何度もやめようと思った、
でも歩き続けた。
人生とおんなじだ。
人生の再出発のため、1600キロに及ぶアメリカ西海岸を縦断するパシフィック・クレスト・トレイルを踏破した実在の女性シェリル・ストレイド。彼女のベストセラー自叙伝を『ダラス・バイヤーズクラブ』(13)のジャン=マルク・ヴァレ監督が映画化した感動作。
人生のどん底にいたシェリルがベストセラー作家へと人生をやり直した、たった一人3ヶ月の旅を映し出す。
俳優の演技を引き出すことでも定評があるヴァレ監督は、本作でもシェリル役のウィザースプーンと母役のローラ・ダーンに素晴らしい演出を提供している。彼女たちの胸を打つ演技は、2015年アカデミー賞で主演女優賞と助演女優賞にWノミネートされた。
Contents
- 1 予告
- 2 あらすじ
- 3 映画を見る前に知っておきたいこと
予告
あらすじ
シェリル(ウィザースプーン)は最愛の母の死に耐えきれず、優しい夫を裏切ってヘロインと男に溺れていた。やがて結婚生活は破綻し、彼女は自分自身を見失った。
このままでは残りの人生も台無しにしてしまう。シェリルは母が誇りに思ってくれていた頃の自分を取り戻すため、アメリカ西海岸を縦断する1600キロのパシフィック・クレスト・トレイル踏破を決断する。

© 2014 Twentieth Century Fox
しかし、それは人生よりも苦難の道程だった。シェリルは荷物を詰め込み過ぎたバックパックを背に、スタートしてすぐに後悔した。テントもろくに張れず、コンロの燃料を間違え、冷たい粥しか食べられない。極寒の雪山、酷暑の砂漠、ついには食料さえも底をついた。

© 2014 Twentieth Century Fox
しかし、命さえ危険なその旅が、シェリルを自分自身と向き合わせていくのだった……
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映画を見る前に知っておきたいこと
ジャン=マルク・ヴァレの代表作『ダラス・バイヤーズクラブ』と同じく、実話に基づく“人生の再生”を映し出した作品でありながら、原作がある点で異なる。そして、脚色を手がけたニック・ホーンビィの存在。
この2つがジャン=マルク・ヴァレの世界観にうまく融合し、観客に勇気と感動を与える物語が誕生している。
原作『わたしに会うまでの1600キロ』
セックス、ドラッグ、不倫、中絶、最愛の母の死、離婚、父の暴力、多くの重荷を背負った26歳のシェリル・ストレイド。そんな彼女がすべてをやり直すためにチャレンジした1600キロに及ぶアメリカ西海岸を縦断するパシフィック・クレスト・トレイル踏破。原作ではその3ヶ月に及ぶ旅の記録が時系列に綴られている。すなわち、彼女の日記のような読み物だ。
もともとベストセラーであるこの原作を、映画の後に手に取った人も多いようだ。中には映画以上の感動を覚えた人もいる。
ヴァレ監督はこのシェリルの自叙伝を忠実に再現している一方で、1600キロの旅路を時系列に捉えながら、彼女の回想を挟む形で構成している。大自然の厳しさと記憶のフラッシュバックによって、よりドラマ性を持たせることで彼女の苦悩を炙り出してゆくのだ。
自叙伝を少し退屈に感じたなら映画を、シェリルの旅の息吹を感じたいなら原作を。
ニック・ホーンビィによる脚色
本作の脚色を手がけたのは、イギリスの作家ニック・ホーンビィだ。『ハイ・フィデリティ』(95)や『アバウト・ア・ボーイ』(98)など、彼の作品にはいくつか映画化されたものもある。もう少し軽いタッチではあるが、彼もまたヴァレ監督同様に“人生の再生”を得意とする作家だ。
ジャン=マルク・ヴァレ×ニック・ホーンビィ、これだけでそそられる映画ファンも多いのではないだろうか。
実際、ホーンビィの絶妙な語り口は、原作にはないドラマ性とユーモアを映画にもたらしている。ヴァレ作品の中に彼の存在を感じることができるのもこの映画の魅力だ。
作品データ
原題 | 『Wild』 |
---|---|
製作国 | アメリカ |
製作年 | 2014年 |
公開日 | 2015年8月28日 |
上映時間 | 116分 |
映倫区分 | R15+ |
原作 | 自叙伝『わたしに会うまでの1600キロ』 シェリル・ストレイド |
キャスト
キャスト | リース・ウィザースプーン |
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ローラ・ダーン | |
トーマス・サドスキー | |
ミキール・ハースマン | |
ギャビー・ホフマン | |
キーン・マクレー | |
ケビン・ランキン | |
W・アール・ブラウン |
監督・スタッフ
監督 | ジャン=マルク・ヴァレ |
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脚色 | ニック・ホーンビィ |
製作 | リース・ウィザースプーン |
ブルーナ・パパンドレア | |
製作総指揮 | バーゲン・スワンソン |
ネイサン・ロス | |
ニック・ホーンビィ |