映画を観る前に知っておきたいこと

【コンフェッション 友の告白】友情と憎悪の犯罪ドラマ

コンフェッション 友の告白

少年時代から固い絆で結ばれた3人の男たちの友情が、強盗放火事件をきっかけに疑惑と憎悪へと変わっていく犯罪ドラマ。短編映画で多くの賞を獲得し、韓国で注目の新鋭、イ・ドユン監督の長編デビュー作。そこに韓国の一流スタッフが集結して制作された。

『アンティーク ~西洋骨董洋菓子店~』『私は王である!』など多彩な役柄で変身を遂げてきた人気俳優チュ・ジフン。『秘密』『ラストダンスは私と一緒に』『ボスを守れ』ほか数多くの主演ドラマで実力を発揮する正統派二枚目チソン。ドラマ、バラエティ番組でも幅広い才能を発揮する個性派イ・グァンス。この3人によって、友情が疑惑と憎悪へと変わっていく極限の心理が描かれる。


  • 製作:2014年,韓国
  • 日本公開:2015年8月1日
  • 上映時間:114分
  • 原題:『Confession』

予告

あらすじ

保険のセールスで高給取りの世渡り上手なインチョル、妻と娘を愛するマジメで正義感の強い消防士のヒョンテ、いつもそんな2人に助けられるドジなミンス。性格も生き方も違う3人は、少年時代に山で遭難し生死の岐路に立った経験を共有し、大人になった現在も兄弟のように固い絆で結ばれていた。コンフェッション 友の告白ヒョンテの母親が社長であるゲーム賭博の店に、火災保険の契約のため訪れたインチョル。店は経営難で多額の借金を抱えていることが判明する。コンフェッション 友の告白

「もし店が放火されたら、いくらもらえるの?」

「監視カメラに証拠が残れば10億ウォンの保険金が出ます。」

ヒョンテの母とインチョルがそんな会話をしていた矢先、店の売上金を狙った強盗放火事件が発生する。そしてそれは殺人事件となった。事件でヒョンテは母を失ってしまう。巨額の現金と共に消えた犯人。進展しない警察の捜査。失意の中、ヒョンテは自分で犯人を探し始める。インチョルとミンスもヒョンテに手を貸すことに。コンフェッション 友の告白しかし、事件の真相に迫るにつれ、三人の間にお互いに対する疑惑が生じ始める。そして予期せぬ偶然が重なり、友情は互いへの憎悪へと変わっていく。

果たして事件の真相は強盗を装った保険金詐欺計画なのか?固い絆で結ばれた3人の運命は?

映画を見る前に知っておきたいこと

イ・ドユン監督がデビュー作に込めた想い

イ・ドユン監督短編映画で多くの賞を獲得し、韓国で注目の新鋭となったイ・ドユン監督。そして34歳の若さで長編デビューとなった。彼は初の長編で多くの後悔と物足りなさを経験した。それは新人として始めて長編映画を撮る妥協のなさ、力の入り具合を表している。

イ・ドユン監督が作品の中で最もこだわるのが“リアリティ”だ。観客が実際に自分にも起こると思えるようなシーンしか撮らないという。この瞬間どうしてあれをしなければならないのかという疑問が残るシーンは徹底的に排除する。

カンヌ、ベネチア、ベルリンなどの世界3大映画祭に次ぐ規模の、カナダのトロント国際映画祭で上映され、「初の長編映画であるにもかかわらず、各俳優の優れた演技力を導き出すイ・ドユン監督の素晴らしい演出力に感動した。」と絶賛された。それはイ・ドユン監督が“リアリティ”こだわった結果、俳優の優れた演技力を導き出したといえる。

例えば、ミンスが酒を飲み過ぎて嘔吐するシーンがあるが、ミンスを演じるイ·グァンスは撮影の時、実際に泥酔するほど酒を飲んでいる。こうした観客の共感を得るために“リアリティ”を追求する姿勢が俳優の演技を引き出している。

イ・ドユン監督はこの映画に“おもしろかった”という観客の反応は求めていない。共感できることが最重要なのだ。イ・ドユン監督のインタビューに、それをよく表したこんな言葉がある。

「友人と焼酎を飲みながら殴り合う喧嘩もちょっとしてみて、大韓民国の焼酎の売り上げが上がる映画になればいい。」

妥協せず、徹底して“リアリティ”こだわった初の長編を撮り終えた新鋭監督の言葉にウィットを感じた。

韓国の映画事情とその歴史

今ではイ・ドユン監督のような世界的な映画祭でも評価される監督や作品が出てきたが、実は韓国の映画が評価されるようになったのは2000年代に入ってからのことだ。

日本の植民地時代は、厳しい検閲が敷かれるようになり映画生産は減少した。1945年の独立を皮切りに反日映画のラッシュが続き、1998年まで日本映画は公式には一切上映されなかった。

また国内の映画館に、年間一定日数以上の韓国映画上映を義務づけるスクリーンクォータ制度があり、レイティングも日本より厳しく、小学生も鑑賞できると判定される映画はファミリー映画など一部の作品に限られるなど、自国の映画を守る代わりに自由化されない事情があった。近年、スクリーンクォータ制度も年間一定日数以上の韓国映画上映を半数に減らすなど少しずつ自由化の動きもある。

こうした映画が発展しづらい歴史の中で、2000年代以降ようやく世界的にもヒットする作品が出てきた。2001年の『猟奇的な彼女』がそうだ。なので世界3大映画祭の受賞歴もほとんどが2000年代以降の作品となっている。

  • 第44回ヴェネツィア国際映画祭 (1987年) で シバジのカン・スヨンが女優賞
  • 第55回カンヌ国際映画祭(2002年)でイム・グォンテク監督『酔画仙』が監督賞
  • 第59回ヴェネツィア国際映画祭(2002年)でイ・チャンドン監督『オアシス』 が銀獅子賞(監督賞)
  • 第61回ヴェネツィア国際映画祭(2004年)でキム・ギドク監督『うつせみ』 が銀獅子賞(監督賞)
  • 第54回ベルリン国際映画祭(2004年)で同監督の『サマリア』が銀熊賞(監督賞)
  • 第57回カンヌ国際映画祭(2004年)でパク・チャヌク監督『オールド・ボーイ』が審査員特別グランプリ
  • 第60回カンヌ国際映画祭 (2007年)で『シークレット・サンシャイン』のチョン・ドヨンが女優賞
  • 第62回カンヌ国際映画祭 (2009年)で『渇き』が審査員賞
  • 第63回カンヌ国際映画祭 (2010年)で『ポエトリー アグネスの詩』が脚本賞
  • 第69回ヴェネツィア国際映画祭(2012年)でキム・ギドク監督『嘆きのピエタ』 が金獅子賞(最高賞)

これからさらに自由化が進めば、新しい才能や作品が多く生まれるはずだ。

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