映画を観る前に知っておきたいこと

スタンド・バイ・ミー
現代の少年たちへ

投稿日:2017年1月24日 更新日:

スタンド・バイ・ミー

12才の夏、
誰も大人になんかなりたくなかった……。

アメリカ文学界モダン・ホラーの旗手、スティーヴン・キングの短編『死体』から生まれた不朽の名作。

1959年、オレゴン州の小さな田舎町から死体探しに出掛けた4人の少年。12才で経験した2日間の冒険を通して、少年時代の特別な友情と訣別をノスタルジックに映し出す。青春における定番のテーマ“大人への通過儀礼”が、観る者に最も分かりやすく伝えられたジュブナイル映画。

リヴァー・フェニックスの青春も、ここに閉じ込められたまま決して色褪せることはない。

「私は自分が12才の時に持った友人に勝る友人を、その後持ったことはない。誰でもそうなのではないだろうか。」

ゴーディ・ラチャンス

出典:『スタンド・バイ・ミー』冒頭より


予告

あらすじ

「弁護士クリス・チャンバース刺殺される」、作家ゴーディ・ラチャンス(リチャード・ドレイファス)はその新聞記事に目を止め、遠い過去の日を思い起こす。

1959年、オレゴン州の小さな田舎町キャッスルロック。そこは人口1200人あまりの小さな町。12才の文学少年ゴーディ(ウィル・ウィートン)は感受性豊かな子供だった。出来の良い兄デニー(ジョン・キューザック)を事故で亡くして以来、両親の彼に対する態度は冷ややかだ。

スタンド・バイ・ミー

© Columbia Pictures/Photofest/MediaVast Japan

ゴーディには、いつもつるむ同い年の仲間がいた。アル中の父にグレた兄という家庭環境の中で将来に不安を感じるリーダー格のクリス(リヴァー・フェニックス)。かつてノルマンディー上陸作戦の英雄だった父親に歪んだ愛情を抱くテディ(コリー・フェルドマン)。太っちょでのろまな臆病者バーン(ジェリー・オコネル)。

スタンド・バイ・ミー

© Columbia Pictures/Photofest/MediaVast Japan

ある日、バーンは3人に耳よりの情報を持ってきた。ここ数日、行方不明になっていた少年が列車に轢かれて30キロ先の森で野ざらしになっているというのだ。一躍町のヒーローになれると信じた4人は、不安と興奮を胸に死体探しに出掛ける……


現代の少年たちへ

この映画を初めて観たのは10才の時だっただろうか。ちょうど、うちの兄が中学に上がった頃だと思う。僕と兄はどちらかといえば、ゴーディとデニーのような関係だった。

僕たち兄弟はいつも同じ団地に住む5人で遊んでいた。僕は兄の友達二人を兄のように慕い、兄もまた僕の友達を僕以上にかわいがった。そんな5人が当時こぞってハマった映画が『スタンド・バイ・ミー』だった。

湧き上がる冒険への憧れを抑えきれず、僕たちは冒険という名目のキャンプに出掛ける。ぐるぐると巻いた毛布を自転車のゴム紐で縛り、その中にお気に入りのエアガンを忍ばせた。そして家の前を流れる町一番の川を海に向かってただ歩き、夜には焚き火をしたのを覚えている。

今ではすっかり、あの頃の兄と同じぐらいの息子を持つ父親になってしまったのだが、ネットゲームやSNSに夢中になっている子供の姿にふと不安になることがある。

少年期特有の仲間意識を持てたのだろうか、世界に対する好奇心を失ってやしないかと。スマートフォンこそ息子にとってのキャッスルロックになっているような気がするのだ。

あの頃にしか決して抱くことのできない感情。現代の子供たちにとってそれがあやふやになっているのなら、この映画は必ず特別な共感を生んでくれる。

あとがき

僕が中学に進学した頃には、兄弟同然だった仲間とも次第に疎遠になっていった。兄たちがとっくに大人になっていたせいもあるが、その年、僕と同じ12才の親友が心臓病で死んだことがきっかけだった。

あの日の思い出に死体探しのような特別な出来事は何もなかったが、12才の時に持った友人は僕にとってあまりにもかけがえがない。

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