映画を観る前に知っておきたいこと

ストレイト・アウタ・コンプトン
伝説のギャングスタ・ラップN.W.A

ストレイト・アウタ・コンプトン

全米興行収入3週連続1位!アメリカで社会現象になり、音楽伝記映画として過去最高のヒットを記録した。1980年代、麻薬売買が横行するアメリカ屈指の危険な街コンプトンでくすぶっていた5人の若者によって結成されたN.W.A。黒人差別の時代に彼らはラップで世界を変えようとした。しかし、あまりに過激な歌詞は若者たちを先導すると同時に政府から目をつけられることとなる。ギャングスタ・ラップを生み出し、今や伝説となったN.W.Aの結成から成功、そして挫折までを映し出す。

監督を務めたのは、N.W.Aと親交があった『交渉人』のF・ゲイリー・グレイ。またN.W.Aのメンバーであったドクター・ドレーとアイス・キューブが制作として参加している。そして、出演者全員がオーディションで選ばれた中、アイス・キューブ役は実の息子であるオシェイ・ジャクソン・Jrが演じたことでも話題となっている。


  • 製作:2015年,アメリカ
  • 日本公開:2015年12月19日
  • 上映時間:147分
  • 原題:『Straight Outta Compton』
  • 映倫区分:R15+

予告

あらすじ

1986年、全米屈指の危険な街カリフォルニア州コンプトン。そこではギャングの抗争が激化し麻薬売買が蔓延する中、ロサンゼルス警察は罪もない黒人も手当たり次第摘発していた。そんな現状を変えるべく5人の若者が立ち上がる。

ストレイト・アウタ・コンプトン

イージー・Eはドラッグの売人を辞め、ロサンゼルス全体で盛り上がりを見せていたヒップ・ホップカルチャーに未来を感じていた。そしてDJとして活躍していたドクター・ドレーと、まだティーンエイジャーだったアイス・キューブ、イージー・Eのカリスマ性に引き寄せられたDJイェラとMCレンが加わり、ストリート発のラップグループN.W.Aが結成された。ダーティーで攻撃的なラップは瞬く間に若者たちの心を捉えた。

ストレイト・アウタ・コンプトン

彼らの才能に目を付けたのがレコード業界のベテラン・ビジネスマン、ジェリー・ヘラーだった。イージー・Eとジェリーは手を組み新レーベル、ルースレス・レコードを設立する。

ストレイト・アウタ・コンプトン

そして、デビューアルバム「ストレイト・アウタ・コンプトン」は300万枚を越える空前のヒットとなった。あまりに過激なリリックと影響力から、警察によってライブを監視され、FBIからは警告状を突きつけられる。N.W.Aは“世界で最も危険なグループ”と形容され社会現象となった。

ストレイト・アウタ・コンプトン

しかし、そんな大ブレイクの裏ではメンバー間の亀裂が生じ始めていた。ジェリーの横領が発覚し、まずメイン・ラッパーであるアイス・キューブが脱退。さらにイージー・Eとジェリー中心の体制に不満を持ったドクター・ドレーも脱退してしまう。ソロとなった後も対立を繰り返す中、イージー・EはN.W.A再結成を信じて奮闘していた。数年後、ようやく和解を迎えた時、イージー・Eの体は病魔に冒されていた……


映画を見る前に知っておきたいこと

N.W.Aが伝説的な存在となっている理由として挙げられるのが、ギャングスタ・ラップの走りとなった存在であることが大きい。ギャングスタ・ラップとは、簡単に言ってしまえば暴力的な日常を歌うラップである。

ギャングスタ・ラップ

1980年代後半に生まれたギャングスタ・ラップに当時の若者たちは魅せられ、大きなムーブメントとなっていった。それは、本作のように虐げられた若者が世の中を変えるための武器でもあった。

その後ギャングスタ・ラップは完全に一つのジャンルとして確立されたが、大きな流れを生む要因となったこの攻撃性によって2000年代に入ると衰退していくこととなる。社会的な評価としてギャングスタ・ラップは、劇中でも描かれているように常に批判にさらされてきたのだ。その結果、多くのギャングスタ・ラップのレコードは未成年に相応しくないとされ、「ペアレンタル・アドヴァイザリー」の刻印がなければ販売できなくなった。

ギャングスタ・ラップの成功から衰退はすべて必然的なものである。黒人差別や暴力的な日常を変えるための武器となるには攻撃性が必要不可欠であったが、それはそのまま諸刃の剣とムーブメントを収束に向かわせた。しかし、このムーブメントに影響を受けたミュージシャンも多く、エミネムのようにギャングスタ・ラップがなければ存在しなかったであろう偉大なミュージシャンたちによって受け継がれている。

「N.W.Aがいなければ俺は存在しない!とにかくこの映画を観ろ!」

エミネム

ギャングスタ・ラップの代表格Ice-T

本作のN.W.A同様、ギャングスタ・ラップの創世記に活躍したIce-Tというラッパーがいる。ギャングスタ・ラップの走りという意味ではN.W.AよりIce-Tだろう。ほぼ同時期に世に出てきたのだが、実際はIce-Tのアルバムが先にヒットしてギャングスタ・ラップの快進撃が始まるきっかけとなった。そして、その直後に決定的なムーブメントにしてしまったのがN.W.Aのデビューアルバム「ストレイト・アウタ・コンプトン」の300万枚を越える大ヒットだろう。

しかし、2000年代に入りその攻撃性ゆえ社会から批判され衰退していくギャングスタ・ラップだが、Ice-Tはギャングから更生するためにヒップホッププロダクションの立ち上げるなど社会貢献もしている。彼は、実際ギャングとして生きてきた経歴もあるが、軍隊にいたことや黒人コミュニティーにいたことなどから、仲間意識も強く義理深い性格の持ち主でもある。プロダクションの所属アーティストも幅広く、そこからその分け隔てない性格が伺える。

ギャングスタ・ラップが社会的批判にさらされ衰退したのは必然であると思う反面、黒人たちにとっては希望であり、それは社会に貢献した音楽でもあると言えるかもしれない。

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