映画を観る前に知っておきたいこと

【ドローン・オブ・ウォー】ゲーム感覚で人を殺す無慈悲な現代の戦争

投稿日:2015年8月25日 更新日:

ドローン・オブ・ウォー

イーサン・ホークとアンドリュー・ニコル監督が『ガタカ』『ロード・オブ・ウォー』に続いて再びタッグを組んだ野心的作品。これまでの戦争映画とは違い、臨場感みなぎるバトル・アクションも戦場に駆り出された兵士たちの決死のサバイバル描写も一切ない。安全な場所からドローン(無人戦闘機)を操作して空爆を行う現代の戦争の実体と、戦地に行かずしてPTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しめられるドローン操縦士の異常な日常をリアルに描く。

ゲーム感覚で人を殺せる無慈悲な現代の戦争の姿を思い知れ!


  • 製作:2014年,アメリカ
  • 日本公開:2015年10月1日
  • 上映時間:104分
  • 原題:『Good Kill』
  • 映倫区分:R15+

予告

あらすじ

9.11同時多発テロ以降、アメリカ政府はテロリストの一掃するためドローンの研究が軍事分野で着々と進められてきた。イラクやアフガニスタンに無人戦闘機を投入し、アメリカ国内から遠隔操作するため、操縦士に危険が及ばない。それは戦争のあり方を根底から変えてしまったと同時に多くの問題も生み出したのだった。ドローン・オブ・ウォーアメリカ空軍のトミー・イーガン少佐は、F-16戦闘機のパイロットから無人戦闘機の操縦士に転身し、政府のテロリスト掃討作戦に貢献してきた優秀な軍人であった。しかし、トミーはドローンによる空爆に大きな違和感を感じていた。ラスベガス郊外のマイホームと砂漠の空軍基地を車で毎日往復し、エアコンが快適に効いたコンテナ内のオペレーションルームにこもって、圧倒的な破壊力を誇るミサイル“ヘルファイア”をクリックひとつで発射する。1万キロ余りも離れた異国でのミッションを遂行しているのだ。音声の出ないモニターだけで戦場の状況を確認するその任務は、まるでゲームのような感覚だった。ドローン・オブ・ウォー現実感の欠落した殺人と、モニターだけで戦場の状況を確認することにより民間人や子供まで巻き込んでしまう現実。安全を保障された空爆の代償はあまりに大きかった。

上官のジョンズ中佐は良識ある軍人だが、トミーのドローン操縦の腕前を高く評価するがゆえに、彼の異動願いを受け入れてくれない。CIAの対テロ特殊作戦に参加したトミーは、度重なる過酷なミッションにじわじわと精神を蝕まれ、いつしかアルコールに依存するようになり、以前は情熱的に愛し合った妻モリーとの関係までも冷えきっていく。

ある日、新人の女性空兵スアレスがチームに配属され、トミーの相棒としてミサイル誘導レーザーの照射を担当することになった。彼女もまた現実感の無い任務の恐ろしさと虚しさを痛感することになる。そして、あるターゲットへ向けたミサイルの発射から着弾までの7秒のタイムラグの間に、爆撃地点にさまよい込んできた子供たちが巻き添えにしてしまう。発射スイッチを押したトミーは罪悪感に苛まれていく。ドローン・オブ・ウォー
戦地に赴くことなくPTSD(心的外傷後ストレス障害)に苦しむトミーは、冷徹な指揮官からの人命を軽んじた爆撃指令への反抗を決意するのだった・・・


映画を見る前に知っておきたいこと

技術が人間の心を置き去りにする

この作品で扱われたテーマは、9.11以降の対テロ戦争で実際にアメリカが抱えている問題だ。民間人を巻き添えにしてしまうこと、ゲームのように現実感がないままに人を殺せてしまうことが、兵士たちをPTSD(心的外傷後ストレス障害)にしてしまう。僕は以前にテレビでドローン(無人戦闘機)の操縦をしていたアメリカ兵のインタビューを見たことがあるが、本作の主人公であるトミーとまったく同じようなことを感じていた。たまたま見掛けたそのインタビューが、この映画が真実を描いていることを確信させた。戦争自体恐ろしいものだが、それがネクストステージに進んでしまったことを教えてくれる。

ドローン(無人戦闘機)空爆は、もはや人間の心が耐えきれるものではないはずだ。技術が人を置き去りにしてしまったように感じる。それは、ドローン(無人戦闘機)に限ったことではなく、僕たちの日常でも起こっている。インターネットを例に取っても、僕たちが処理しきれない情報が瞬時に手に入るし、管理されている。便利さや合理性が僕たちの心と相容れなくなっているのではないだろうか。便利になればなるほど、それを扱う人間は幸せじゃなくなっているように感じる。僕もそんな便利さに翻弄され、あらがえない人間の一人だ。それでも僕が子供の頃のほうが、今はない豊かさがあったのではないかと時々考えることがある。

話を戻そう。戦争とは“人が人を殺すこと”、そんな人間の業も歴史的に見れば正常な人間の行動の一つであるかもしれないが、現代社会において戦争はやはり特異な体験であるはずだ。“人が人を殺すこと”の価値観すら狂い始めている時代になってしまったのだと思った。人を殺す時、何も感じなくなったらそれは異常だ。

-戦争, 洋画

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