映画を観る前に知っておきたいこと

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2015年、世界で最も熱い視線を送られた映画

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はじめまして、【世界】。

アイルランド出身の女流作家エマ・ドナヒューによる大ベストセラー小説「部屋」を基に描き出す、外の世界との対峙を描いた拉致監禁ヒューマンドラマ。

納屋に7年間も監禁された母親と、そこで生まれ育った5歳の息子。スリリングな閉ざされた[部屋]からの脱出と、普遍的な母子の愛が呼ぶ感動。これまでにない斬新な切り口は、2015年、世界中の映画ファンから最も熱い視線を送られた。

母親を演じたブリー・ラーソンのアカデミー主演女優賞を初ノミネートで受賞するという快挙をはじめ、トロント国際映画祭での最高賞(観客賞)など計74の映画賞を獲得した。世界最大の映画批評サイトRotten Tomatoesで今も支持率94%を誇る注目作。


予告

あらすじ

朝、ジャック(ジェイコブ・トレンブレイ)は電気スタンドや洗面台、トイレ、部屋にあるあらゆるものに「おはよう」と声をかけ、「僕、5歳だよ」と宣言する。ママは「外にはなにもない」と教えてくれる。

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© Element Pictures 2015

ジャックと母親ジョイ(ブリー・ラーソン)は、7年間も小さな部屋の中に監禁されていた。そこで生まれ育ったジャックにとっては、この部屋こそが世界のすべてだった……

夜になると、二人がニックと呼ぶ男(ショーン・ブリジャース)が現れ、服や食料を置いていく。その日、ジョイがニックに対して「息子にもっと栄養を」と抗議したことで、激しい言い争いになった。翌朝、部屋の電気は切られ、二人は寒さに震える朝を過ごした。

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© Element Pictures 2015

ついに、ジョイは外の世界を知らない息子に真実を語って聞かせ、はじめてそこから逃げ出すことを決意する……


映画を見る前に知っておきたいこと

監禁や誘拐事件を題材にした作品は決して珍しくないが、その多くは、そこからの脱出劇をスリリングに展開するか、被害者の心の葛藤を捉えるかに限定される。しかし『ルーム』はたった2時間の中で、監禁事件におけるその二つの側面を余すことなく観客にぶつけてくるのだ。

映画のジャンルとしては共存させづらいこの2つを繋ぐのものは、物語に横たわっているリアリティである。

実話から生まれた物語

原作となった小説「部屋」はフィクションであるが、エマ・ドナヒューがこの物語を執筆するに至った裏には実際の事件があるという。

それは、2008年4月にオーストリアで発覚した実の父親による監禁が行われた「フリッツル事件」だ。日本でも「オーストリアの実娘監禁事件」、また「恐怖の家事件」として報道されている。

エリーザベト・フリッツルという女性が、父ヨーゼフ・フリッツルに1984年から、実に24年間に渡って監禁され、性的虐待の末に7人の子供を出産していたというおぞましい事件だった。

父親は終身刑、エリーザベトと子供たちは国に保護され、現在は問題を抱えながらも日常生活を送れるまでには回復している。

内側と外側のコントラスト

アカデミー主演女優賞を獲得したブリー・ラーソンの演技以上に、息子ジャックを演じたジェイコブ・トレンブレイの演技は素晴らしい。観客の誰も知らない1度も外の世界に触れたことがないという感覚を自然に表現するのは、想像以上に難しいはずだ。

いくら実話を基にしていようと、彼の存在なくしてこの映画のリアリティは生まれない。

10平方メートルしかないと思っていた世界は信じられないほど広く、部屋の外には素晴らしい世界が渾然と広がっている。拉致監禁という閉塞的なテーマを子供の視点から描くことで鮮明になる内側と外側のコントラスト。

そして傷を負った母子の心は、外の世界でも閉ざされたまま内側と外側のコントラストを継続的に映し出し続ける。

この2つの対比こそが、物語に横たわっているリアリティの正体だ。

そしてこのリアリティがもたらす、スリリングであるほど感動的に、母子の愛が強いほど緊迫感みなぎるという相乗効果によって、この映画は支えられている。

トロント国際映画祭の最高賞について

カンヌ・ベネチア・ベルリンの世界三大映画祭。最近では、ここにトロントも含め“世界四大映画祭”と呼ぶ動きもあるほど、年々その注目度は増している。

トロント国際映画祭の最大の特徴は、最高賞が観客賞であることだ。

ノン・コンベンション形式で、審査員の審議ではなく観客の投票から選出されるため、純粋に最も観客の心に響いた作品が選出される上に、商業的な思惑からも外れている。また他の映画祭のように、映画監督の主観で選考されないため、難解で芸術性に長けたマイノリティな作品が選ばれることもない。

世界の映画賞の中でも、権威と純粋な映画ファンの支持から成り立っているのがトロント国際映画祭の最高賞である。

近年、トロント国際映画祭で観客賞を受賞した作品がそのままアカデミー賞を受賞することが多く、同映画祭がアカデミー前哨戦としても注目されているのはそういうことだ。

CAST.STAFF.BACK.

DATA.STAFF.BACK.

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