映画を観る前に知っておきたいこと

RANMARU 神の舌を持つ男
堤 幸彦ワールド全開!温泉ギャグミステリー?

投稿日:2016年11月17日 更新日:

RANMARU 神の舌を持つ男

犯人この中にいます。

なんでも分析できる神の舌を持つ男・朝永蘭丸。彼が行く先にはなぜか事件が起こる。怪しい村で起こった殺人事件。その村に伝わる言い伝え。事件と伝説がつながる時、真犯人が暴かれる。事件の謎はこの舌が味わった!

映画、TVドラマの双方で常にエンターテイメント性の高い作品を提供してくれる稀代のヒットメーカー堤 幸彦監督が贈る、温泉ギャグミステリー!もといコメディ。2016年7~9月に放送されたTVドラマ「神の舌を持つ男」の続編となる作品。

“絶対舌感”を持ち、口に合う女性を探し冒険の旅に出る蘭丸を演じるのは向井 理。そして蘭丸が口内の細菌になぜか不快感のなかった二人目の女性を木村多江が演じる。

『TRICK』シリーズの堤 幸彦ワールド全開、笑いに、2時間サスペンス風味に、恋愛に、なぜか坂本冬美が主題歌の究極にカオスな娯楽映画だ。こんな企画を20年も温め続けた堤 幸彦に脱帽する……

予告

あらすじ

唯一口内細菌を気にすることなくキスできる相手ミヤビが運命の相手ではなかった神の舌を持つ男・朝永蘭丸(向井理)が、傷心の旅の末にたどり着いたのは怪しげな鬼灯(ほおずき)村だった。村の温泉で溺れてしまった蘭丸は女医りん(木村多江)の人工呼吸によって助けられる。その口内の細菌になぜか不快感のなかった蘭丸はりんに一目惚れ。蘭丸は、伝説の三助として語り継がれる“大津のヘースケ”の孫であることを生かして、村の温泉で働くことに。

RANMARU 神の舌を持つ男

© 2016 RANMARUとゆかいな仲間たち

甕棺墓光(木村文乃)と宮沢寛治(佐藤二朗)が蘭丸を追って村にやって来た頃、村の空気は次第に不穏さを増していた。鬼灯村は玄武岩が多い土地柄で良い成分の水が沸くため、住民たちは温泉で村起こしをしようとしていた。しかしここ最近、村では黒水が出て対処に追われる上に、不吉な鬼火が目撃され、さらには秘かに語り継がれていた“子殺しの温泉”という曰くつきの悪評が明るみに出るなど、問題はてんこもり。

RANMARU 神の舌を持つ男

© 2016 RANMARUとゆかいな仲間たち

三人がいにしえの呪いを呼び覚ました!と村が大騒ぎになっていた頃、大陥没地帯で遺体が発見された。殺されたのはりんと恋仲と噂されていた卜真(うらない・まこと)だったことから、たちまちりんに疑惑の目が向けられる。

村に次々と起こる不吉な出来事。殺人事件の犯人。蘭丸の舌がすべてを解き明かす!

映画を観る前に知っておきたいこと

僕の中では堤 幸彦といえば、『TRICK』シリーズの印象が強い。当時、あのシュールな笑いが斬新で、その破壊力のせいで今も仲間由紀恵がコメディエンヌに見える。

堤 幸彦ワールド全開の本作は、20年も温め続けた企画を実現した渾身のコメディとなっている。このくだらない映画に20年……確かにこの映画にはおもしろいぐらい、あらゆる要素が詰め込まれている。こんなカオスな作品を多くの人が愛しているのだから堤 幸彦は恐ろしい。

しかし、その自由な創造力は日本の映画やTVドラマにおいて、「堤以前・堤以後」と言われるほど大きな影響を与えている。

堤 幸彦

堤監督の撮影スタイルはおもしろい。通常、監督はカメラの横で指示を出すものだが、彼はわざわざテントを設置し、その中でモニターを通して撮影の指示を与える。その場で映像を編集して俳優に見せることで、イメージを共有していくこのやり方は合理的である反面、旧来の映画の現場からは伝統に反しており、俳優に対して失礼と捉えられることもあるようだ。

またTVドラマにおいては、従来のスタジオを中心とした撮影からオールロケの撮影にこだわり、それにより予算が増大するためカメラを手持ち1台に抑え、カメラ数が少ないことによる画面の単調さをカバーするためアングルに変化をつけた斬新な演出を生み出した。堤監督は、まるでどこかの国の映画運動のような手法をTVドラマで実践しているのだ。

そして、ドラマの演出にバラエティ番組のような効果音を取り入れたのも堤監督が初めてだった。今では普通に使われている演出だが、温泉ギャグミステリーを20年温めるような頭の柔らかさがなければ、平気でこれを実践できないはずだ。

とは言ったものの堤監督はくだらないコメディばかりを撮っているわけではない。その作風は実に多彩で、『20世紀少年』3部作のようなSFものから、『ケイゾク』や『SPEC』シリーズでみせた本格ミステリーまで幅広い。

彼が稀代のヒットメーカーたる所以は、その自由な創造力によって常に作品に対して最善のアプローチを選択できるからなのだろう。

-コメディ, 邦画
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