映画を観る前に知っておきたいこと

トゥモローランド
ウォルト・ディズニーが遺した最大の謎にして最高のプロジェクト

投稿日:2015年5月10日 更新日:

トゥモローランド

ウォルト・ディズニーが遺した最大の謎にして最高のプロジェクト。エジソンを始めとする天才たちが、その叡智を結集して建設したトゥモロー・ランドをめぐるミステリー・アドベンチャー。『ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル』『Mr.インクレディブル』のブラッド・バード監督が手がけ、人気海外TVドラマ「LOST」のデイモン・リンデロフがともに脚本を担当した。

  • 製作:2015年,アメリカ
  • 日本公開:2015年6月6日
  • 上映時間:122分
  • 原題:『Tomorrowland』

予告

あらすじ

トゥモローランド

17歳のケイシー・ニュートンは勝気で冒険に憧れる少女。ある日、彼女は自分の荷物の中に見慣れないピンバッジが紛れ込んでいるのを発見する。「私のじゃないわ。」そう言いながら何気なく触れた瞬間にピンバッジは光を放ち、ケイシーを「トゥモローランド」へと誘う。テクノロジーの発達したその未知の世界は、彼女が憧れた冒険の世界。

トゥモローランド

ここは未来の世界……?謎に想思いを馳せる間もなく、ケイシーはバッテリー切れで元の世界に戻された。憧れの夢の世界へ戻ろうとするケイシー。そんな彼女の前に、アテナと名乗る謎の少女が現れる。「再びトゥモローランドに行きたいならば、フランク・ウォーカー(ジョージー・クルーニー)という男を尋ねなさい。」

こうして、トゥモロー・ランドの謎をめぐる、ケイシーとフランク、そしてアテナの3人の、人類の未来をかけた壮大な冒険が始まった―。

映画を見る前に知っておきたいこと

実験的未来都市 – EPCOT

トゥモローランド

画像はデザイナー、シド・ミードによるコンセプトアート。『ブレードランナー』を始め、『ミッション:インポッシブル3』『エイリアン2』など数々の伝説となる作品を手がけ、天才と呼ばれているデザイナーで、アニメ『∀(ターンエー)ガンダム』のモビルスーツのデザインした事でも知られている。

「誰もが世界中で最も素晴らしい場所を夢見て、創造し設計して作り上げることができる。その夢を実現するためには、人の力が必要である」これはウォルトの言葉だ。ウォルト・ディズニー社の保管庫には「ウォルトの夢」とも言える大量の資料が眠っている。『トゥモローランド』は、そこに遺されているウォルトが晩年に考えていた実験的未来都市・EPCOT(Experimental Prototype Community of Tomorrowの頭文字を取った造語)の最初のプランをベースにしている。

EPCOT(エプコット)は現在フロリダ州にフューチャーランド(未来都市)をコンセプトにしたテーマパークリゾートとして1982年10月1日に開園し、現在も運営されている。ウォルト・ディズニーが没したのが1966年12月15日。テーマパークEPCOTはウォルトの夢の跡、ということになる。没後50年が経つ現在でも新鮮さを失わない夢を、たくさんの人の力を借りて世界中に届ける男、ウォルト・ディズニー。恐るべき男である。

ウォルトの描いた未来

トゥモローランド

バード監督はこの映画の製作にあたり、ウォルトの描く未来に想像を膨らませることから始めたと語る。”ウォルトの未来”で起こる事、素晴らしい面、恐ろしい面に最大限の想像力を働かせて脚本を書いたのだと言う。と同時に”ウォルトの未来”が、人類全てを巻き込む壮大な夢であることもほのめかしている。

さらに、製作と共同脚本を務めるデイモン・リンデロフは、「劇中でウォルトは、トゥモロー・ランドという世界を考えた偉大な人物として引き合いに出されることになる」と、ストーリーに関わる重大な秘密の1つを明らかにした。ウォルトが未来の”人”に託した極秘のプロジェクトとは一体何だったのか?

ディズニーの成功の秘密

本名はウォルター・イライアス・ディズニー(Walter Elias Disney)1901年~1966年。世界でも知らない人はいないだろう。彼の成功は偏に「ミッキーマウス」の創作にあると言っても過言ではない。

ディズニー社創設まで

青年期は一介の新人漫画家として、経済的にも苦しい時代を過ごしていたようだ。1920年1月、19歳の時に親友であるアブ・アイワークスと共にデザイン会社「ウォルト・アイワークス・カンパニー」を創設。しかし、生活に困窮していたウォルトはカンザスフィルム社にアニメーターとして雇用されたため、会社は長続きしなかった。そこで、ウォルトはアニメーターとしての資質を開花していくことになる。

同年、独立して個人事務所を立ち上げるも、制作に没頭するあまり資金の運用が乱雑になり倒産。再起を図ってハリウッドに拠点を移す。そこで、兄のロイ・ディズニーとともに「ディズニー・ブラザーズ社」を創設。これが実質的に「ディズニー社」の始まりとされている。

みんなのミッキーマウス

ディズニーの成功は、偏に「ミッキーマウス」の創作にあると前述した。ウォルトは戦時中、めまぐるしく変化していく大衆の意識を巧みに読み取り、ミッキーマウスを常に大衆の望む形に作り替える作業を繰り返していた。

大戦当時に制作されたアニメ映画には、ミッキーマウスが戦闘機で日本軍の零戦を撃墜するシーン、アニメ映画「総統の顔」には昭和天皇を風刺するシーンがあるが、これらは国の要請ではなく、ウォルト自らが積極的に制作したものである。戦後は原子力開発キャンペーンのプロパガンダにも積極的に参加している。そうして民衆の望むミッキーマウスを演出することで、結果としてアメリカ政府を顧客にすることにも成功した。

ウォルトの夢

トゥモローランド
戦時中の少しきな臭い話もしたが、言いたいことはつまりこういう事だ。

「ディズニーランドは永遠に完成しない。世界に想像力がある限り、成長し続けるだろう。」ディズニー・ランドは民衆の想像力を形にする。ウォルトは、僕らが集合的無意識として想像している未来の世界をEPCOTで、つまり『トゥモロー・ランド』で実現しようとしたのかもしれない。それはどんな世界なのか。『トゥモローランド』ではブラッド・バード監督が見た”ウォルトの夢”を見せてくれる。

-アドベンチャー, ファンタジー, ミステリー・サスペンス, 洋画

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。