彼は自分の名前を決めた時から、
自分自身の作家としての生涯を計劃していたのかもしれない
2007年にデビューしてからわずか2年程で早逝した、夭折のSF作家・伊藤計劃の残したオリジナル長編3作品をアニメーション映画化する「Project Itoh」。
その刹那の作家人生で残された長編はわずか4作。それ故プロジェクトに選ばれたのも、処女作『虐殺器官』、遺作『ハーモニー』、絶筆『屍者の帝国』と、どれもキャリアで重要な立ち位置の作品ばかりとなった。
Contents
- 1 予告
- 2 伊藤計劃
- 3 Project Itoh
- 4 全3タイトル紹介
予告
伊藤計劃
2009年、34歳の若さでこの世を去った夭折のSF作家・伊藤計劃は、わずか2年のキャリアで完全に日本のSF文学の未来を担う次の世代と目されていた。
彼は『ハーモニー』での第30回SF大賞受賞を始め、国内で多くの賞を獲得。また、SF文学を対象としたアメリカのフィリップ・K・ディック賞で初めて特別賞を受賞した日本人でもある。そして、人間や世界に対する絶望と希望を封じ込めた彼の物語は、今も多くの読者を魅了している。
もし彼が生きていれば、2010年代の日本のSF文学を牽引する存在だったと言われるほど、伊藤計劃は稀有な才能を持った作家だった。
Project Itoh
伊藤計劃、没後5年。彼の「計劃」を受け継ぐプロジェクトとしてスタートした「Project Itoh」。『屍者の帝国』『ハーモニー』『虐殺器官』の3作品は2015年の同時期に公開される予定だったが、『屍者の帝国』の制作にあたっていたアニメ制作会社マングローブの倒産により、この1作のみが1年以上の時を空けての公開となった。
世界観の時系列を追うと、『虐殺器官』の後の世界が描かれたのが『ハーモニー』だが、結果的に公開順は前後してしまっている。
ただ、「Project Itoh」の3作品はすべて制作会社も監督も異なるため、あくまで伊藤計劃を取り巻くプロジェクトと認識した方がいいだろう。アニメーションとしての手法も三者三様であるため、伊藤計劃のファンであってもその評価は様々だ。