ |
アビジャート・ジョーシー | |
製作 | ラージクマール・ヒラーニ |
ビドゥ・ビノード・チョープラー | |
音楽 | シャンタヌ・モイトラ |
アジャイ=アトゥル | |
アンキト・ティワーリー |
明!!