映画を観る前に知っておきたいこと

パレードへようこそ 一人の人として、誇りを取り戻させてくれる映画

投稿日:2015年3月23日 更新日:

パレードへようこそ

「本当にあったことだなんてとても信じられなかった。」映画を製作したプロデューサーがそう語る、本当にあった驚きの感動秘話の映画化。カンヌ国際映画祭でクィア・パルム賞受賞の他、ヨーロッパで様々な賞を獲得。ゴールデン・グローブ賞作品賞へのノミネートを果たした2015年の賞レースでも期待の一本。


  • 製作:2014年,イギリス
  • 日本公開:2015年4月4日
  • 原題:『Pride』
  • 上映時間:121分

予告

あらすじ

 1984年、イギリスは不況に喘いでいた。サッチャー首相が発表した20カ所の炭坑閉鎖案に抗議するストライキは、4カ月目に入ろうとしていた。その様子をニュースで見ていたマーク(ベン・シュネッツァー)は、炭坑労働者とその家族を支援するために、ゲイの仲間たちと募金活動をしようと思いつく。「彼らの敵はサッチャーと警官。つまり僕たちと同じだ。いいアイデアだろ?」と、友人のマイク(ジョセフ・ギルガン)を強引に誘い、行進しながらさっそく募金を呼びかけるのだった。折しもその日は、ゲイの権利を訴える大々的なパレードが日だった。

 募金パレードの後、マークは打ち上げの席で“LGSM(炭坑夫支援レズビアン&ゲイ会)”を立ち上げる。バケツを手に街角で集めた寄付金を送ろうと、全国炭坑労働組合に連絡するマーク。ところが、どこへ電話しても『レズビアン&ゲイ会』と名乗った途端に切られてしまう。どこへ行っても「変態!」と罵声を浴びせられる彼らは、ロンドンでも同じ扱いを受けた。
パレードへようこそ「炭坑に直接電話すればいいんだ!」またしてもマークの思いつきで、ウェールズの炭坑町ディライスの役場に直接電話をすると、意外にもあっさりと受け入れられた。数日後、ディライス炭坑を代表してダイ(パディ・コンシダイン)がマークの元へ訪ねてくる。「それでLGSMって何の略?」ダイはLがレズビアンの略だと知って唖然とする。だが、彼に偏見はなかった。その夜、ダイは生まれて初めて訪れたゲイ・バーの大勢の客の前で「皆さんがくれたのはお金ではなく友情です」と熱く語るのだった。

 ダイの感動的なスピーチのおかげでLGSMのメンバーは増え、ディライス炭坑に多額の寄付金を送ることができるように。その甲斐あって、LGSMは炭鉱が主催する支援者への感謝パーティに招待される。企画した委員長のヘフィーナ(イメルダ・スタウントン)の、「絶対にもめごとが起きる」というまわりの反対を押し切っての招待だった。
 パレードへようこそミニバスに乗って、炭鉱町へと出発する主要メンバーたち。委員長のヘフィーナや書記のクリフ(ビル・ナイ)が温かく迎えてくれるが、会場を埋める町人たちの反応は冷ややか。・・・かと思いきや、翌日になると好奇心を抑えきれない人々が、彼らに様々な質問を投げかける。「どちらが家事をするの?」など無邪気な疑問に答えているうちに、ゲイと町人たちは互いに心を開き始める。
 だが、組合と政府の交渉は決裂、サッチャーは組合員の家族手当を停止する。再び町を訪れたマークたちはさらなる支援を決意した。しかしその矢先、町人の一人が新聞に密告、「オカマがストに口出し」と書き立てられる事件が起こる。そうしてLGSMと町人の協力関係は失敗に終わるかと思われたのだが──。

映画を見る前に知っておきたいこと

辛口な批評家からも贈られるラブレター

 英語圏で一番有名な映画批評サイト、Rotten tomatoesでも批評家94%観客93%の高い満足度を獲得した『パレードへようこそ』批評家から贈られてくる文章はまるでラブレターかのようにこの映画を賞賛するものだという。カンヌ国際映画祭では※クィア・パルム賞を受賞。
 ※クィアとは、「不思議な」「風変わりな」「奇妙な」という意味が転じて、現在ではセクシュアル・マイノリティを意味する言葉として用いられる。しかし、同性愛者の中には、この言葉に拒否感を抱く者もいる。パルムは、パルムドール(カンヌ国際映画祭グランプリ)のこと。

ゲイやレズビアンに偏見を持つ人も楽しめる

 ゲイ・レズビアンと聞いて、候補から外す人も多いと思う。だが、少し待って欲しい。この映画は「偏見はやめよう」とか「偏見を超えて繋がり合う感動」とか、そういった分かりやすい説教めいたメッセージを何も持っていない。感傷的になるのでもなく、何かを教えられるのでもなく、ただひたすらに気分が盛り上がる映画として、たくさんの人に愛されている。

 『パレードへようこそ』はこの上なく真面目な映画でもある。それもそのはず、なぜならこれは実話なのだから。登場人物の一人一人が、キャラクターとしてではなく、それぞれの人生を真面目に生きている。この映画が国籍、世代を超えてあらゆる人の心に愛されているのは、ゲイとかレズビアンとか関係なく、一人の人としての誇り『原題:pride』を思い出させてくれるからなのかもしれない。
パレードへようこそ

監督・キャスト

ベン・シュニッツァー:(マーク・アシュトン)

ベン・シュニッツァー1990年、アメリカ・ニューヨーク生まれ。11歳の時に初めて舞台に立つ。数々のドラマ、映画、舞台に出演。演技の勉強のためにロンドンのギルドホール音楽演劇学校へ入学し、頭角を現す。主な映画出演作は’13『やさしい本泥棒』’14『The Riot Club』

ビル・ナイ :(クリフ)

Bill-Nighy1949年生まれ、イギリス出身。ハリウッド映画では『アンダーワールド(ビクター)』や『パイレーツ・オブ・カリビアン(デイヴィ・ジョーンズ)』で知られている。

イメルダ・スタウントン :(ヘフィナ・ヒードン)

Imelda-Staunton1956年生まれ、イギリス出身。映画では地味な役が多いが、本国イギリスでは国民的といっていいほど有名な女優。舞台で様々な賞を受賞している。映画では『ヴェラ・ドレイク』でヴェネツィア国際映画祭女優賞を受賞し、アカデミー賞にもノミネートされた。『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団(ロードレス・アンブリッジ)』

ドミニク・ウェスト :(ジョナサン・ブレーク)

ドミニク・ウェスト1969年生まれ、イギリス出身。1991年にデビューし、舞台・映画・テレビで活躍している。『ジョン・カーター』『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス(ヌーバレス)』

パディ・コンシダイン :(ダイ・ドノヴァン)

パティ・コンシダイン1974年生まれ。イギリス出身の俳優で映画監督としても活動している。36歳のとき、アスペルガー症候群と診断される。

-ヒューマンドラマ, 洋画

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