『獅子神楽』は保存会などの活動で伝承されている日本の日本の伝統芸能のひとつ。伝承され、次世代に伝わっていくものの影で、人知れず消え去ろうとしているものもある。映画『かぐらめ』は、人の生活と伝統芸能の関わりを描く中で、改めてそのあり方を見つめなおすきっかけになる。
- 製作:2015年,日本
- 日本公開:2015年5月3日~、夏全国順次公開
Contents
- 1 予告
- 2 あらすじ
- 3
映画を見る前に知っておきたいこと
- 3.1 日本に伝わる神楽歌
- 3.2 伝統芸能と地域の生活
予告
あらすじ
秋音の母は、秋音が小学生の時に亡くなった。父は母が亡くなる日も母のそばにはいなかった。父はそんな時にも「獅子神楽」を舞っていた。秋音はそんな父が理解できず、自然と距離を置くようになっていた。高校も、地元からは離れた場所を選んだ。
しかし、そんな東京での生活も行き詰まっていた。そして父も、妻の死による悲しみから抜け出せないでいた。母の13回忌、秋音は5年ぶりに実家に戻ることにした。そこには亡くなった最愛の母に似た女性の存在が・・・
一方、町は60年に一度の大例祭が近づくにつれ活気づいていた。ベテランの舞い手である父が最後の獅子神楽を披露することなっていたのだが、父の体に異変がおこる。
「私が踊る―。」
そう言い出した秋音の心には、どんな感情が渦巻いていたのだろうか。
映画を見る前に知っておきたいこと
日本に伝わる神楽歌
「神楽」の語源は、神を宿すところを意味する「神座」(かむくら・かみくら)が転じたとされている。祈祷や神卸などの神人一体の宴の場に歌われた歌を一般的に「神楽」と呼ぶ。その様式は平安中期に完成したとされ、現在まで約90首の歌が伝わっている。今日では、日本全国でその地域独特の特色を持つ「神楽歌」を見ることができる。
「獅子神楽」は日本に伝わる神楽歌の一種。神楽歌には宮中で歌われる「御神楽」と民間で親しまれる「里神楽」の2種類があり、「獅子神楽」はそのうち「里神楽」に属する。
伝統芸能と地域の生活
伝統芸能と呼ばれる芸術は日本各地に、詩歌・音楽・舞踊・絵画・工芸・芸道、さまざまな形で伝わっている。現在ではそのほとんどは保存会などの努力により形を残すのみで、人々の生活に直接影響を与えるものは数少ない。
しかし、バブルがはじけて長い経済の低迷に喘ぐなか、「良いものを大切に、長く使う」という考え方が再び市民権を得てきた。作るのに手間も技術も必要で高価な伝統工芸品が見直される時代になってきているのだ。
芸能についても、同じことが言えると思う。それは漠然とした感覚で、僕は説明する言葉をもたないし、飽くまで個人的なものでしかないのかもしれない。だが、AKBの歌や踊りが、EXILEのあの妙な回る動きが、1000年後にも残っているだろうか?かなり極端な話だと分かってはいるが、これを機会に1000年もの長い時間に渡って代々伝えられてきた「神楽歌」に興味を持ってみるのも悪くないと思う。