映画を観る前に知っておきたいこと

ライアの祈り 優しさが命を繋ぐ強さになる

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ライアの祈り

現代の青森県と夢の中の縄文時代、この2つの時代をつなぐ男女の運命的な出会いと絆を描いた、森沢明夫の同名小説の映画化作品。人生に臆病になっていた女性が、”縄文時代”という人間の本来の姿に触れることで、自分の幸せの形を見つけ出す、感動のラブストーリー。

明るく姉御肌な性格だが、人生や恋に臆病になっている主人公・桃子を鈴木杏樹。縄文時代への情熱へ燃える誠実で不器用な研究者、クマゴロウこと佐久間吾朗を宇梶剛士が演じる。

  • 製作:2015年,日本
  • 日本公開:2015年6月13日
  • 上映時間:119分
  • 原作:小説『ライアの祈り』森沢明夫
  • ライアの祈り

予告

あらすじ

桃子とクマゴロウの出会い

ライアの祈り
眼鏡店の店長として青森市から八戸市へ転勤してきた大森桃子(鈴木杏樹)。転勤して間もないが、姉御肌な性格で、後輩の桜(武田梨奈)からも慕われるようになっていた。何も問題を抱えていないように思える明るい性格の桃子。しかし彼女は過去に不幸な離婚を経験し、傷付き、人生を前に進めることに臆病になっていた。

そんなある日、桃子は桜の誘いで、しぶしぶ街コン風地酒パーティに参加すること。「ただの人数合わせのバツイチ」とおどける桃子。彼女はそこで、40後半の無精髭男、佐久間吾朗(宇梶剛士)と出会う。アダ名はクマタロウ。桃子は彼をひと目みて驚き、戸惑う。遠い記憶のあの夢、子供の頃から時々見ていた不思議な夢の感覚。太古の森を通る風と同じ感触を、クマタロウに感じたのだった。
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クマゴロウは、遺跡発掘一筋で生きてきた不器用な考古学研究員。一万年以上も平和に続いたと言われている縄文時代への彼の情熱は凄まじく、語り出したら止まらない。珍しく飲み過ぎた桃子は、無骨で不器用なクマゴロウにからんだことを翌日になってじわじわと思い出し、自身の失態に頭を抱える。
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だが、クマゴロウは酔っ払った桃子の言葉―「弘前より八戸が良いところだって言うなら、私を納得させてよ!」―を律儀に受け止め、数日後、本当に八戸の街を案内してくれることに。
そのデートがきっかけで、桃子とクマゴロウは縄文時代を通じて親密になっていく。クマゴロウは桃子の夢の話を聞いて、夢の風景をイラストに書き始める。

ベトナムに飛ぶクマゴロウ

巨大イノシシに襲われた若い女が仲間の若い男に助けられ、2人の親代わりである族長により新たな運命を受け入れる-。クマゴロウは、そのイラストを見て感動で涙ぐむ。彼が夢の女性に付けてくれた名はライア。古代ギリシャの竪琴の名だ。”縄文時代”はそんな風にして桃子とクマゴロウの、心豊かな日々を紡いで行く。
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桃子は夢を現実の自分と重ね、夢で出てきた祈りの紐を五朗に贈るために編み始める。それでも桃子は、過去の心の傷が原因でクマゴロウと未来への一歩を踏み出すことに臆病のままだった。そして、クマゴロウは縄文晩期の日本と交流があった可能性があるベトナムへ調査に飛ぶ。桃子が編んだ祈りの紐を腕に巻いて。

ベトナムに赴いたクマゴロウは「みんなが笑って暮らせることが願いだ」という部族長の言葉に感動し、「人間として一番大切なモノは何か?」という質問をぶつける。だが、その答えは皮肉にも桃子の心の傷を思い出させることになってしまう。

果たして桃子は、クマゴロウと共に生きる未来へ、一歩を踏み出すことが出来るのか。ライアの祈りはどこへ届くのだろうか―。

映画を見る前に知っておきたいこと

人として一番大切なもの

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「世の中、カリカリしている人が多い。こんなに日本人は冷たかったのかと悲しく感じることが少なくない。人間が人間と向き合うこと、人と人との繋がりを今の時代に是非、観て感じて欲しい。観た方が人に優しくしてみたいなと思って頂けたら」

完成報告会見での宇梶剛士の言葉だ。傷ついて、その傷を抉るように人にぶつけて、また傷ついて・・・どんどん追い詰められていく。そして周りの人も同じように追い詰めていく。そんなことを繰り返して、厭世的な思想になっていく人も少なくない。『ライアの祈り』はそんな”心の傷”と”縄文時代からの命の壮大な繋がり”がコントラストとして描かれている所がとても面白いと感じる。

ベトナムの部族長の言葉、人として一番大切なものは何か?という問の答えは「子孫を残すこと」だった。これはおそらく、そのまま言葉通り子供を生むことという意味ではない。子孫を残すということは、命を繋いでいくということ。生んで増えればそれでいいというワケにはいかない。命を繋ぐということは、人に優しくするということだ。優しくされた人は勇気を持って、一歩を踏み出すことが出来る。それはその人の、周りの人の強さになる。『ライアの祈り』が描く幸せは、そんな強さのことを指しているのではないかと思う。

-恋愛, 邦画

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