映画を観る前に知っておきたいこと

騒音 関根勤の監督作品。ジャンル全部入りの超くだらない映画。

投稿日:2015年4月21日 更新日:

騒音

大の映画好きとしても知られる関根勤の初監督による、冴えない5人のオヤジ温水洋一、飯尾和樹、村松利史、酒井敏也、岩井ジョニ男と突如現れた地底人との戦いを描いたコメディドラマ。タモリ、明石家さんまなど、お笑い界の重鎮達が出演することでも話題の映画だ。

  • 製作:2014年,日本
  • 日本公開:2015年5月23日
  • 上映時間:103分

予告

あらすじ

舞台はかつて宿場町として栄えたとある街。この街は大規模な再開発により新しく生まれ変わろうとしていた。しかし区内各所の監視カメラの映像によって、街は恐怖に包まれた。映っていたのは、手当たり次第に人間を襲い、様々な物を破壊してまわる正体不明の怪物の姿だった。闇に紛れ、人間の抵抗力を奪う有毒ガスを吐きながら二足歩行で人々を襲うその怪物に、街はパニックに陥った。

政府はすぐさま対策本部を設置し情報収集を開始した。そして、この未確認生物の正体が「地底人」である事、出没するのは「S区」のみである事を突き止めた。そこで政府は国民に「S区以外は安全である」と宣言、事態の収拾の全てをS区に押し付けた。

S区は見捨てられた。住人たちの誰もが諦めかけていたその時、希望の光は現われた。地底人に襲われた者の中に、有毒ガスに耐えた人間がいたのである。S区長はすぐさま彼らを集めて戦闘部隊を編成し、地底人と戦う事を決意した。

しかし、有毒ガスに耐えられる希望の戦士たちは皆ダサくてしょぼい、冴えないオヤジたち・・・。家庭や職場で虐げられてきた彼らは、戦ったこともなければ、その肉体もだるんだるん。
だがもう彼らしかいないのだ。S区長は彼らを想像を絶する猛特訓で鍛え上げ、地底人との戦いに送り込むのだった。
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映画を見る前に知っておきたいこと

始まりは「映画ちゃん」という番組

この映画の始まりは「映画ちゃん」というCS番組の企画から始まった。内容は1年間まじめに映画を勉強して、最終的には映画を1本作るというもの。関根勤本人も、お金が集まらないからどうせポシャるだろうと、1年間の長いコントのつもりで気長にやっていたらしい。

しかし、関根勤が所属する芸能事務所である浅井企画の社長が「俺がお金を出す」と出資を買って出たことから、映画を製作し公開するまでにこぎつけた。そして、誰からも愛される人柄なのか、お笑い界で肩を並べて戦う仲間たちが彼のもとに集まった。明石家さんまとタモリの共演には本人も相当驚いていたようだ。
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そうして出来上がったのがこの超くだらない映画

「マンションの下と上の階の争いを地球規模でやりたい」という発想に基づいた地底人の侵略。そういう意味でのこのタイトルなのだろうか。ホラー・アクション・ドラマ・コメディのジャンル全部入り。全編を通して、なんともくだらない関根勤らしい作品である。本人も「くだらない映画です(笑)。真面目な日本映画界に一石を投じようと思ったら尿管結石くらい小さな一石になってしまいました」と語っている。

自身が感動した100以上のオマージュを盛り込んだというのも見所としては外せない。「悪魔の毒々モンスター」「生きる」「フルメタル・ジャケット」「イングロリアス・バスターズ」「キル・ビルVol.1」「サボテン・ブラザーズ」「CSI:科学捜査班」などの作品名をあげていたが、もちろんそれは極一部。映画に詳しい人は、いろいろと探して見るのも面白い。
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仲間が撮った素人映画として

この映画の公開は、関根勤だからこそ実現出来たと言える。誰からも愛される人柄がありきの映画と言ってもまったく過言ではない。”彼らしいくだらなさ”というのが評価の対象になるのは、関根勤が日本では知らない人が居ないほどの国民的なタレントだからだろう。

と同時に、彼の裏側のドロっとした部分も垣間見える。試写会を一緒に笑って楽しんでいた奥さんも「最低」と顔をしかめたシーンも。関根勤本人もそういうシーンを盛り込んだことに言及していて、「表の顔だけを見ている人には申し訳ないが、裏側にはこういうドロっとしたくだらない部分もあるんです」「人を選ぶ映画で、万人受けはしないだろう」とコメントしている。

というわけで、「騒音」は仲間が撮った素人映画として生温かい目で見ると良い。映画自体のおもしろさよりも、そういうバックボーンを知って、”1年間の長いコントの集大成”という見方の方が、より楽しめると思う。

-コメディ, 邦画

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