映画を観る前に知っておきたいこと

【ヴィンセントが教えてくれたこと】いじめられっこの少年とひねくれ不良ジジイの奇妙な友情

投稿日:2015年8月4日 更新日:

ヴィンセントが教えてくれたこと あらすじ

酒とギャンブル大好きな嫌われ者の不良ジジイ・ヴィンセント。彼の隣の家に引っ越してきた、いじめられっ子の小学生・オリバー。そんな二人の刺激的で、ハートフルな人生の1ページ。

不良ジジイをビル・マーレイが、いじめられっ子をジェイデン・リーベラーが演じる。監督は本作が長編デビュー作となるセオドア・メルフィ。広告ディレクターとしてキャリアを積んできた男で、彼の短編映画は世界中で高い評価を得ている。雑誌『SHOOT』が選ぶ有望な新人監督15人のうちの一人。

  • 製作:2014年,アメリカ
  • 日本公開:2015年9月4日
  • 上映時間:102分
  • 原題:『St. Vincent』

予告

あらすじ

酒とギャンブルに溺れるどうしようもない不良ジジイのヴィンセントは、町のみんなの嫌われもの。そんな彼が、ひょんなことから隣に引っ越してきた小学生の面倒を見ることになった。小学生のオリバーは、引っ込み思案ないじめられっこ。転校初日からいじめのターゲットにされ、彼の学校生活には早くも暗雲が・・・。

ヴィンセントと過ごす放課後の時間も最悪だ。容赦なく毒舌を浴びせられるし、いきつけのバーや競馬場を連れ回されるし、ろくでもないことばかりを教え込まれる。しかし、ヴィンセントが介護施設に立ち寄った時に認知症の妻に優しく接している様子を見て、2人の間には奇妙な友情が芽生え始める。

そんな二人のささやかな冒険の日々は、人生に疲れた不良ジジイと人生を知らないいじめられっ子に生きる活力を取り戻させていく―。

映画を見る前に知っておきたいこと

どんな人生も、どんな生き方もアリ

この映画にはそんなポジティブなメッセージが込められている。友情、愛情という普遍的なテーマを扱う作品は数多いが、『ヴィンセントが教えてくれたこと』は特別だ。

映画に散りばめられた「生きるヒント」は「なぜ友情や愛情が人生に必要なのか」という根本的な疑問を思い起こさせる。友情や愛情と生きる力は=ではないが、確実に無関係ではない。“愛は素晴らしい”というだけでなく、分かりやすくバイタリティと結びつけた点がこの映画の特別なところだ。

そういうメッセージに勇気を貰った人が続出し、4館限定公開があっという間に2500スクリーンに拡大する結果になったのだと思う。ネームバリューや話題性ではなく、実力で日本までやってきた期待の一本である。

ビル・マーレイの演技

この映画はビル・マーレイなくしては成り立たない。彼のキャリア最高の演技と賞賛されるビル・マーレイのヴィンセント。粗野で、不真面目で、人当たりも最悪。憎むべき男であるはずのヴィンセントをビル・マーレイが演ると憎めない。

人間味というかなんというか、彼の演技で演じられるキャラクターは独特で不思議な愛嬌を醸し出す。『ブロークン・フラワーズ』のドン・ジョンストン。『ロスト・イン・トランスレーション』のボブ・ハリス。そして『ヴィンセントが教えてくれたこと』のヴィンセント。どいつもこいつも、どこか他人とは思えない不思議な哀愁を持っている。

そんなビル・マーレイが「キャリア最高の演技」と称される『ヴィンセントが教えてくれたこと』は、ファンなら必見だろう。僕はビル・マーレイのファンです。歳食ったら、こんな雰囲気のジジイになりたい。マーレイの作品はそもそもマーレイを見てるだけで面白い。

-ヒューマンドラマ, 洋画

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