映画を観る前に知っておきたいこと

【アメリカン・ドリーマー 理想の代償】1981年、ニューヨークが最も凶暴だった年

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アメリカンドリーマー 理想の代償

1981年、ニューヨークが最も凶悪で、最も夢に満ちていた時代。アメリカンドリームを信じてオイルビジネスに全てを賭けた男が、わずか30日間で時代に飲み込まれていく様を描いたヒューマンドラマ。正しさと成功の矛盾、駆け引きと葛藤、ビジネスには常につきまとう悩みが針を振り切って主人公を襲う。

監督は『マージン・コール』『オール・イズ・ロスト 最後の手紙』のJ・C・チャンダー。息をつかせぬ緊迫感はサスペンスさながら。オスカー・アイザック、ジェシカ・チャステインら実力派キャストを迎え、世界で一番危険な街の全てを一本のフィルムに凝縮した。

  • 製作:2014年,アメリカ
  • 日本公開:2015年10月1日
  • 上映時間:125分
  • 原題:『A Most Violent Year』

予告

あらすじ

アメリカンドリーマー 理想の代償 あらすじ犯罪と暴力が横行した1981年、NY。移民のアベルと妻のアナは、群雄割拠のオイル業界で“クリーンなビジネス”を信条にオイルカンパニーを築き上げていた。成功を夢見て事業を拡大するため土地を購入することを決意し、頭金として全財産を投入した矢先に二人の人生は転落を始める。

運搬中のオイルの強奪、脱税の嫌疑、家族へのいやがらせ・・・まるで彼らの成功を阻止しようとするかのように、次々とトラブルが襲い掛かる。悪い噂は一気に広まり、銀行からの融資は断られ、信頼しあっていた夫婦の間にも亀裂が入る。アメリカンドリーマー 理想の代償 あらすじ破産の足音が一歩ずつ迫ってくるなか、孤立無縁となったアベルはトラブルを解決するために奔走する。タイムリミットは30日―。

映画を見る前に知っておきたいこと

1981年のNY

1981年はニューヨークにとって史上最悪の年として知られている。犯罪は史上最多、治安の悪さは言わずものがな、「マフィアの時代」と呼ばれるほど多くのマフィアが活動していた時代でもある。

スリ、ひったくりは日常茶飯事。それどころか、ホールドアップ、泥棒、レイプ、発砲、殺人事件などが毎日どこかで発生しているような街だったようだ。人気の無いところに入ることはまさしく自殺に等しく、男と言えども夜に一人で出歩こうものならボコボコにされて素っ裸で朝を迎えることになる。当時は世界一危険な街だと言われていた。

そんな腐った街にも、自由と富の象徴・アメリカンドリームは存在した。1981年のニューヨークは、良いものから悪いものまで世界の全てがその街にぶち込まれた混沌の時代であり、その怪しげな魅力で世界中の人々を惹きつけた。

同じようにこの時代に憧れたJ・C・チャンダーは、『A Most Violent Year(最も凶暴な1年)』という原題の通り、緊迫した1981年のニューヨークを生きるアメリカンドリーマーの姿を約2時間のフィルムに凝縮してみせた。それがこの映画が高い評価を受けている大きな理由だろうと思う。

「rotten tomatoes」では187件のレビューがあり、7.8/10の高得点をマークしている。これほどの作品がなぜ1年待っての公開だったのかを考えるに、おそらく1981年のニューヨークというテーマは日本人には理解しがたいと思われていたのではないだろうか。確かな理由は分からないが、評価を得た今だからこその公開ということなのかもしれない。

最後に、当時のニューヨークの様子がよく分かる資料として、写真家クリストファー・モリスの作品「NYC Subway 1981」の作品をいくつか紹介したい。

クリストファー・モリス NYC Subway 1981

クリストファー・モリス NYC Subway 1981

クリストファー・モリス NYC Subway 1981

クリストファー・モリス NYC Subway 1981出典:Christopher Morris Photography

-ヒューマンドラマ, 洋画

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