映画を観る前に知っておきたいこと

【下衆の愛】下衆の下衆による下衆のためのブラックコメディ

投稿日:2016年3月18日 更新日:

下衆の愛

インディーズフィルムシーンのどん底で生きる下衆なヤツらの葛藤を描いたコメディドラマ。金も甲斐性もなにもない映画監督を初めとする下衆なヤツらと、才能溢れる純真な新人女優のコントラストが面白い。

監督は『グレイトフルデッド』で世界的な注目を集めた内田英治。本作について隔離された狭い世界で巻き起こるストーリー、いわゆる四畳半映画を撮りたかったと語る。

主演は、日本のカルト映画界で愛される“怪優”渋川清彦。夢という幻想にしがみつくアラフォーのどうしようもない下衆映画監督を演じる。下衆いヤツらの感情の渦の中心人物、ヒロインの新人女優ミナミ役には『飛べないコトリとメリーゴーランド』『図書館戦争 THE LAST MISSION』で注目された新星、岡野真也。

その他でんでん、木下ほうか、津田寛治、内田滋、忍成修吾、細田善彦、古舘寛治ら個性的なキャストが脇を固めた。


  • 製作:2016年,日本
  • 日本公開:2016年4月1日
  • 上映時間:110分

予告

あらすじ

テツオは40歳を目前にしながらも、映画監督の夢にしがみつくパラサイトニート。“映画祭で受賞したことがある”という過去の栄光を引きずる、カネも甲斐性もないどうしようもない男だ。

しがみついている映画監督の夢も、特に何をするでもなく女優を自宅に連れ込んでは事に及ぶ自堕落でくだらない毎日を過ごしていた。
下衆の愛しかしある日、新人女優・ミナミとの出会いがテツオの監督魂に火をつける。ミナミの才能に新しい希望を見出し、映画界の底辺に巣食う仲間を集め始めるテツオ。

「裸と動物」に異常なこだわりを見せるプロデューサーの貴田、売れるためなら枕も厭わない売れない女優の響子、自らのハメ撮りで生計を立てている助監督のマモル・・・。
下衆の愛しかし、彼らの人生を賭けた最後の大勝負はいきなり現実の壁にぶち当たるのだった。テツオの映画に懸ける愛と情熱が、夢と現実の間で交差する――。


映画を見る前に知っておきたいこと

下衆

下衆
1.《名》身分が非常に低い者。
2.《名ノナ》心がいやしいこと。そういう人。

『LOWLIFE LOVE』の英題が示すとおり、日本の社会の最下級層に巣食う下衆事情を描いた本作。最下級層とは言うまでもなく「経済的に」という意味である。経済的な身分がなければ、どんなに素晴らしい才能も、どんなに愛すべき性格も紛う事無き下衆である。

才能はあってもけど埋もれていく人は本当にたくさんいる。都会に住んでいれば、アルバイトをしている映画監督やミュージシャンを名乗る人に出会うことは一度や二度ではないだろう。

彼らが成功するか否かは、飛びぬけた才能でも素晴らしい作品でもなく、全ては経済性にかかっている。経済主義とはつまり、そういう社会のことを言う。そしてこの映画は、経済至上主義の現状に一石を投じる・・・ものでは全くない。

人は公ではいい顔してても、気の許せる身内の中では下衆い話をしていたりする。そんな他人には見せられない身内ブラックコメディが本作『下衆の愛』である。映画の雰囲気から社会的弱者による反逆的なメッセージ性を求めると足元を救われるかもしれない。

どうしようもない下衆コメディ

下衆の愛

日本にはクソ人間には三種類あって、ゲス・カス・クズってね。僕は良い人間より悪い人間を主人公に描きたいと常々思っているんですけど、“下衆”というのはギリ愛せるっていう人ですね。
引用:東京国際映画祭HP/内田英治監督インタビュー

下衆な人たちは卑屈でいやしく余裕がない。カネ、時間、心、とにかくあらゆる場所に余裕がない。カスとクズとの大きな違いは、余裕のなさである。日々を何とか幸せに生きたいと望みながらも、余裕がないが故にあらゆることが上手くいかず、余計に卑屈で厭世的な価値観を育てて自分と周りを蝕んでいく。

下衆たちのそんな状況に共感できる人も多いはずだ。誰しもがそうした日々を乗り越えて、明日に繋がる何かを手繰り寄せようと必死なのだ。そしてこういうキツイ状況を笑えるということは、人生を生きるコツのひとつでもある。

一応ヒューマンドラマに大別されてはいるが、『下衆の愛』はコミカルな要素の方がより重要な意味を持っていると思う。下衆の下衆による下衆のためのブラックコメディ。それが『下衆の愛』である。

-4月公開, コメディ, ヒューマンドラマ, 邦画
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