『紙の月』で日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞し、役者としての評価も高い大島優子の6年ぶりの主演映画。『ピンポン』『陽だまりの彼女』などで強烈な存在感を見せる大倉孝二が映画プロデューサー・桜庭を演じる。脚本・監督は『ふがいない僕は空を見た』『四十九日のレシピ』のタナダユキ。
7年ぶりのオリジナル脚本作品となる。
毎日たくさんの観光客を乗せて新宿⇔箱根間を往復する特急ロマンスカーで起こった、たった1日の出会いと別れ。大島&大倉のコンビネーションは、楽しいリズムとなって映画全体を彩り、ユーモアたっぷりの2人のやり取りが心を軽くしてくれる。迷って生きていくことを”ちょっとだけ”肯定してくれる、小さな旅の物語。
- 製作:2015年,日本
- 日本公開:2015年8月29日
- 上映時間:97分
Contents
- 1 予告
- 2 あらすじ
- 3
映画を見る前に知っておきたいこと
- 3.1 大島優子の演技力
予告
あらすじ
新宿⇔箱根間を往復する特急ロマンスカーのアテンダントとして働く北條鉢子は、仕事の成績は常にトップ。ミスばかりする後輩のフォローも欠かさないしっかり者。しかし、彼氏・直樹のお願いを断れずにお金を貸してしまう優柔不断な一面も・・・ある日、そんな鉢子のもとに1通の手紙が届く。それは、もう何年も会っていない母親・頼子からの手紙だった。母の手紙を制服のポケットにしまい、いつものようにそつなく仕事をこなす鉢子は、乗客の中年男がワゴンからお菓子を抜き取る姿を目撃してしまう。箱根湯本駅の事務所に連れていくが、「お金を払う意志はあった」と言う男は何事もなく解放される。ロマンスカーに戻った鉢子は、手紙を破いてごみ箱に捨てる。しかし、その中年男が拾い上げて手紙を読んでしまう。怒る鉢子に向かって、中年男は「この手紙の主、もしかしたら死のうとしてないかな」と言い出す。
“1人で箱根に行こうと思い立ちました”と書いてある箱根の街を捜すことを提案する中年男。自身を映画プロデューサーの桜庭と名乗るその怪しい中年男に背中を押され、鉢子とおっさんの母親を捜す旅が始まった。小田原城、箱根登山鉄道、大涌谷、たまご茶屋、芦ノ湖、仙石原、箱根関所……かつて家族で訪れた箱根の景勝地をめぐる2人は、母親を見つけることができるのだろうか・・・
映画を見る前に知っておきたいこと
大島優子の演技力
本作は大島優子が主演ということで敬遠する人も少なくないと思う。やはりもとAKBということでアイドルのイメージが強いので、演技に不安を感じてしまう。ひいては作品もそういう目で見られがちかもしれない。
しかし、大島優子はAKB脱退後は女優活動をメインにしており、その演技力もアイドルとは思えない。それを実証するのが2014年に公開された『紙の月』での日本アカデミー賞優秀助演女優賞受賞だ。日本アカデミー賞での賞の選出は、日本アカデミー賞協会会員の投票によって行われる。日本アカデミー賞協会は、日本国内の映画関係者によって構成されている。映画という世界において、もとAKBというのは足かせになる方が多いと思う。それをはねのけての日本アカデミー賞優秀助演女優賞というのは、少なくとも『紙の月』での演技は本物ということだと思う。
それと大島優子はもともと子役として「アンティーク」というドラマに出演していた経歴もある。子役というのは演技力を買われないと、なかなか出演することはできない。そういう部分では他のアイドルが女優に転身するのとは少し違う。ただ、大島優子は演技が下手だという話もよく目にする。例えば、最近放送されていたドラマ「ヤメゴク~ヤクザやめて頂きます~」では連続ドラマ初主演を務めたが、大島優子の演技の評判はあまり良くなかった。しかし、これはドラマの評判が大島優子の演技の評判にそのままなってしまったように思う。『TRICK』シリーズや『20世紀少年』『ケイゾク』『SPEC』などの監督である堤幸彦がメインの演出を務めたドラマだったが、どうにもくだらないドラマに思えた。
女優活動として堤幸彦がメインの演出を務めるドラマの主演は、またとないチャンスだとは思うが、当然本人にとって当たり役というのもある。演技の幅もこれから広がっていくと思うが、あまりキャラクターが強い役よりは、等身大の普通の役が栄える気がする。『紙の月』では銀行員の役だったが、そういう意味では本作の特急ロマンスカーのアテンダントというのも演技には期待できる。北條鉢子は大島優子と同じ26歳という設定も感情移入しやすいのではないだろうか。
大島優子はもとアイドルという殻を破って、これから女優として認められる存在になっていくと思っている。