映画を観る前に知っておきたいこと

オアシス スーパーソニック
初のドキュメンタリー映画

投稿日:2016年11月11日 更新日:

オアシス スーパーソニック

リアム&ノエル・ギャラガー製作総指揮
イギリスの伝説的ロック・バンド“オアシス”初の長編ドキュメンタリー!

レディオヘッド、コールドプレイ、90年代のイギリスにはオアシスより売れたロック・バンドはいても、オアシスより偉大なバンドはいない。イギリスの伝説的ロック・バンドとなった彼らの結成から25万人を動員したネブワース公演までの軌跡、最もバンドが輝いていた瞬間を切り取ったドキュメンタリー!

27歳でこの世を去ったR&Bの歌姫エイミー・ワインハウスの素顔を追った『AMY エイミー』で2015年アカデミー長編ドキュメンタリー賞を受賞したアシフ・カパディア監督が製作に手を貸し、『グアンタナモ、僕たちが見た真実』で2006年ベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞したマット・ホワイトクロスがメガホンを取る。

バンドの中心であるノエル&リアム・ギャラガー兄弟に対する新たなインタビュー、メンバーや関係者による証言、名曲の数々を捉えた貴重なライブ映像、更に膨大なアーカイヴ(写真・記録や資料)に前例のないレベルでアクセスを許可された本作は、ファンにとって最高のクリスマスプレゼントとなるだろう。

予告

あらすじ

マンチェスターの公営住宅で育った兄ノエルと弟リアム。1991年、労働階級に過ぎなかった二人の若者の人生は一夜にして変わった。その夜のショーは、憧れのレーベル“クリエイション・レコーズ”の代表アラン・マッギーの目に止まり、その場で契約を勝ち取った。

兄弟がステージを共にしてからわずか3年足らずでリリースされたファースト・アルバム「Definitely Maybe」は、イギリス音楽史上最速のスピードで売れたデビューアルバムとなった。

オアシス スーパーソニック

© Jill Furmanovksy

その一年後、セカンド・アルバム「(What’s the Story) Morning Glory?」で、当時ビートルズがもっていたイギリスのアルバム売上記録を塗り替え、96年のネブワースでの公演を迎える。チケットに約260万人もの予約が殺到し、最終的には2日間で25万人を集めた伝説のステージとなった。

オアシス スーパーソニック

© Jill Furmanovksy

結成からわずか5年で、全世界の音楽シーンの頂点に上り詰めていたオアシス。しかしその頃すでにノエルとリアムの間には取り返しのつかない“ひび”が入りはじめていた……

映画を観る前に知っておきたいこと

2016年は、46年ぶりとなるビートルズの公式ドキュメンタリー映画『ザ・ビートルズ EIGHT DAYS A WEEK The Touring Years』も公開され、映画という観点から捉えれば、イギリスのロック史にとって重要な1年となった。

2009年の解散から7年、オアシスファンに向けた最高のクリスマスプレゼントが届けられる。それはファンが最も望む形に仕上げられたオアシス初のドキュメンタリー映画、デビューからネブワースまでを切り取った最も輝ける時間だ。

ファンに向けられた映画

晩年の解散劇がまだ頭に残るファンにとって、オアシスが最も輝いていた瞬間を切り取った作品であることは重要な意味を持つ。敏感なファンなら、ファーストシングル「スーパーソニック」がタイトルに使われていることで映画への期待が高まるはずだ。

彼らの存在はこのデビュー曲の最初の一節、「I need to be myself I can’t be no one else(俺は俺である必要がある 他の誰でもないんだ)」という歌詞にすべて集約されていた。当時、イギリスの労働階級に属する若者はもちろん、日本の若者もこのメッセージに激しく反応した。

世間的にオアシスの代表曲を挙げるとしたら、「ワンダーウォール」か「ドント・ルック・バック・イン・アンガー」だが、当時を知るファンにとっては「スーパーソニック」はやはり特別な曲だ。

そして晩年の解散劇を遠ざけながらも、映画の中心にはきちんとノエルとリアムの関係性が据えられている。この二人の危うい絆こそオアシスの魅力であり、バンドのケミストリーだったのは誰の目にも明白だった。同時に、解散への直接的な引き金となったことも……

本作で私が意図することは、バンドの核心を掴むこと、そしてリアム&ノエル・ギャラガーの強烈な関係性を前面に押し出すことです。なぜならその切迫した衝突関係こそが、このバンドを魅力的にしている要素だからです。彼らのコンサートはいつもこれが最後かもしれないと思わせるようなものでした。その不安定さこそオアシスを作る要素であり、同時に究極的には破たんの原因となったのです。その態度、辛辣なユーモア、実直さ、そして彼らが象徴していた可能性の感覚。自分たちを信じる事だけで、彼らふたりは世界に立ち向かっていたのです。本作は彼らの音楽に関する映画です。壮大で快楽的、肯定的でメランコリック、そして時代を超越した彼らの楽曲に関する映画です。“ワンダーウォール”、“シャンペン・スーパーノヴァ”、“ロックンロール・スター”、“ドント・ルック・バック・イン・アンガー”。これらすべての忘れがたい名曲が勢ぞろいします。今こそ、世界中の人々が失ったものを思い出す時です。オアシスは永遠です。

マット・ホワイトクロス監督

リアム・ギャラガー被害者の会

2009年8月、ノエルが公式サイトでオアシスからの脱退を発表したことでバンドは解散している。

突然の解散の引き金となったのは、ノエルが敬愛するスミスのギタリスト、ジョニー・マーからプレゼントされたギターをリアムが破壊したことだとされているが、その一方でリアムは、「ギターを破壊されたのはオレの方だ」とも語っている。真相は定かではないが、一連の大喧嘩の後、ジョニー・マーは再びノエルにスミス時代のギターを贈ったという話がある。

デビュー当時から酒やドラッグ、暴力沙汰など素行の悪い弟にノエルが手を焼いてきたことは間違いない。特に、酒焼けした喉でライブにやってくるリアムには苛立ちを隠せなかった。

リアムはファンに接する態度は優しい一方で、ライブ当日の朝まで酒を飲み、喉の調子が悪ければしばしばドタキャンをするような男だった。日本でも2000年の福岡公演では5曲目で突然舞台袖に消えたリアムが戻ってくることはなかった。

この時会場にいた僕は、ライブのことをほとんど思い出せない。ライブ自体はそこからノエルのアコースティック・セットとなって続けられたが、「リアムはいつ戻ってくるんだ?」と、そればかり考えているうちに福岡公演は幕を閉じてしまった……

今となっては、あの弟の放蕩っぷりを生で体験できたわけで、それもオアシスらしさだと理解している。因みにファンにとっては雪辱を晴らす絶好の機会となるはずだった2年後の福岡公演でも、リアムは途中でライブを投げ出した。本人は前回と同じ都市だと理解していなかったようだが……まったく、本当にひどいヤツだ。

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