インドの風に吹かれて出会ってはいけない”男と女”は惹かれあう。美しい風景をたどる二日間の旅。そして大人の恋が始まるー
まだカンヌ国際映画祭最高賞がパルム・ドールではなく、グランプリと呼ばれていた1966年に、その栄冠を手にしたフランス恋愛映画の金字塔『男と女』。あれから50年、名匠クロード・ルルーシュ監督が描く大人の恋愛模様”最終章”。
ルルーシュ監督の盟友、アカデミー賞作曲家フランシス・レイの音楽も健在。
Contents
- 1 予告
- 2 あらすじ
- 3
映画を観る前に知っておきたいこと
- 3.1 名匠クロード・ルルーシュ監督の集大成
- 3.2 アカデミー賞作曲家フランシス・レイ
- 3.3 アンマとは?
- 4 あとがき
予告
あらすじ
映画音楽の作曲家として成功を収めたアントワーヌ(ジャン・デュジャルダン)は、美しい恋人アリス(アリス・ポル)との関係も順調で、今まで自分が作曲してきた映画の主人公のように、飄々とユーモアにあふれた人生を謳歌していた。
© 2015 Les Films 13 – Davis Films – JD Prod – France 2 Cinema
そんな折、ボリウッド(インド映画の俗称)版『ロミオとジュリエット』の製作のためにインドを訪れた彼は、熱気あふれる大都市ニューデリーで行われた大使館のレセプションで、フランス大使の妻アンナ(エルザ・ジルベルスタイン)と出会う。
© 2015 Les Films 13 – Davis Films – JD Prod – France 2 Cinema
エリートで有能な夫(クリストファー・ランバート)の愛を一身に受けるアンナは、女性の幸せをすべて手に入れたかのような朗らかで魅力あふれる女性だった。異国の地で出会った二人は、すぐさま意気投合し、そこから尽きない会話が始まるのだった。
© 2015 Les Films 13 – Davis Films – JD Prod – France 2 Cinema
大使夫妻には子供がなく、愛する夫との間に子供を授かりたいと願うアンナ。聖者アンマに会うためにインド南部の村まで巡礼の旅に出るのだと言う。
© 2015 Les Films 13 – Davis Films – JD Prod – France 2 Cinema
一方、アントワーヌはインドに来てからひどい頭痛に悩まされ、医者に精密検査を進められたところだった。多忙を極めているアントワーヌは、気分転換としばしの休息を求めて、アンナを追って2日間の旅で出かけることを決めた。
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映画を観る前に知っておきたいこと
この映画を語る上で欠かせないのがフランスの名匠クロード・ルルーシュ監督の存在と、盟友フランシス・レイの音楽です。この二人は恋愛映画の金字塔とされる『男と女』(66)から共に多くの映画を作ってきました。そして本作でも再び二人のコンビが実現しています。
ルルーシュ監督が描く大人の恋愛模様”最終章”と言われるこの映画に込めた彼の想いと、盟友フランシス・レイについて紹介しています。途中『男と女』の予告編も貼ってあるので、そこでダバダバダ〜♪のスキャットで知られるフランシス・レイの名曲も堪能してみてください。
最後に映画の見所として、実在するアンマという女性についても解説しています。
名匠クロード・ルルーシュ監督の集大成
フランスの名匠と謳われるクロード・ルルーシュ監督だが、彼は受難の時代を歩んできた監督でもある。
長編デビュー作『Le propre de l’homme』(60)では評論家から酷評され、『男と女』(66)の成功からわずか2年後の1968年に発表した『白い恋人たち』で”体制派”というレッテルを貼られる。以来ルルーシュ監督は正当な評価を受けられない時期が続くこととなる。
それでも彼は、映画の持つ力が人の心を2時間で変えられると本気で信じていた。
その人生を映画と共に生きた男が、50年間の思いを盛り込んだと語るのが本作である。
「私は初めて“熱意ある要望”に応える形で映画を作り上げたんだ。」
クロード・ルルーシュ監督 インタビュー
クロード・ルルーシュ監督受賞歴
- 第19回カンヌ国際映画祭 グランプリ・国際カトリック映画事務局賞・フランス映画高等技術委員会賞 『男と女』(66)
- 第39回アカデミー賞 外国語映画賞・脚本賞 『男と女』(66)
- 第24回ゴールデングローブ賞 外国語映画賞 『男と女』(66)
- ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞 外国語映画賞 『流れ者』(70)
- 第48回アカデミー賞 脚本賞ノミネート 『マイ・ラブ』(74)
- ロサンゼルス映画批評家協会賞 外国語映画賞 『マイ・ラブ』(74)
- 第34回カンヌ国際映画祭 フランス映画高等技術委員会グランプリ 『愛と哀しみのボレロ』(81)
- 第24回ゴールデングローブ賞 外国語映画賞 『レ・ミゼラブル』(95)
アカデミー賞作曲家フランシス・レイ
ルルーシュ監督作品のスタイリッシュな面を担ってきたフランシス・レイの音楽は本作でも健在だ。また今回は主人公が映画音楽作曲家ということもあり、音楽がより作品の重要な位置を占めている。
『男と女』で彼が手がけたダバダバダ〜♪のスキャットが全編に流れる主題歌はあまりにも有名で、これを聴いただけで恋愛映画のクラシックとされる理由がわかるような気がしてくる。予告を再生すればすぐにあの名曲が流れてくる!
『男と女』予告⇓
https://youtu.be/tEKubzJc32Y
フランシス・レイ受賞歴
- 第24回ゴールデングローブ賞 最優秀作曲賞ノミネート 『男と女』(66)
- 第25回ゴールデングローブ賞 最優秀作曲賞ノミネート 『パリのめぐり逢い』(67)
- 第28回ゴールデングローブ賞 最優秀作曲賞 『ある愛の詩』(70)
- 第43回アカデミー賞 作曲賞 『ある愛の詩』(70)
アンマとは?
ルルーシュ監督は映画の撮影のため75歳で初めてインドに訪れたという。もっと早い時期にインドのことを知っていたら、すべての作品をインドで撮影していたかもしれないと語るほど、この国に惹かれたようだ。
実際、映画の中でもインドという国の文化や精神が物語に深く関係している。
劇中で、アンナは愛する夫との間に子供を授かりたいと願い聖者アンマに会う巡礼の旅に出る。この聖者アンマは実在する女性で、霊性指導者としてすべての貧しい人々の苦悩と、彼らの肉体的、そして感情的な苦しみを減らすために活動している。全生涯をかけて、3400万人以上の人々を抱きしめ元気づけてきた彼女は、アンマ(お母さんの意)もしくは、マザーと呼ばれ、世界中で広く知られている。
映画では、実際のアンマと出会うジャン(アントワーヌ役)とエルザ(アンナ役)の姿が映されている。ルルーシュ監督は長焦点の望遠レンズを使ってニュース映像のようなアップでそれを撮影し、演技ではない自然な描写に仕上げている。
俳優自身もその瞬間は出演者ではなかったと語るほどアンマの優しさに包み込まれていた。
ルルーシュ監督の老獪さとアンマの存在が映画に最高のシーンをもたらした。
「この映画で体験したあらゆる奇跡の中でも、アンマとの出会いは最高のものだ。」
クロード・ルルーシュ監督 インタビュー
あとがき
この10月15日からクロード・ルルーシュ監督の代表作『男と女』(66)がデジタル・リマスター版でスクリーンに帰ってきます。この映画にはルルーシュ監督の原点があり、それは本作まで変わらない彼のスタイルのひとつとなっています。
最新作とセットで楽しむと、より感慨深い映画体験ができると思います。