靴の持ち主に変身できる不思議なミシンと恋も冒険もすっかり諦めていた平凡な靴職人の物語。「人は誰でも、いくつになっても新しい自分を発見することができる」というポジティブなメッセージを込めて作られたヒューマンドラマだ。現実と夢物語が程よくミックスされた、大人のためのお伽話。
- 製作:2014年,アメリカ
- 日本公開:2015年6月5日
- 原題:『The Cobbler』
- 上映時間:98分
Contents
- 1 予告
- 2 あらすじ
- 3
映画を見る前に知っておきたいこと
- 3.1 お伽話はお伽話でしょ?
予告
あらすじ
貯金もなければ彼女もいない、単調な毎日を坦々とリピートする中年男、マックス。彼はニューヨークの下町で小さな店を営む靴職人だ。
ある日、愛用していたミシンが故障するというトラブルに見まわれ、先祖から代々伝わるの古いミシンを引っ張り出してくる。依頼された靴の修理をなんとか仕上げ、試し履き。ふと鏡を見ると、何とそこにはその靴の持ち主が立っているではないか!どうやらこのミシンで仕上げた靴を履くと、その靴の持ち主に変身してしまうらしい!?
こうして”魔法のミシン”で他人に変身できるようになったマックスは、世代も人種も違う他人の人生を体験し、今までの日常にはなかった刺激的な日々を満喫する。
そんな日々の中、父と夕食を食べたいという母の願いを、軽い気持ちで叶えた事をきっかけに、次から次へとトラブルに見舞われていくことになる。”魔法のミシン”に翻弄されるマックスの行く先には、本当に人生が変わる大きな事件が待ちうけていた・・・。
映画を見る前に知っておきたいこと
お伽話はお伽話でしょ?
靴の持ち主に変身して人生を”直して”いく男の物語。貯金もない、彼女もいない、平々凡々の主人公マックスが魔法のミシンで他人になることで新しい自分を発見していく。まさにお伽話でストーリーも感動も分かりやすいエンターテイメントな一本。
しかし分かりやすいキャッチーな感動というものは、深みのなさも否めない。「人は誰でも、いくつになっても新しい自分を発見することができる」というポジティブなメッセージが、複雑な怪奇な現実を生きる”ひねくれた大人たち”にどこまで届くのか。大人が魔法のミシンなんか手に入れたらめちゃくちゃ悪用しそうである。
監督、トム・マッカーシーとキャスト
本作は、『カールおじさんと空飛ぶ家』の脚本を担当した事でも有名なトム・マッカーシーによる創作のストーリー。特に脚本で高い評価を得ている監督だ。有名な作品は『扉をたたく人』。わずか4館での上映の予定が、最終的に270館にまで拡大、話題の映画となった。
出演は、主演に国民的コメディアンのアダム・サンドラー、今流行りの英国俳優の一人ダン・スティーブンス、最近監督としてデビューしたことが話題になったダスティン・ホフマン、ユニークな風貌の個性派スティーヴ・ジェミニなど。
多民族国家のアメリカ社会という視点で見るとこのライト・コメデイーがかなり勇気のある諷刺の効いた映画という気もする。ストレートな表現だけに台詞のニュアンスが伝わらなくて笑え無い分、面白い作品の良さが半減している恨みがあった。ニューヨークなどで抱腹絶倒の観客とともに見れば絶対に面白い映画だったかも!