映画を観る前に知っておきたいこと

ロスト・バケーション
ブレイク・ライヴリーによるワンシチュエーション・スリラー

岸はすぐそこ。しかし ──
たどり着くことはできない。

アメリカの人気ドラマ『ゴシップガール』(07~12)で主演を務めたことがきっかけで、今や世界中の女性たちのファッションアイコンとなったブレイク・ライヴリー。監督の手腕以上に彼女の演技が問われるほど、極限までシンプルに削ぎ落とされたワンシチュエーション・スリラー。

忙しい日々の喧騒から抜け出し、秘密のビーチにひとり訪れた医学生ナンシーの休暇は、獰猛な人食いザメよって一変した。彼女が取り残された岩場は、潮が満ちると共に次第に足場を狭くする。生存へのリミットが刻一刻と迫る中、極限状態の生死を賭けたサバイバルが始まる ──

『フライト・ゲーム』(14)、『ラン・オールナイト』(15)でリーアム・ニーソンを本格アクションスターに仕立てたスペインの鬼才ジャウマ・コレット=セラが監督を務める。


予告

あらすじ

医師になるための勉強漬けの日々に加え、母に先立たれた父と幼い妹の面倒まで見ていた医学生ナンシー(ブレイク・ライブリー)は、休暇を利用して亡き母が教えてくれた秘密のビーチへと訪れた。そこはまさにサーファーにとって最高の楽園だった。地形、波、風、すべてがナンシーを忙しい日常から解放する。しかし、そんな最高の休暇は一瞬で恐怖に支配されることに。

ロスト・バケーション

時間も忘れサーフィンに夢中になるナンシーを、海中で何者かがアタックした。脚を負傷しながら無我夢中で近くの岩場に泳ぎ着いたナンシーは、自分が絶望的状況に追い込まれたことを悟った。

ロスト・バケーション

しかし彼女は生き残るため、医学の知識を活かしてラッシュガードを使って脚を止血し、満潮までの時間を計算、人食いザメの行動パターンを解析し始める。

生存へのリミットが刻一刻と迫る中、冷静さを保とうとするナンシーだったが……


映画を見る前に知っておきたいこと

サメ映画で真っ先に思い出すのがスティーヴン・スピルバーグの『ジョーズ』(75)だが、スリルに特化したシンプルな設定は見事にホラーの要素を遠ざけている。ブレイク・ライブリー演じるナンシーがいれば物語は成立するため、必然的に人食いザメに襲われる人数が少ないのもこの映画の特徴だ。

B級ホラーが多いこのジャンルだが、そこにもワンシチュエーションゆえ低予算で済んでしまったという必然性を感じる良作である。

スリルに特化したシンプルさ

スリラー系、パニック系と呼ばれる映画は、観客に余計な情報を与えないシンプルな設定ほど、恐怖やスリルといった感情に引き込まれやすい。

岩場にひとり残された女性と獰猛な人食いザメという簡単な構図かつワンシチュエーションで完結するストーリー。さらにタイムリミット100分、岸までわずか200メートル、視界に安全な場所を捉えながらも追い詰められていくという極限まで削ぎ落とされた設定は、まるでゲームのように単純だ。

ただただ、その場を覆うスリリングな空気を共有することができるというのがこの映画の強みである。それでいて医大生であるナンシーが様々な機転を利かすことによって観る者を飽きさせることもない。

低予算で製作されているためB級感はあるものの、緊迫感に裏打ちされた骨太な作品に仕上がっている上、ブレイク・ライヴリーをプッシュするという意味でもこれ以上ないぐらい功を奏している。

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