完全無名の監督が自主制作し、その評判が関西から全国に飛び火。全国公開にまでこぎ付けた、なんとも実力主義な映画。猟奇的な事件を扱うサスペンスでありながら、感動を誘う純愛ラブストーリーでもある。
- 製作:2013年,日本
- 日本公開:2015年4月11日
- 上映時間:120分
Contents
予告
あらすじ
その殺人事件は閑静な住宅街で起こった。無数の切創と手首を切り落とされた遺体。そして後頭部には陥没痕。それは、複数の凶器が用いられていることを示していた。指紋なども全てがふき取られていた現場に唯一残されていた痕跡は、ただ一つだけの足跡。切り落とされた右手首の謎も深まり、事件は初動捜査の段階で行き詰まりを見せる。
そんな中で捜査一課の刑事・小林秀は、過去に関わったある事件との共通点に気づく。紛失した手首、ひとつだけ残された足痕、拭き取られた指紋。共通点が余りにも多い23年前の殺人事件。その過去の事件は、不思議と今回の事件と同じ時系列の展開を見せる。混迷を極めていく捜査の中、襲われ重傷を負う小林。この出来事をきっかけに、小林の記憶は断片的に欠落し始める。
それでも犯人逮捕に執着する小林。その理由には、消し去る事の出来ない過去の傷があった。小林は幼少期に、両親を殺害されて失っていた。痛切な想いを胸に刑事として生きてきた彼が、失われていく記憶の先に見た事件の真実とは――。
映画を見る前に知っておきたいこと
本格サスペンスと交錯するラブストーリー
本作の最大の特徴は、猟奇的な事件をテーマにしながらもラブストーリーの側面をもっているということ。「刑事ドラマ」に慰み程度についてくる色恋展開ではなく、一つの「純愛ドラマ」としてストーリーを展開する。
ストロボライトを評価する声のほとんどは「一度見ただけじゃわからない。もう一度観たくなる。」というもの。それだけ登場人物の設定が細かく、綿密に作りこまれているということだろうか。
製作は2013年。今回の公開は初の全国公開
監督の片元亮は本作が劇場公開デビュー作で、この映画は自主制作として関西で生まれた。完成疲労上映会で大成功を収め、第13回宝塚映画祭で劇場に入りきらないほどの動員数を記録した。その火が大阪に飛び火し、大阪、京都、兵庫の3都市でも上映され好評を得た。そして今回が初の全国上映となる。
監督&キャスト
監督・片元 亮
1977年生まれ、山口県出身。大阪芸術大学映像学科の卒業。2006年に制作した短編自主制作映画『キラキラ』が、第10回インディーズムービー・フェスティバル TANPEN部門でグランプリを受賞。
福地 教光(ふくち たかみつ):小林 秀
1981年生まれ、北海道出身の俳優。大阪芸術大学舞台芸術学科卒。劇団バンタムクラスステージ所属。関西の小劇場を中心に活動を続けている。近年では、東京と大阪を行き来する忙しい生活をしているらしい。劇場公開作品では本作が初出演。この作品が知名度をあげるきっかけになるか。