映画を観る前に知っておきたいこと

【ザ・ガンマン】ショーン・ペン初のアクション映画

投稿日:2016年1月17日 更新日:

アカデミー賞俳優ショーン・ペンの最新作は、自身も初となる本格アクション映画。監督は『96時間』(2008)『パリより愛を込めて』(2010)などのアクション映画で知られるピエール・モレル。異色のタッグが放つサスペンスフルな物語はコンゴ・ロンドン・バルセロナと世界を股にかけた壮大なスケールで描かれる。

元特殊部隊最強の暗殺者ジム・テリア。アフリカ・コンゴ政府の大臣暗殺任務を遂行し、除隊。愛する恋人も何もかも捨てて姿を消し、過去を贖うように過ごしていたが、数年後、突如として何者かに命を狙われ、捨てたはずの過去と再び対峙することに……

アクションヒーローとなったショーン・ペンを目撃せよ!

  • 製作:2015年,アメリカ・スペイン・イギリス・フランス合作
  • 日本公開:2016年2月6日
  • 上映時間:115分
  • 原題:『The Gunman』
  • 映倫区分:PG12

予告

あらすじ

アフリカ・コンゴ共和国。特殊部隊の傭兵ジム・テリアは、鉱山の利権に絡む大臣暗殺という極秘任務を任されていた。特殊部隊最高の暗殺者だったジムはターゲットを狙撃し、任務を完遂した。しかし、特殊部隊と顧客との橋渡し役であるフェリックスによって、暗殺者として国外への退去を命じられてしまう。そしてジムは、愛する恋人アニーを置いて姿を消した……ザ・ガンマンそれからジムは、血塗られた過去を贖うあがなうようにひっそりと生きていた。そんなある日、武装した男たちに襲撃される。暗殺作戦に参加したかつての仲間が次々と殺されていることを知ったジムは、自分を襲った敵が何者なのかを突き止めるため、そして自ら生き残るために、過去と向き合い、再び銃を取ることとなる。消したはずの過去がジムを苦しめる……

映画を見る前に知っておきたいこと

ショーン・ペンが脚本を共同執筆

映画製作会社シルバー・ピクチャーズは、ショーン・ペン主演のアクション映画を撮ろうと考えて、本人にオファーし続けたが、なかなか実現にはいたらなかった。しかし、ハイチの救援活動を行っているショーン・ペンは本作の企画を持ちかけられた時、その経験を映画に反映させることができると考えた。ショーン・ペンは、戦場で本作の主人公ジムのような男たちを見てきた。最前線にいながら、命の尊さを考え苦悩する様は新たなヒーロー像を予感させた。

そして、本作ではその経験を可能な限りスクリーンに反映できるように、ショーン・ペンは脚本の段階から制作に参加し、共同執筆している。ショーン・ペンと言えば、実力派俳優として有名なのはもちろんだが、映画監督としての実力もある。ショーン・ペン監督作品である『イントゥ・ザ・ワイルド』(2007)は見た人も多いのではないだろうか?アカデミー賞では助演男優賞と編集賞にノミネートされた作品でもある。そして、この作品でもショーン・ペンは脚本も務めている。

この映画は、一人の若者が約束された地位や名誉や家族を捨て、自由を求めてアラスカを目指すロードムービーだが、その映像の美しさは目を見張るものがあった。原作はノンフィクション小説『荒野へ』であり、ショーン・ペンは映画化権を獲得するまで10年を懸けた。原作で描かれたテーマを表現するのは簡単なことではなかったように思うが、ショーン・ペンの脚本は見事にそれを映画で消化してみせた。間違いなくショーン・ペンの監督作品のなかでは最高傑作だった。

前置きはこれぐらいで、要はショーン・ペンが俳優としてだけではなく制作者としても優秀だということだ。そして本作でも脚本に参加していることで、物語はただのアクション大作の枠を超えた深いものとなっている。自身のハイチの救援活動を映画に反映させることによって、NGOとして活動するようになった主人公ジムの存在にリアリティを持たせた。

本作は、ショーン・ペンが主演する初めてのアクション大作として話題となっているが、作品そのものもショーン・ペンが参加することで形を変えていることを知っておいてもらいたい。そういう意味ではショーン・ペン色が強い作品なので、ファンは楽しめる映画ではないだろうか。

ショーン・ペンの役作り

アクションヒーロー、ショーン・ペンというと違和感しかないが、自身をアクション映画にアジャストしたショーン・ペンの努力は凄まじい。映画の製作にも深く関わりながら、徹底的にトレーニングを行い、一からアクションの振り付けを学んでいった。本作でのショーン・ペン身体は50代半ばとは到底思えない。腹筋は6つに割れ、アクションヒーローと呼んでも違和感がないほどの肉体を作り上げている。

しかし、ショーン・ペンの役作りはアクションヒーローになるためというよりは、作品にリアリティを与えるために徹底されたものだと感じさせる。それはやはり脚本の段階で作品にリアリティを求める姿勢があったからだ。製作から役作りまで一貫した姿勢が新たなアクションヒーロー像を誕生させた。大した映画人である。

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