映画を観る前に知っておきたいこと

【ベテラン】“アクションの神”がブチかます!韓国経済最大のタブー

投稿日:2015年12月1日 更新日:

ベテラン 韓国

武闘派ベテラン刑事率いる5人の捜査官vs財閥の御曹司!韓国経済における財閥の問題に鋭く切り込んだアクションドラマ。庶民vs財閥の複雑な対立構造を分かりやすく痛快なエンターテイメント作品として描き、本国韓国では『M:I:V』を抑えての大ヒットとなった。

監督を務めるのは、朝鮮半島情勢を巧みに取り入れた各国の諜報機関が入り乱れてのスパイアクション『ベルリンファイル』の大ヒットも記憶に新しいリュ・スンワン監督。アクションの神と呼ばれる監督だけに、アクションシーンには特に期待が膨らむところである。

「金はなくとも正義を貫く!」主役のベテラン刑事ドチョル役は『国際市場で逢いましょう』のファン・ジョンミン。本作で名実ともに韓国最高の俳優として名声を得た。財閥三世として初の悪役を演じるのは『カンチョリ オカンがくれた明日』のユ・アイン。

  • 製作:2015年,韓国
  • 日本公開:2015年12月12日
  • 上映時間:123分
  • 原題:『Veteran』

予告

あらすじ

強い信念と正義にかける熱い思いで刑事を続けてきた広域捜査隊に所属する熱血刑事のソ・ドチョル。ある日、世話になったトラック運転手が、シンジン物産を訪れた直後に自殺を図り、意識不明の重体となったことを知る。ベテラン長年の勘から何らかの事件性を見たチョドルは、真相究明のために捜査に乗り出す。そしてこの事件の裏に巨大財閥シンジン・グループの御曹司、チョ・テオが絡んでいることを嗅ぎ付けるのだった。

しかし、警察上層部には既に財閥の手が回っており、チョドルは捜査の打ち切りを命じられてしまう。方やチョ・テオは巨額の金と絶大な権力を駆使し、チームをあざ笑うかのように捜査をすり抜けていく・・・。ベテラン度重なる捜査妨害と卑劣なもみ消し工作を前に、それでも強い信念で正義を貫こうとするチョドルは、出口の見えない巨悪との命がけの闘いに身を投じていくのだった・・・。

映画を見る前に知っておきたいこと

知っておきたい韓国の経済状況

ベテラン財閥やなんやと言われても全く知らない世界なので、「なぜ財閥の裏側が“韓国最大タブー”と呼ばれているのか」については知っておきたいところ。

それを説明する文章は、映画関連の情報を漁ってもぜんぜん見当たらないので、ちょっとwikipediaに走ってみた。

すると、韓国経済のページにこんな一文が。

韓国の経済は、そのほとんどを三星財閥、LGグループ、SKグループおよび、分割された現代財閥、解体された大宇財閥の系列企業で占められており、その構造的な問題点を指摘する声もある。

引用:wikipedia「大韓民国の経済」

なるほどなるほど。“財閥”という言葉は韓国の経済にとって割と重要な意味があるようだ。

韓国の経済は、この4つの財閥グループに利益が偏っており、日本とは比べ物にならないほどの格差が広がっているのが現状。2014年度の調査では、サムスンと現代自、LG電子、SKが入る上位1~4位の最終利益は39兆ウォン(約4兆2500億円)の黒字に対してそれ以下のグループは相当な赤字を出しているという。

貧富の差はこれからもさらに広がり続けると見られているが、問題はそれだけではない。

天然資源の乏しい韓国の経済は、国同士の貿易による利益がほとんどを占めている。しかも上位グループを含めた会社の利益のほとんどを中国市場に依存している。その上で経済そのものが上位4社に依存している韓国では、中国への依存度も尋常ではないということだ。

資本主義の現代で経済を依存するということは極端な話、実権を握られているに遠からず。韓国の財閥経済は、そういった国家間の関係に関わる危険もはらんでいる。

韓国の財閥経済は、相当危険な緊張状態にあると言っても過言ではないだろう。

世襲制に対する不満に納得の大ヒット

サムスンとまぁその事はさて置いたとしても、財閥4社以外が大赤字という現在の韓国経済に構造に対して、国民の間で相当な不満が溜まっているのは間違いない。

そんな韓国の財閥は、創業者の一族が全権を握る世襲制である。各財閥では三世への世襲が進んでいるが、国民からはその三世に対して厳しく冷たい目線が向けられている。

創業者である一世、その背中を見て育った二世に対しては功績を認める人も多いのに比べ、何の実績もない三世は違う。つい先日も、大韓航空の趙顕娥副社長が※ナッツリターン事件で厳しい批判を受けたばかりだ。

※ナッツリターン事件
社長の息子である副社長が、マカダミアナッツを袋のまま提供されたことを原因に自社の客室乗務員に「機内サービスがなっていない」とクレームをつけ、既に滑走路に向かい始めた航空機を登場ゲートに引き返させた上で機内サービス責任者を86便から降すなどして運航を大きく遅延させた事件。

『ベテラン』では描かれるのは、こういった韓国財閥の現状、そして世襲制に対する不満の爆発といったところ。そいつをアクションでぶっ飛ばすとなれば、そりゃあ韓国で大ヒットするのも納得である。

しかし、この構図が日本人にどれほど響くかはちょっと不安に思うところでもある。

日本で財閥の裏側を描いた話と言えば、パッと思いつくのは「華麗なる一族」だろうか。キムタク(笑)と思っていた当時の僕に「キムタクカッコイイ・・・」と思わせた屈辱の大ヒットドラマシリーズである。

こうしたvs権力の構図は「華麗なる一族」の著者・山崎豊子の十八番である。山崎豊子は個人的にも好きな作家の一人なので、それがアクションの神と呼ばれる韓国アクションの雄、リュ・スンワン監督の手によってアクションになった!と無理やり思うと否が応でも興味をそそられるところなのだが果たして。

山崎豊子は全然関係ないしね・・・。

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