映画を観る前に知っておきたいこと

シン・ゴジラ
3.11以降の日本の反核まで風刺する

投稿日:2016年6月5日 更新日:

シン・ゴジラ

現実 対 虚構。

シリーズ初のフルCGによる過去最大のリアリティとサイズ、怪獣映画に受け継がれる日本独自の特撮技術、3.11以降の日本を暗喩するかのようなメッセージ。それが庵野秀明が描き出す、まったく“新”しい“真”“GOD”ZILLAだ。

ハリウッドの資本力すら意に介さないほどの圧倒的な存在感は、瞬く間に社会現象となり興行収入81億円以上のメガヒットを記録。2016年を代表する映画のみならず、ゴジラが日本に根差す作品であることを示してみせた。

総監督と脚本を『新世紀エヴァンゲリオン』の庵野秀明。監督兼特技監督に日本の特撮における第一人者・樋口真嗣。准監督に『進撃の巨人』(15)で特撮監督を務めた尾上克郎。

長谷川博己、竹野内豊、石原さとみをメインに総勢328人の豪華キャストと日本を代表するクリエイターによって、ゴジラが誕生した1954年のあの衝撃が再び甦る!

予告

あらすじ

11月3日8時30分頃、東京湾羽田沖で大量の水蒸気が噴出、同時に海底を通る東京湾アクアラインでもトンネル崩落事故が発生。首相官邸で開かれた緊急会議では、地震や海底火山の噴火など事故原因をめぐって議論が紛糾する。そんな中、内閣官房副長官の矢口蘭堂(長谷川博己)は海底に潜む正体不明の巨大生物の存在を指摘したが一笑に付された。

シン・ゴジラ

© 2016 TOHO CO.,LTD.

間もなく巨大生物の尻尾部分がテレビで報道されたことで政府は認識を改める。その後、巨大生物は東京都内に上陸。死者・行方不明者合わせ100名以上の犠牲を出し、再び東京湾へと消えた。巨大生物の再度襲来に備え、矢口を事務局長とした巨大不明生物特設災害対策本部が設置される。

シン・ゴジラ

© 2016 TOHO CO.,LTD.

その頃、アメリカの大統領特使カヨコ・アン・パタースン(石原さとみ)が極秘裏に来日し、巨大生物の正体が大量の放射性廃棄物に適応進化した“ゴジラ”であることを日本側に報告した。

シン・ゴジラ

© 2016 TOHO CO.,LTD.

11月7日、倍近い大きさにまで進化したゴジラが鎌倉市に再上陸。自衛隊は都内への侵入を防ぐ防衛線を敷いが、ゴジラに傷一つ負わすことができずに突破されてしまう。東京の街を火の海に変えたゴジラの凄まじい攻撃を前に、国連安保理は核攻撃を決議する……

映画を見る前に知っておきたいこと

ローランド・エメリッヒ監督によるハリウッド版『GODZILLA』(98)は、日米のゴジラファンを見事に置き去りにしてしまった。日本ではゴジラが主役として捉えられる一方、人間が乗り越える標的としてゴジラを描いたこの映画は、ありきたりのモンスター・パニックに成り下がっている。

一転、2014年に再びハリウッドで製作された『GODZILLA ゴジラ』は映像、ドラマ性ともに好評を博すと、世界中で大ヒットを記録した。日本アカデミー賞でも優秀外国映画賞に選ばれるなど、ゴジラファンを納得させるものとなった。しかし、日本のゴジラに込められていた反核の風刺が重要視された作品ではなかった。

庵野監督が描く『シン・ゴジラ』はハリウッドのゴジラに足りなかったものを補いながら、映像でも決して引けを取らないリアリティを手にしている。そして、ラストシーンに様々な解釈が生まれたことがそのメッセージ性の強さを物語る。

3.11以降の反核とゴジラ

『シン・ゴジラ』は、これまでのシリーズにはないほど圧倒的なリアリティに裏打ちされた作品となった。

庵野監督は脚本の執筆段階から防衛省や自衛隊に協力を依頼し、実際にゴジラが現れた場合の対処を現実的なレベルまで掘り下げている。それはゴジラを一つのメタファーとして、3.11以降の今の日本における反核を風刺した作品にするための重要な作業となっているのだ。

劇中で描かれる政府の後手に回った対応は、あの原発事故当時を想起させる。そしてゴジラに傷一つ付けられない人類の攻撃は、まるでメルトダウンした核燃料に海水を掛け続ける電力会社のようでもある。

そこにはゴジラというキャラクター性を踏襲しつつ、現代の視点によって作品を見つめる庵野監督の作家性を強く感じることができる。

ラストシーンはもはや監督の手を離れ作品が一人歩きするほどおもしろい解釈がされているが、こうしたメッセージ性を踏まえて読み解いてみると納得できる回答にたどり着けるかもしれない。

評価

さすがにここまでのヒット作となると少なからず酷評も出てくるわけだが、従来のファンを納得させるゴジラ像とエゴイスティックなまでの作家性を同居させながら、新たなファンまで獲得してみせた庵野秀明には脱帽する。

やはりゴジラは日本のものでなければならない。単純な興行収入では『GODZILLA ゴジラ』には敵わないものの、それを世界に示すのに十分な内容だったのではないだろうか。

-特撮
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執筆者:


  1. 匿名 より:

    シンゴジラは、今回超巨大化ゴジラというか、今回は始めての真ゴジラとなる、タイトルかもしれませんね。日本の現在が、昔そのままに復活した。相当な巨大化ゴジラと思います。しかし、一度映画化した者はシリーズをしてほしいです。2作品は、平成が、平成から変わって元章元年と変わっても、ゴジラシリーズを続けるべきた。悪役怪獣を新しく変えてほしいと思います。「元章元年版.ゴジラVS宇宙凶悪怪獣双子キングサターン世界滅亡の日」前編後編、と、者を新しく変えてほしいと思います。

  2. 匿名 より:

    僕は正々堂々とシン・ゴジラを一度全部見た後、なんか何かも庵野秀明がグロテスク化したシン・ゴジラなんか最初から大嫌いだからシン・ゴジラ映画全体大嫌いです。
    あんな姿の芋虫がゴジラになってはいけない。
    あんな変態をもしハリウッドがやったらボロクソに文句言ったはずである。
    本家・日本があんな反則をやって、日本人が許すのは疑問だ。ゴジラは初めからゴジラの姿で出現しなければならない。
    何故なら、「神秘性」が失われるからだ。あんな無敵の放射熱光線が出るようになってもいけない。
    庵野秀明にゴジラ映画に任せると全ての児童達と全ての子供達と全ての少年達がシン・ゴジラ恐怖症発生するので大人向けの映画になり過ぎていて、新たな子供のファンを増やせない。
    エヴァンゲリオンを大切しない庵野秀明なんて大嫌いだ。
    ゴジラを初代のデザイン+グロテスク化したシン・ゴジラ映画した庵野秀明なんて大嫌いだ。
    全ての児童達と全ての子供達と全ての少年達をシン・ゴジラ恐怖症させた庵野秀明なんて大嫌いだ。
    どうしてもシン・ゴジラの続編は、もう完結編+初短編映画化にしろ。
    庵野秀明は一生エヴァンゲリオンともに生きるべきだからシン・ゴジラよりシン・エヴァンゲリオン劇場版の心配ではないか?。
    今後の次なる第30作新たなゴジラ映画新作は庵野秀明ではなく、別の(山崎貴、秋元康先生、金子修介、ドリーム・プラネット・ジャパンや、円谷関係者達等)監督に通報して任せましょう。

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