『アウトレイジ ビヨンド』から3年ぶりとなる北野武監督作品は「金無し、先無し、怖いもの無し! ジジイが最高!!」「俺たちに明日なんかない!!」のキャッチコピーで、平均年齢72歳の超ベテラン俳優がスクリーン狭しと暴れ回るコメディ映画だ。世代を超えて楽しめる爽快エンターテイメント。
- 製作:2015年,日本
- 日本公開:2015年4月25日
- 原題:『龍三と七人の子分たち』
- 上映時間:111分
Contents
- 1 予告
- 2 あらすじ
- 3
映画を見る前に知っておきたいこと
- 3.1 北野武と暴力団
- 3.2 監督:北野武
- 3.3 藤竜也:(龍三)
- 3.4 近藤正臣:(若頭のマサ)
予告
あらすじ
昔は「鬼の龍三」と畏れられた70歳の元ヤクザの組長・高橋龍三。彼は引退後、家族からも見放され、社会にも居場所がなく、肩身の狭い思いで生きていた。そんなある日、龍三はオレオレ詐欺に引っ掛かる。若いやつらに勝手はさせられねぇと龍三は昔の7人の子分たちを呼び戻し、世直しのため立ち上がる。
映画を見る前に知っておきたいこと
北野武と暴力団
数々のヤクザ映画を撮り続ける北野武監督。その作風から暴力団との繋がりを疑われることも多い。しかしこれまで暴力団に仲介の依頼や金銭の供与を行ったことはない。暴力団排除条例にも肯定的な姿勢である。その一方では暴力団幹部の葬儀の際に供花したことなどが記事になったことがあるが、本人も否定せず、供花についてはあくまで仕事でお世話になった相手だからだと言っている。北野武という人間の義理堅さを感じさせる話だ。
1986年のフライデー襲撃事件も、交際していた専門学校生の女性にフライデーの記者が怪我を負わせたことで編集部に押し掛け、その結果、暴行傷害事件へ発展したものだった。懲役6か月、執行猶予2年の判決が下された。常に社会的な価値観より義理や人情といったものが北野武の動機になっているように思う。まるで古いヤクザのような男だが、北野武のこうした性分が映画の作風にそのまま繋がっている。
いくら暴力団と繋がりがあろうと、取材しようと、あんなヤクザ映画を撮ることはできない。北野武自身が義理や人情を体現しているから、人間性がそのまま作品に表れるのだ。北野武の作品が「たけし映画」と呼ばれる理由だと思う。
監督・キャスト
監督:北野武
日本国外では北野武で広く知られ、その作品は世界的に評価されている。1989年自身が主演も務めた『その男、凶暴につき』で監督デビュー。その後1991年『あの夏、いちばん静かな海。』では第34回ブルーリボン賞最優秀作品賞・監督賞を受賞。1996年『キッズ・リターン』でも第39回ブルーリボン賞監督賞を受賞。1998年『HANA-BI』では第54回ヴェネツィア国際映画祭で最高賞となる金獅子賞を獲得。2003年『座頭市』では自身初の時代劇に挑戦し、第60回ヴェネツィア国際映画祭で監督賞にあたる銀獅子賞を受賞。その他にも国内外で多くの賞を受賞し、今や日本を代表する映画監督である。本作が17作目になる。
藤竜也:(龍三)
大学時代にスカウトされ日活に入社。1962年『望郷の海』でデビュー。1976年の大島渚監督の映画史に残る名作『愛のコリーダ』ではハードコアポルノとして松田英子、中島葵と濃厚な絡みを演じ大きな話題となった。本作が北野組初参加となる。
近藤正臣:(若頭のマサ)
舞台、映画、テレビドラマ、CMなど幅広く活躍している。主な出演作品は、舞台では『仮名手本忠臣蔵』『ラ・カージュ・オ・フォール』『アゲイン』。映画では『懲役十八年』『流れの譜』『赤穂城断絶』。